38 ガルーへの報告と反撃の準備
鉱山から城へ戻ると、ガルーが広間で部下たちと作戦の打ち合わせをしていた。
その顔には緊張の色が浮かび、影の儀式に向けたネクサリア人の動きに警戒を強めている様子がうかがえた。
「修羅、戻ったか。」
ガルーの低い声が広間に響く。
「ああ、重要な情報を持ち帰った。」
俺は荷物を下ろし、ドルガンとバズトークの裏切り、そしてキョウヤの計画について一つ一つ報告した。
「ドルガンとバズトークが…」
ガルーは険しい顔をさらに歪めた。その周囲で話を聞いていた部下たちの間にも動揺が広がる。
「証拠はあるのか?」
俺は彼らの密会現場で得た記録や目撃情報をすべて伝えた。
「この目で見た。キョウヤから賄賂を受け取り、儀式の妨害を防ぐ計画に加担していた。」
ガルーは深く息をつき、険しい表情のままうなずいた。
「奴らが裏切り者ならば、一刻も早く対処せねばならん。」
「だが、泳がせるのも手だ。」
俺はガルーの目を見据え、提案した。
「奴らを泳がせておけば、キョウヤの計画を一網打尽にする機会が生まれる。
今はドルガンとバズトークの行動を追い、さらなる証拠を掴むべきだ。」
ガルーはしばらく黙考した後、ゆっくりとうなずいた。
「確かに、全ての証拠を揃えなければ、奴らの裏切りを完全に暴くことはできん。
修羅、引き続き奴らの動きを探れ。」
「任せておけ。」
俺はそう答え、すぐに行動に移る準備を始めた。
その夜、ドルガンとバズトークの動きを監視するため、俺は彼らのいる砦の近くに潜り込んだ。
砦はネクサリア人との密会場所として使われているらしく、奇妙な気配が漂っていた。
夜闇に紛れて砦の周囲を巡回する中、俺はキョウヤの手下と見られるネクサリア人が荷物を運び込むのを目撃した。
それらの荷物の中には、影の儀式に使用されると見られる魔石や道具が含まれていることに気づいた。
「なるほど、ここが拠点の一つか。」
俺はその場を後にし、再び城へと戻った。
ガルーに新たな情報を伝えると、彼は軍全体での作戦を進める決断を下した。
「ドルガンとバズトークの行動が確かならば、奴らを排除する準備を進める。」
ガルーの命令のもと、魔界軍は裏切り者とネクサリア人に対する反撃の準備を開始した。
「これで奴らの終わりが近づいたな。」
俺は黒炎の霊刃を手に取り、次の行動に備えた。