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18 修羅ざまあ! 


夜の荒野で、風に逆らうように立っていた。


目の前には、地面に描かれた簡素な魔法陣。

ルードが写本を解析する過程で描き出した図を基にして作られたものだ。


「何をする?」

神威が霊刃の中から問いかけてきた。

声には微かに呆れが滲んでいる。


「決まってるだろ。魔界へのゲートをくぐる練習だ。」

俺は笑みを浮かべながら言った。


神威が低くため息をつく。

「また無茶か…身ひとつで魔界に乗り込むつもりか?」


「もちろん」

俺は魔法陣の中心に立ち、霊刃を掲げた。

「もしまたゲートが開いたら、迷わず飛び込む準備をしておかないと」


俺は助走をつけて魔法陣を跳び越える。

何度も、何度も。


「…無意味ではないか?」

神威の嘲笑が耳に届く。

「これではただの走り込みだぞ。」


「違うな」

俺は息を整え、黒炎の霊刃を指先で回しながら応えた。


「いざってときに、迷いなくゲートに飛び込む感覚を身体に叩き込む…未知への飛び込みって本能が邪魔するだろ、だから本能に逆らう動きの練習は必要だ、慣れないといけない」


「戦い以外でここまで熱心になるとはな…」

神威が皮肉げに呟いた。



その瞬間、背後からかすかな音が聞こえた。


俺は振り返り、警戒を強める。

「…気配」


荒野の暗闇から姿を現したのは、一人の男だった。


銀髪に深い傷跡のある顔。

手には光る魔法の紋章が浮かんでいる。


「ディグ」

俺は低く呟いた。


「久しぶりだな、修羅」

ディグは口元に冷たい笑みを浮かべていた。


「お前の噂を耳にしてな」

俺は霊刃を構えた。


「俺を追ってきたってわけか?」

ディグはゆっくりと手を翳した。

紋章が淡い光を放つ。


「魔石も使いやがって…大勢の前で恥をかかせてくれたなぁああ!!」


神威が鋭く反応する。


「大丈夫だろこいつは雑魚だ」

俺は前に一歩踏み出した。


次の瞬間、ディグが高濃度の酸のポーションを取り出し、一気に投げつけてきた。


「くっ!」

俺は咄嗟に回避するが、飛沫が防具に触れ煙を上げて少しずつ溶けていく。


「この防具…龍の皮使ってんだぞ素材を剥ぐの大変だったんだ」

俺は怒りに震えながら叫んだ。


俺は素材を剥ぐのが凄く下手なんだ。


ディグが嘲笑を浮かべた。

「嫌がらせでやってんだよ」


俺は地を蹴り、一気に間合いを詰めた。


ディグは魔石を握り締め

自分の背後に閃光魔法を放つ

「…!」

俺は目が眩み、一瞬足を止めてしまう。


俺の得意技をパクリやがった!


だが当然の事として回復法は知っている

回復魔法に少しアレンジをして目を治療

眩しさはもう無い


「面白ぇ事してやるよ!」

ディグは妙な気配が漂う魔石を使い、特殊な衝撃波と思われる見たことのない魔法を放ち始めた。


波動が空間を歪ませ、黒炎の霊刃に当たる

神威の声が苦しげに響く。

「…この波動、霊刃にも影響を及ぼす」


「だったら…!」

俺は歯を食いしばり、霊刃を強く握り直した。

「この状況ごと!」


ディグはさらに魔石を放り投げる。


空間に

ド派手に舞う炎、氷、雷が轟音の調べを奏で

交錯し

俺を襲い続ける



「修羅ざまあ!」

ディグが勝利を確信した笑い声を出す。



その瞬間

俺は体を捻り

黒炎の霊刃を思い切り投げた


「何!?」

黒炎の霊刃が

不自然な軌道を描き

ディグに近づく


黒炎の霊刃は

ディグまであと1メートルといった所まで

落下していく


ディグが迎え撃とうと構えた

瞬間


神威が

黒炎の霊刃から雷撃を放ち

ディグの魔石を砕き

ディグの胸元を掠める


神威はディグの頸動脈を狙っていた


ディグは横に逃げながら、息を切らして睨みつけてきた。

「…もっと楽しませてくれよ!」


俺は

黒炎の霊刃の存在をありありと感じ取り

呼び戻しの念を放ち

次の瞬間には

黒炎の霊刃の鞘を掴む(おかえり神威)


酸で少しずつ解けていく傷ついた防具を見る

紐を切り防具を脱ぎ捨て

戦いの興奮に浸りながら

地を蹴った


ディグは魔法陣を展開する


「!!!」


夜の荒野に響く

刃と魔法の衝突音


戦いは

まだ

終わらない






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