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序列最下位の陰陽師、英雄になる。  作者: 澄空
第一章 《序列最下位の陰陽師、英雄になる。》
37/226

第37話『時代は貴方に委ねている』





『……狐、お前モ私と同じ人種ナはずだ』


「俺はそんな気持ち悪い姿になりたくないけど?」


『論点を変えルな。……求道者ぐどうしゃであるか、そうでないか、という話だ』


「……」


『お前は、アノ日、私の教え子をなぶっタ』


真崎と蓮司―――――。

それは記憶に新しい仁の激情。


「気に食わなかったからな、アイツら」


『オマエも、『新型』を認めたくないのダロう?』


「……」


不意に脳裏に浮かぶは、あの日の仁の言葉―――――。

『―――――()()()()が、いっちょ前に陰陽師の真似事か?』


「……確かに、俺は()()が大嫌いだ」


「事象制御を可能とする機械を式神を呼び、いっちょ前に狩衣を着て、悪霊に向かっていく姿は笑えるよ。

と言ってやってもいい」


―――――あの日。

真崎達に同じような言葉をぶつけていた姿と重なる。


「科学で陰陽道を体系化した?

……ふざけんな。それは陰陽道でもなんでもない。……ただの科学だ」


『……』


「陰陽師とは、『求める者』のこと。

さっきお前はという言葉を使ったが、それで正解だ。

誰かを助けるためだとか、甘っちょろいこと言っている奴もいるけどな」


仁が一瞬、こちらを見たような気がした。


『……なら、オマエは私の本懐(ほんかい)ガ理解でキるだろう。

更に先へと!! 私は進ム!!!!』


「……」


一瞬の静寂。

辺りでは炎が爆ぜる音だけが鳴り響く―――――。


「アンタはだよ。

現状に満足せず、自分なりの探究心を持ち合わせている。

悪霊祓って満足してる馬鹿共よりはまだマシ。

……でもな」


仁は真っ直ぐに先生を見据え、そして言い放った。



「お前は、ただの


他人の命を踏みにじることを何とも思っていない、人間のクズだ。


『新型』()()()、……俺はお前の方が大嫌いだよ」


それに……、と仁は言葉を付け足す。


「『新型』の中にも、なかなか()()()()もいることが分かったしな」







『……見解の相違、ダナ』



「アンタとは議論をしにきたわけじゃない。

……そろそろ、始めようか」


双方共に爆発的に高まる霊力。

ぶつかり合い―――――共鳴。

それは風圧と衝撃波を伴い、崩壊したビル群をさらに振動させる。

―――――凄い。

双方共に、「個」としては完全に規格外の霊力。

大地を鳴らし、大気を振るわす。

それはまさに、人智を越えた所業。





「―――――()()()、だ」



仁は笑みを浮かべながら、ゆっくりとパーカーの袖に手をかける。


『何を、言っテ……?』



「成神発動の第一原則、式神との融合。

これは正解―――――。

成神の発動には式神と()融合する必要がある」



仁が漆黒のパーカーの袖をまくり上げると、見えるは二の腕の部分、()()()()()()()()()



「第二原則、魂の贄。

アンタはで勝負したようだが―――――不正解。

贄にするべきは、()()()でいい」


「仁……?」


「第三原則、大霊場の発現。

……残念だが、これも不正解だ。

意図的に新都(ここ)の地場を狂わせたみたいだが……解釈の違いだな。

地球全体を巨大な霊場とみれば、どこでも

だから、三つ目の原則は別に考慮しなくてもいい」


『……!!』


仁は護符が縫い付けられた右手で、刀印を結ぶ。

そして―――――。

の甲に浮かび上がる


『馬鹿ナ……』


それは紛れもなく。


五芒星(セーマン)……!!」


―――――清明の式神の暗示。


「文献などで伝承されている原則はここまで。

以上のように術式を組むことに加え、成神の発動原則には()が存在する」


『オマエはっ……、一体何なンだ……!!!』




「……四つ目の原則、それは()()()()()であること」



で、刀印を結ぶ仁。

その手の甲に浮かび上がるモノ。

格子状の

即ち、格子印(ドーマン)



「天、出てこい」


《……ようやく出番か》


声に呼応するかのように、仁の傍ら一匹の狐が出現する。

それは式神と言うにはどこか人間くさい。

いつの間にか、俺らの中に溶け込んでいた霊獣、天。


『オマエ……、その式神ハ……、まさか……!』






「……式神解放、神名『 』」




「『っ……!!!』」





眩い閃光が『天』から発され、辺りに満ちていた禍々しい霊力を上書きしてゆく。

それは、まるで―――――浄化。

聖なる光に包まれるかのように、天の姿が変化していく。

体は巨大化し、仁や俺の背丈を優に超える体躯。

全身からは、どこか感じたことのある神聖を伴った霊力を発している。


『何で……オマエが、それを()()()()……!!』



「十二天将、天空……!?」




「……ここからが本番だ」


仁は()を組み、刀印を結ぶ。


―――――その瞬間。

爆発する清らかな()霊力の奔流。

暗黒と紅蓮に燃える新都を照らす一筋の光。

眩い閃光の中で、仁は只一人不敵な笑みを浮かべていた。






「―――――御覧に入れよう、真の()を」










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