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第二章プロローグ
―――――どうしたんだろ、ウチ。
絶え間なく強い鼓動を刻んでいる心臓。
それと同時に、体が熱くなってゆくのを感じる。
目の前の一人の男の子から目が離せない。
周囲の罵声も、蔑みも、彼には多分全然聞こえていない。
全く、響いていない。
強い意志がこもった目。
躊躇いのない体の動き。
その一挙手一投足が―――――魅力的で。
ウチはただ見惚れていた。
「最下位のクセに……!!! さっさと倒れろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
もう周りで、彼に罵声を飛ばしている人はいなくなった。
皆固唾を呑んで目の前の闘いを見守っている。
―――――二年生の序列最下位。
いや、もう序列とかどうでもいい。
これは。
この感情は、多分―――――恋だ。




