表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

2.ずる賢い顧問

「それで、何でサボったのかな?」


今目の前には笑顔で怖い教師がいる。

たまにアニメでいる、目が開かない系の人だ。


「入学式なんか、つまらないじゃないですか。」


「それでもさ、君の家系はしっかりしなきゃじゃない?」


「...そうっすね。」


彼女の家系、プルートーの家訓は『完全完璧』。

まぁ簡単に言うと、令嬢やれって事だ。

だが、ライラはこの家訓が大嫌いだった。


「けど、ウチの好きな言葉、『中途半端』なんで。完璧なんて大嫌いなんすよ。面倒な事に縛られて生きるなんて、最悪だ。」


「...普通、小さい頃から『完全完璧』と言われ続けているはずだ。なんで君だけズレたのかな。」


「天才だからじゃないですかね?小さい頃から知識を持っていたから、『完全完璧』以外の言葉を知っていた、とか?」


普通、教師を煽るなんて終わっている行為だ。

成績を減らされて学園生活終了。

だが、彼女は別に気にしない。

転生前は普通の人生を過ごした。

なので、普通じゃない事をやりたいのである。

まぁ、だからと言ってこれはやっていいことではないが...。


「...。」


目の前にいる教師は黙っていた。

怒っているのだろうと思っていると、彼は口を開いた。


「あっはは!そうか...面白いね、君!」


「え...?」


「ん?もしかして僕が怒るとでも?こんな面白い事に怒るわけないよ!僕は面白い事が大好きだからね!」


周りの教師がえぇっと言った顔で2人を見ていた。

まぁ、普通は異常な事だから、仕方がない。


「君さ、僕の担当してる部活に入らない?」


「部活ならもう入るところを決めて...。」


「えぇ、本当に?早くない?」


「サボってたら先輩がいて...。」


「それ、アリシアでしょ?何でもお悩み相談部...僕が顧問してる部活だよ。」


「あー...。」


この人が顧問でなんか納得した気がした。


「入部希望っす。」


「了解、入部届は普通まだ用意しちゃダメだけど...はい、用意してあげたよ。」


「ありがとうございます。あー、名前は...。」


「"リアル・ミルトーネ"。普通はミルトーネ先生って呼ばなきゃだけど、部員だけはリアル先生でオッケーだよ!そっちの方が部員だって分かりやすいってのもあるしね!」


「分かりました。リアル先生、これからよろしくお願いします。」


「よろしくね、ライラ。それじゃあ、試しに部の活動をやってみようか!」


「部の活動...お悩み相談ですね。」


「そうそう。確かここに...はい、これ。」


紙を1枚渡してきた。

そこにはこう書いてあった。


『私の彼氏が見つからないんです!家系専用能力が【透明化(ヒューイ)】ってのもあって、どこかに行っちゃって...。探してください!!』



これを見て思う。


「悩みってか依頼...。」


「最初はただの悩みだったんだけど、今じゃあ依頼だから、何でも屋的なのになっちゃったんだ。まぁ、別に依頼料大きいから気にしてないけどね。」


「依頼料とかあるんですか?」


「そこの紙の下の方見てみ。」


紙の下の方にはサインがあり、そこの上に依頼料が書いてあった。


「えぇ...多すぎじゃないですか...?」


それは普通にバイトで数日稼ぐよりも多かった。


「これくらいは無きゃ、割に合わないからね。さて、じゃあ頑張ってね。はい、これその彼氏の写真。」


「...了解です。授業は...。」


「サボって良し!こっちで色々やっておくから、気にしないでいいよ。」


「ありがとうございます!!」


そうしてその写真を元に探すことにした。

ちなみに写真の子は無表情の男の子だった。


「すげぇ無表情だなぁ...。この子、一体どこに...ん?透明?」


そういえばと思い出す。


「入学式サボる前に見たな、そいつ。」


透明の力なんてずるいなぁっと思っていた。

それはその能力を使っている奴を見たからである。


「確かあいつ...壁にぶつかって戻ってた?」


壁を登ってる時、壁の方で額をこすりながら透明じゃなくなってたはずだ。


「透明になった状態で物にぶつかると、元に戻る...?」


その結論に至ってからの行動は早かった。


「えーっと確か部室は...あった。アリシア先輩、いますか!?」


空き教室が部室らしく、そこに入る。

そこにアリシアはいた。


「おっ、ライラか。その紙...依頼か?仕事が早いな、お前。」


「顧問に押し付けられただけです。」


「災難だな、お前。」


「そうなんですよ...じゃなかった!ちょっと聞きたい事があって...。」


そうして彼を炙り出す作戦を話した。


「面白れぇ...!俺にも手伝わせてくれ。」


「良いんですか?」


「俺に手伝ってもらいたくて説明したんだと思ったが...。」


「いえ、ただ勝手にやって良いのかと思って...。」


「別に、俺等の部活は何でもオッケーなんだ。下手に荒れても、生徒の悩みを聞いてるから、教師も生徒会も俺等に何も言えないんだ。」


そう言って笑って見せた。

普通に策士というか...。


「ずる賢い。」


「だろぉ?俺等の顧問、異常だからさぁ。」


「やっぱあの人か。」


「けど、怒ると怖いから怒らすなよ。」


笑顔な人ほど怖いというのはどの世界でもそうらしい。


「そんじゃ、あそこに行くか。」


「どこに行くんです?」


「それはね...倉庫だ。」


「倉庫...一体どういうところなのですか、先輩!!」


ライラはいつも通りキャラ変。

そしてアリシアは...。


「廃棄物が多く置かれている場所だ。そこなら使える物が沢山あると思うから、行くぞ、ライラくん!」


意外と乗り気であった。

そうして作戦決行の準備を始めるのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