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第九章「神環崩壊編」

神に抗うと決めたその日から、世界は“異音”を発し始めた。

 それはまるで、構造そのものが軋んでいるかのように。




 神環中枢・第七階層。


 目の前に立ちはだかるのは、《神格兵 イザナギ-03》。

 人型ながら、感情も体温もない“神の代理装置”。


 その剣は、斬れば命を奪うのではない。

 魂の構造を“書き換える”。


「避けろ、ヨモツ!」


 レンが叫び、雷光を放つ。

 だが、神格兵の斬撃がそれを裂いた。


 空間が反転する。


「……くっそ……こいつ、コード干渉じゃなくて、“現実”に攻撃してきやがる!」




 ヨモツは、神環殺し《アンチコード装甲》を展開。


 抜刀と同時に、**“雷の式神”**が現れる。

 それはスサノオの荒御魂から生まれた、雷神の分身。


「行け……《雷閃・壱式──導影しるべかげ》!」


 稲妻が通路を焼き、神格兵の右腕を切断する。

 だが、すぐに再生される。


「再構成コード……再起ノ宮自体が、こいつの修復支援してやがるのかよ!」


「こいつは、この施設と“直結してる”」


 レンの声が震える。


「じゃあ、こいつを止めるには──」


「再起ノ宮そのものを、止めるしかない」




 一方その頃。


 カナメの意識は、神環コア層の深部で揺れていた。

 眠らされたままの魂──アマテラスの光が、内からうずく。


『君は、光でなければならない』


 機械的な音声が告げる。


『人類を導く“再起の陽”として、

 最も理想的な神格は“あなた”であると、私たちは定義しました』


「……誰が、“なれ”って言ったのよ」


 カナメの意識が目を覚ます。


 冷たい光。

 でも、その中心に、静かな“熱”があった。




 カナメの手が、ゆっくりと動いた。


 神格制御装置に、ひびが入る。


 やがてそれは破裂し、神環コア層全体が赤い警報を鳴らした。


《アマテラスコード、制御不能》

《再起ノ宮 第三層:再構築不可》

《警告──全域に波及の可能性あり》




 ヨモツの前に現れる、眩い光。


 そこには、ボロボロになった装甲の中から、

 白く光る衣と黄金の輪を纏ったカナメが立っていた。


「……遅くなった」


「お前……!」


 カナメは微笑まない。ただ、真っ直ぐに言う。


「もう、私……“照らすだけの存在”じゃない」




「──じゃあ、やるか?」


「うん。一緒に」


 ヨモツとカナメ、二人の力が交差する。


 雷と光が混ざり合い、空間を焼き切る。


「《交雷照爆──神環断罪》!!」


 最後の一撃が、神格兵を貫いた。


 その瞬間、再起ノ宮の中枢が“崩れ”始める。


《崩壊指数上昇──再起ノ宮、自己消滅処理へ移行》




 警報が鳴り響く中、レンが呟く。


「……これが、俺たちの“やり直し”か」


「違うよ」


 ヨモツが言う。


「これが、“始まり”だ」



➤ つづく


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