トイレットペーパー円盤
公園で回るブランコを眺めていたら、空から直径50mのトイレットペーパーの円盤が降りてきた。
白くてふわふわで、どこか甘い香りがしていた。
助走をつけてジャンプし、トイレットペーパーの円盤(以下、便所UFO)にかじりつく。
「か、辛い! 予想外に!」
便所UFOは嫌そうに身をよじると、ビービーとけたたましい警告音を鳴らしながら公園の空を横滑りした。
すると便所UFOの端から、高速回転する芯の部分が飛び出してきて、僕の顔を思い切りペチペチと叩き始めたのだ。
「これは罰です」
便所UFOから飛び出してきたのは、青い短パンのエイリアンだった。
彼、あるいは彼女は「よっ」と機体から飛び降りると、砂場で足首をグネった。「イッテー!」と叫んだ拍子に、青い短パンのエイリアンは自分で出した罰状を食べてしまった。
口からはなぜか虹色の泡があふれ、便所UFOがそれを吸い込み始めた。
ギュボボボボ…。吸引とともに便所UFOも七色に光りだす。
「確変だ」
エイリアンは呟く。青い短パンをぐいぐいと引っ張り上げて股に食い込ませながら。
「ほら、出るぞ」
便所UFOの中心から、大盛りのカラフルな綿菓子みたいなものが「ボフッ!」と噴き出した。
地面に落ちると「俺は社長だ!」と叫びながらピンク色の泡をまき散らして走り出した。
綿菓子の後を追おうとするが、泡に足を取られ転んでしまった。
ごろごろ転がり、ピンクの泡に包まれる。
繭の中の蚕のように。
トイレットペーパーの中の芯のように。
「次のトイレットペーパー円盤はお前だ」