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滑稽

作者: John.Doe



 日本人というのはとかく、滑稽であると思う。



 さて、まず滑稽という言葉を、辞書で調べ直してみた。すると、

「おもしろおかしく、巧みに言い直すこと。転じて、おどけ。道化」

「いかにもおかしく、ばかばかしいもの 」

 とある。なるほどなるほど、ピエロのようなものも滑稽となるらしい。ただ、私のここで言う滑稽とは、後者の意味合いが強かろう。



 いくつか例を挙げてみる。

 よく耳にする、最近の若者は……という一文。マナーだとか、所謂若者言葉だとか、そういうものに対する嘆きだ。しかしながら、例えば「ナウい」だとか、「シブい」という言葉は1980年代頃に若者に流行った。1960年代あたりでも、同じように若者に流行った言葉は多い。つまるところ、全ての年代において、何かしら新しい言葉が流行っている。

 マナーが悪い、というのもよく耳にするが、例えば電車のなかでじいさんばあさんが当たり前のように大声で話したり電話を大音量で鳴らしたりする光景も、割とよく見かける。別段、若者だけがマナーが悪いというわけでもない。

 もう1つ。2011年3月に日本を件の大地震が襲った。その際、福島原発がトラブルをおこし、それを皮切りに一気に反原発世論が爆発的に広まった。それをうけ、日本中で原発が停止、世論が平和を生んだかのように思った人も多かっただろう。しかし、当然ながらそんなことをすれば発電量は落ちる。日本はおおよそ2割前後の発電量が、原発のものであるから、当たり前である。だというのに、その原発を止めろと半ば宗教の如く言っていた多くの国民が、今度は値上げにたいして怒りを見せている。



 さて、今あげた例、どこが滑稽なのか。勘のはたらく方ならお分かりかもしれないが、自分の行動を全く無視、しかしそれと同じことを注意していることが1つ。そして、多くの世論のうち、周りに流されたゆで卵の薄皮よりも薄い考えでその世論に加わった意見の割合の多さがもう1つである。

 棚に上げる、という言い回しが日本にはある。棚と言えば、物を置くあれであるが、その棚に上げた、つまり置いた物というのは、所謂厄介ごとを指す。厄介ごとを棚に上げて後回しにしたり、あるいはそのまま見ぬふりをする。転じて、よく「自分のことを棚に上げて……」などと言うわけだが、この例文に起用してもいいのではないだろうか。

「電車内で、自分の通話は棚に上げて若者の携帯の使用をお婆さんが注意していた」

「原発を止めろ止めろと騒いだのを棚に上げて、原発停止に伴う値上げに抗議が殺到した」

 などと。よく人にやられて嫌なことは他人にもやってはいけない、というが、もう一度心の中で唱えるべきなのではないだろうか。あるいは、他人を注意する前に、他人のふり見て我がふり直せ……というように、一度自分の行動を思い返し、本当に注意するべきか、あるいは注意すると同時に、自身も反省すべきではないかと考えてみてはいかがだろう。


 さて、政治というものは、国民、特に世論には敏感でなくてはならない。それが日本である。国民のための政治であるから、それは構わない。しかし、その世論が暴走していたら意味はない。どんな争いにおいても、数と言うのは常に絶対的に重要な要素である。数で勝てぬからこそ、ゲリラなどがあるほどには。世論もまた、大多数の意見には少数の意見は敵う事はほぼない。世論とはつまり、多数決だからだ。しかし、多数の同意見というが、果たして本当に同意見だろうか。例えば例に挙げていた反原発。そのうち何%かは、当人がきちんと考えた上での反対だろう。メリットデメリット双方をきちんと考え、その上で考えたか、あるいは身近な人や自分が被害に遭ったことがあり、それゆえに強い反対をするか。そのどちらでも、あるいは別でも構わぬが、問題はその他大多数である。大方「危険だから」という、それだけの理由であろう。ウィリアム・ソーンソンという将軍は、「海兵隊を理解しているのは、たった二種類の人間である。敵と、海兵隊自身だ。その他大勢の意見は、使いまわしである」と言った。これと似ているのではないだろうか。強いて言うのであらば、

「反原発論を理解しているのは、たった二種類の人間である。被害者と、自分から言い出した人だけだ。その他大勢の反原発論は、使いまわしである」

 といったところか。いやいや、確かに言い過ぎかもしれない。しかし、考えてもみてほしい。きちんと確固たる意志、あるいはきちんと考えた上で反原発論を唱えたとするならば、例のように値上げに反発する理由は少ないだろう。あるいは、正当な理由を以てして批判するはずだ。私が知りうる限り、きちんとした批判を行う人はあまり見ない。




