1.変人の先輩
「ここが...。」
学園を目の前に、1人の少女がつぶやく。
彼女の名は"ライラ・プルートー"。
彼女は入学式が行われる体育塔の前にいた。
そして、その場から去る。
「はぁ、面倒だなぁ...。」
入学式が嫌になり、こっそり屋上へ向かう。
途中で透明になる人を見つけた。
ここは能力がある世界。
透明なんて力はサボりにズルいと思うほど欲しいのだ。
「...第2の人生だから分かる。入学式は面倒だ。」
彼女は転生者だった。
能力がない3次元という世界から転生してきたのだ。
そのため、学園生活というのを知っていた。
だから今、屋上にいるのだ。
「入学初日でサボりなんて...問題児が今年もいるとは、思わなかった。」
「誰?」
屋上に1人の男性が入ってくる。
制服のネクタイの色からして、上級生だと分かった。
ちなみにネクタイとリボンの色は、1年が青、2年が緑、3年が赤だ。
「俺は3年の"アリシア・ミリシアード"。何でもお悩み相談部の部長だ。まぁ...最近は依頼者少なくて暇だがな。」
「そんな部活あるんですね、ここ。」
「あぁ。...お前がサボってるのは、単純な理由か?それとも、悩みがあるからか?」
そう言って顔を覗き込んできた。
「...悩み、か。まぁ悩みっちゃあ悩みなんかねぇ...。」
ライラはたまにキャラが変わることがある。
そのような事があるため、周りの者は皆言う。
本心が分からない、と。
「ウチ...転生したんすよ。能力も何もない平和な世界から。」
彼女は最初っからバラす主義である。
「だから、学園生活を知ってて暇で暇で...。」
「なら、この世界は楽しいだろうな。能力あるし、おかしな物ばっかだし。」
「おかしな物ばっか...。例えば?」
「これとか。」
アリシアが取り出したのは、ミギャ〜というおかしな声を出す謎の植物だった。
「いや、なんすかこれ。」
「植物を生やす魔術があるんだが、それでなんか生やしちまったやつ。魔力を具現化する種を使ったんだが、俺の魔力ってこんならしい。」
「先輩...。」
ライラはアリシアを哀れな目で見て、こう言う。
「変人とでも思われてるんですかね。」
「嘘だろ。俺変人じゃねぇって。ちょっと人の悩みを変な形で解決するくらいだし。」
「変人じゃないっすか。てか、部長がこうだと、その部活自体が変人の集まりっぽく思いえるんですが。」
「そうだけど。」
「マジっすか。」
そう話していると、無意識に笑いが溢れた。
「ははっ...こんな笑ったの久しぶりかも。先輩の部活、入ってもいいっすか?なんか普通じゃない生活が出来そうなんで。」
「第2の人生、思う存分楽しめるだろうな。」
そうしてまた笑う。
どうやら新たな人生は、楽しくなりそうだ。