24 第2戦:腕魔グルンタ
骨魔ジェークとの戦いを終えた俺は、軽く休息を取った後、再び闘技場の扉の前に立っていた。
観客席からは試合を期待する声が響いている。
「さっきの戦いで消耗しておるな。無理はするでないぞ。」
神威の声が冷静に響く。
「激マズ回復ポーション飲むから大丈夫だ」
俺は笑った。
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扉が開かれると、次の相手が現れた。
巨体を誇る魔物――巨腕魔グルンタ。
体は人間の数倍の大きさで、四本の巨大な腕を持ち、全身は岩のように硬そうな皮膚に覆われている。
「人間…満足させてくれよ。」
グルンタの声は低く、地響きのようだった。
闘技場全体がその声の重みに震えたように感じる。
「腕力か」
俺は黒炎の霊刃を構えながら距離を測った。
試合開始の合図が響き、グルンタが一気に四本の腕を振り下ろしてきた。
その速度と威力は圧倒的で
地面が
砕け
砂煙が
舞い上がる
俺はかろうじてその攻撃をかわしたが、直後に再び迫る腕に対応するため後退を余儀なくされた。
「遅いぞ、人間!」
グルンタはさらに腕を振り回し、俺に追撃を仕掛けてくる。
破壊力は凄まじく、わずかに掠めただけでも体に激痛が走る。
「まずいな、このままでは」
俺は腰から回復ポーションを取り出し、一気に飲み干した。
とんでもなく不味いが体力が徐々に回復していく感覚がある。
「焦るでない。この巨体の弱点を見極めよ。」
神威の助言に従い、俺はグルンタの動きを観察し始めた。
その動きは力任せで単調に見えるが、その巨体ゆえに攻撃範囲が広く、隙を突くのが難しい。
「動きは鈍いが、腕をどうにかしないと」
俺は再びグルンタに接近し、一撃を繰り出した。
黒炎の霊刃が一本の腕を切断するが、グルンタは動じることなく残りの三本の腕で反撃してきた。
「やるじゃないか!だが!」
グルンタの攻撃を受け流しつつ、俺は魔力を注ぎ込んだ黒炎の霊刃をさらに振り下ろし、二本目の腕を切断する。
「これで少しは動きが鈍くなったか。」
しかし、グルンタは笑みを浮かべながら、紫色の見たことのない魔石を飲み込む。
残った二本の腕でさらに激しい攻撃を仕掛けてきた。
防御をするが吹き飛ばされる。
「じゃあ俺も」
俺は魔水晶を手に取り、触媒として回復魔法を発動させる。
体力と魔力がわずかに回復し、再び戦闘態勢に入る。
「仕留める。」
俺は
グルンタの攻撃をかわしつつ
一気に間合いを詰めた
最後の一撃で
残りの腕を切断し
黒炎の霊刃を
首元に突き刺した
グルンタの体が崩れ落ちると、観客席からは驚きと歓声が巻き起こった。
「人間がここまでやるとは!」
「シュラ、いいぞ!稼がせてくれてありがとな!」
視界に広がる景色がやけに鮮やかに感じられた。
戦いの最中に極限まで集中したせいだろうか、音や色が研ぎ澄まされ、全てが美しく映る。
俺は静かに息を吐いた。
闘技場を後にしながら、俺は黒炎の霊刃を収めた。
「手ごたえのある一戦だったな。次はさらに強い敵になるのだろう?そういう制度になっておるの」
神威の声に俺は短く答えた。
「望むところだ。」