19 お前を葬る
荒野の闇の中、俺とディグの激闘は続いていた。
ディグの目は冷たい光を宿し、魔石を次々に触媒として特殊な魔法を放ってくる。
「くらえ!」
ディグが雷の魔石を掲げ、空間を裂くような稲妻が俺を狙う。
「っ…!」
俺は体を捻り、なんとか雷撃をかわしたが、足元の地面が爆発し、砂埃が舞い上がる。
俺は薄く笑いながら霧散する雷の残光を見つめた。
「まだまだ」
ディグの声には高揚感が滲んでいる。
その手には既に次の魔石が握られていた。
「安物の魔石頼みの小細工ばかり」
俺は黒炎の霊刃を振りかざし、挑発するように笑みを浮かべた。
ディグは眉を吊り上げ、魔石を一気に投げ込む。
「小細工かどうか…確かめろ!」
魔石が空中で砕け、炎の壁が瞬時に立ち上がった。
熱気が俺を包み込み、呼吸すら苦しくなる。
「ちっ…!」
俺は炎の壁を突き破ろうと黒炎の霊刃を振るった。
刃先が炎を裂き、一瞬の隙間が生まれる。
その隙を突いてディグが動いた。
酸のポーションを取り出し、俺目掛けて投げつけてくる。
「またか!」
俺は身を翻して回避を試みたが、酸の飛沫が肩にかかった。
「くそっ…!」
服が溶け、肌に焼けるような痛みが走る。
俺は思わず歯を食いしばり、肩を抑えた。
ディグが勝ち誇ったように笑う。
「どうした修羅?その程度か?」
俺は黒炎の霊刃を強く握り直し、全身の力を込めた。
「これ以上好きにやらせるかよ!」
だが、ディグの手は止まらない。
次々と魔石を放り込み、空間を歪ませる衝撃波や閃光魔法を放つ。
「この波動…大丈夫か?」
俺は霊刃を見つめながら尋ねた。
「…まだ耐えられるが…このままでは持たんぞ。」
神威の声は低く警告を発していた。
「なら!」
俺は足に魔力を込め、瞬時に間合いを詰めた。
ディグは驚愕の表情を浮かべる。
「速い…!」
俺は黒炎の霊刃を振り下ろした。
瞬時に展開された魔法陣が盾となり、刃を弾き返す。
俺は一歩後退し、再び構え直した。
ディグが嘲笑を浮かべながら叫ぶ。
「魔石、全部使ってお前を葬る!」