20 ざまぁで、よいのであろう?
ディグが狂気じみた笑みを浮かべながら、手に持った巨大な魔石を掲げた。
魔石は禍々しい土留め色の光を放ち、空気を歪ませるほどの力を溢れ出させている。
ディグは他人を踏みにじることで自分の地位を築いてきた。
そのやり方にどれほどの犠牲者が出たか、考えたこともないだろう。
「覚えてるか?あの村の娘たちをどうしたか?」
ディグの挑発に俺の拳が震える。
奴は無力な村人たちを守るフリをして、その裏で金品や命まで搾り取ってきた。
「てめぇ…いい加減にしろ」
俺の声が低く唸ると、ディグはさらに笑みを深めた。
「お前は何もできなかったなぁ、強いだけの道化!」
奴の持つ魔石から歪んだ波動が広がった。
空気がピリピリと震え、黒炎の霊刃すらその影響を受けている。
「気をつけろ。強力な呪詛」
神威の声が念話で響く。
俺は黒炎の霊刃を構え
一気に間合いを詰めるが
ディグは笑いながら
俺を迎え撃った
「来いよ!」
ディグは魔石を砕き、暗黒色の衝撃波を俺に向けて放つ。
それは地面を焼き尽くし、荒野を覆い尽くすような圧倒的な力を持っていた。
俺は防御魔法を展開しながら突き進む。
黒炎の霊刃が暗黒の波動を切り裂き、その先にいるディグの姿が見える。
俺は再び地を蹴り、ディグに迫った。
ディグは
新たな魔石を
取り出そうとするが
霊刃が
その手を
斬り落とした
「なっ…!」
ディグの顔に恐怖が浮かぶ。
「やめ…!」
黒炎の霊刃が
ディグの胸を
貫いた
赤黒い炎が
奴の体を包み込み
絶叫が荒野に響く
静寂が訪れる。
「修羅、これは流石に…ざまぁだろう?…ざまぁで、よいのであろう?」
神威が楽しげに言う。
「…そうだな…ざまぁかな…」
俺が賛同すると、神威は高らかに宣言した。
「ざまぁである!!」
焦げた土の匂い、血と汗の匂い。
それら全てが混ざり合い、特有の香りとなる。
俺にとってそれは勝利の匂いだ。
深く息を吸い込むと、体中に快楽が広がる。