 ああ、言い忘れていた。別に、私は世論が悪いというのではない。しかし、踊らされる人があまりにも多くないか。そう言いたいのだ。世論はいわば、意見の塊だ。だからこそ、多くの意見に交じり反対派の意見や、その他多くの意見がある。その意見のうち、大半は恐らく、他人からの使いまわしである。かくいう私の意見もまた、誰かの使いまわしかもしれない。意識していないうちにも、人間というのは何かを参考にするものであり、あるいはそれを自身のものであるかのように錯覚するものである。はて、そうするとこの言葉ももしかしたら、あるいはもしかしなくとも、誰かの使いまわしかもしれない。

 さておき。別に私は老人だけがマナーが悪いとも、原発は今すぐにでも稼働すべきだとも言わない。私とて、若者にマナーのならぬものが多いという事実は認めざるを得ないと理解しているし、言葉遣いも、正しい言葉遣いが出来ることが前提、ということも正しいと思う。原発についても、必要ないなら稼働させないことに越した事はない。ハイリターンかもしれないが、相応にハイリスクであるのだから。代わりとなる発電方法が実用化出来次第、それらを増やしていくのがよかろう。それに、現に被害を受けている人もいる。そう言った人の苦痛というのは、理屈でどうこう言えるものでもなかろう。

 しかし、老人すべてがマナーを守れているわけでもない。老人だけではなく、ほぼすべての年代の人間に、マナーの守れない、言葉遣いの使い分けの出来ない人間がいるというのもまた、事実である。

 日本が原発を頼りにしているということは事実であり、また未だに風力や地熱などの、代わりとなる発電方法が実用に至るほど発達していないというのもまた事実である。

 私はよく、親にもお前はそんなに世論に反発したいか、と言われる。だが違う。私は私なりにメリットデメリット双方を考え、その上でこうであるべきだと考えを述べただけである。ああ、もう一つ。日本人というのはどこか完璧主義で、意見はどこか二つに完全に分けねば気が済まぬという考えが多いように思える。それもあって、今の世論というのはこうも極端なのかもしれない。しかしながら、世界において完全に分けられることなど存在し得ないだろう。すべての物事において利益を求める場合、何かしら代償が必要なのは世の理である。だから分けられないのかもしれない。特に安全に関しては。


 さて、ここまで来て、未だに何が言いたいか分からぬ人も多いと思う。ここまで、単に私が書きなぐっただけなのだ、当たり前である。内容の重複はわざとであるが。ここまで重複させれば、もういい加減飽きてくるだろう。しかも、世論をズバズバとぶった斬っているのだ、不快に思う方もいただろう。それについては、後がきにて謝罪させてもらいたい。とにかく、ここまでの長い下らぬ文章を読んできて、わかってもらえたことがあるかと思う。ずばり、私がいかに世論を嫌っているかだ。私とて前述のとおり世論その物や、世論の内容を全て嫌うわけではない。が、流されやすい傾向のある日本人の世論は、やはり流されていると思うわけであり、それが転じて私の中では、世論の多数の論を唱えるうちのいったいどれほどの割合が、きちんと考えた上でそのような意見を唱えているのかと疑心暗鬼になるわけだ。あくまで、考える必要があるというのは私の意見であって、誰かに押し付けようなどとは思っていない。そもそも、押し付けるほど立派なことでもない。



 最初に出した滑稽というワードの意味。そろそろ、理解してくれたかと思う。私が言ったのはつまり、周りに流されるあまり、考えもせず自分の意見を持ってしまったり、あるいは自身らの行動で招いた結果に文句を言うという、まあ見事なまでのピエロっぷりにである。いや、ピエロはあれをわざとやっているのだが。



 日本人というのは、とかく滑稽であると思う。この意見に少しでも、賛同の意を持ってくれる方のあることを願う。

 まず、内容に不快感をおぼえた方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんでした。一個人の意見ではありますが、こういった場所に投稿して人目にさらすだけに、どうしてもそういう方は出てくるかと思われます。

 しかし、最近の世論の動向に、どうも我慢ならず、こういったものを書き上げるに至った次第です。どうぞ、ご容赦のほどお願いします。


 何か、同意、あるいは反対の意見などありましたら、どうぞ書き込んでやってください。基本的にディベートが好きな人種でありますので、大歓迎でございます。単に小説の内容自体に関してのご意見も、大歓迎です。

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