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崖下散り桜  作者: 気分屋な人参
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第一話

このストーリーは幼いころに作ったもののため、矛盾点などがあるかもしれません。それらを理解した上で閲覧していただくと助かります。


俺はジャル。普通の高校生だ。俺は普通にここで暮らしている。

しかし、この街には、崖が沢山ある。そしてそこに、桜が沢山生えているのだ。

ありえない方向で立っているその姿は、非現実を感じさせる。

そんな街だが、それ以外は特に変わりのない普通の街だ。そんな所で俺は暮らす。

今日も虚無を感じる一日だ。今は二学期。俺は入学したとき誰とも話さずに過ごしていたため、誰とも友達を作らずに一学期を過ごした。いわゆるボッチというものだ。俺は人とは関わりたくなかった。理由はめんどくさい。それだけ。そんな日々を過ごしていたら、退屈さを感じる。

いつも通りに着替えて、いつも通りに登校して、つまらない授業を受けるのだ。人生とはなんだろう、と、変なことを考えたことがある。そんなことを考えていても、時間はすぐに経つわけじゃない。

そんなことを思っていたー



9月中旬の朝、俺ことジャルはいつも通りに起きた。せっせと支度をして、着替えて行こうとしたとき、妙な頭痛があった。

ジャル(おかしいな…頭痛は持ってないはずなんだが…まあいいか、頭痛薬はあるしそれ飲んでいこう)

ゴクリと薬を飲み、扉を開けて外へ行く。外には、相変わらず不自然で不思議な崖に立つ桜がある。

ジャル(…ん?)

違和感を感じた。

この桜には、もう一つの不思議がある。

それは、



一生桜の花が咲かないこと。



俺は一生で一度もここの桜の花が咲いたのを見たことがない。

それと同じように、他の人もここの桜の花が咲いたのを見たことはない。それは、「絶対」の事であった。だけど、自分は見えた。というより、見えてしまったような感じだ。

ジャル「嘘だろ…桜の花が咲いてる…!?」

恐らくここ数年で一番驚いた事であろう。

でも、桜が満開というわけではなく、たった一輪だけがひっそりと咲いている。

ジャル(一体何故、一輪だけ咲いているんだろう)と、そう思った。

でも、この事は、始まりに過ぎなかった。



そこで俺は目を覚めた。

ジャル(うん…?)

身体を起こす。

ジャル(あれ?俺は確か、学校に登校していたはずだ)

ジャル(しかもー)


ジャル(ここ、見覚えが、ないー)


全く知らない景色。ここは何処なんだろう。

ジャル(あれ…?)

ジャル(そういえば、何も手に持ってない)

ジャル(カバンを持っていたはずなのに…)

ジャル(ここは…一体どこなんだ?)

ジャル(俺は、一体どうなってしまったんだ…?)


しばらく周りを見渡した後、ようやく歩を進めていく俺。ここの景色は異常だ。

なんというか、近未来的な感じだ。光の街が辺りを包むように明るい。車のようなものが空を飛んでいる…

ジャル(って、ん?)

ジャル(え?空を飛ぶ車?)

ここの景色は驚かされるばかりだ。そういえば、なぜこんなところに来たんだっけか…

ジャル(恐らく原因は)

ジャル(あまりにも非現実で不思議で、不可解なことだけど) 

ジャル(あの崖の桜の花の一輪がもたらしたものではないのか?)

ジャル(そんな現象あるわけないはずなのに…一体何がどうなっているんだ?)

ジャル(それにしても、人が沢山歩いてるけど)

ジャル(みんな機械の様な動きかたをしている…)

ジャル(これは、もしかして)

ジャル(いわゆる、AI的な物なのだろうか)

ジャル(だとしたら)

ジャル(この世界に人は居るのだろうか)

ジャル(そしたら、この世界には何があるんだ?)

ジャル(でも、とにかく何か探さないと何も起こらない)

ジャル(どこか特徴のある建物に行こう)

そしてまた歩を進めた。ずっと同じ風景だった。ずっと同じ景色のビルのような光が並ぶ。気がおかしくなりそうだった。

ジャル(一体いつまで経ったら違う建物に着くんだ…?)

永遠というのがどれくらい怖いのかがわかった気がする。

かれこれ数時間経った頃だろうか。見た目が違う建物を見つけた。

ジャル(色が違う…?)

ビルのような建物とは違い、高さも広さも段違いだ。

ジャル(この建物はどんな意味が…?)

ドアに手を触れてみる。びくともしなかった。

ジャル(当たり前か…ならこれなら!)

そう言って今度はタックルをして扉を突き破ろうとした。

結果は、無傷。

ジャル(嘘だろ…無傷かよ)

ジャル(この世界には何をする価値があるんだ)

ジャル(機械人形を働かせて)

ジャル(なんの利益を得ているんだ…?)

ジャル(そうか…この世界は)

ジャル(一つのテーマに沿って作られているのか)

ジャル(おそらくそれは…)

[虚無]

そう、この世界は、[虚無]だった。

何もなかった。

あるのは同じ建物、同じような人たち。というよりも、機械。

わけがわからない。一体、俺は何を見せられてるのだろう。

そして、この世界は唐突に終わりを迎えた。

急に世界の辺りが真っ白になったのだ。

ジャル(何だ…?当たりが白くなってきて…)

それと同時に、この世界の記憶も薄れていく。

気づいたら、元の世界にいた。さっきと同じ時刻。そして、


俺はあの世界のことを覚えていなかった。


ジャル(あれ…?なんか頭が痛いな)

ジャル(何かあった気がする…)

ジャル(まあいいや、さっさと学校に行こう)

そうして俺は歩を進めた。

ジャル(やっぱり…なんだろう)

ジャル(何かが足りない気がする)

ジャル(何が足りないのか分からない)

ジャル(何も思い出せない)

ジャル(けど一つ)

ジャル(分かる感覚がある)

ジャル(記憶が消し飛んだ感覚だ)

違和感がありながらも学校に着き、HRが来る。

ジャル(なんだ…これ…?)

俺はなにか足りないような気がした。

担任の発言が中途半端に聞こえる。

数学の授業。

4b-5b=b。

ジャル(あれ…おかしい)

ジャル(何かが…おかしい)

ジャル(でも…何が足りないのかがわからない)

俺は強く疑問に思いながらも授業を終えて、帰路を辿った。家の扉を開ける瞬間、頭に激痛が走った

ジャル(な…なんだこれ…!?頭がかち割れそうだ…!!)

ジャル(まずい…視界が暗く…)

そして、直ぐに意識を失った。



黒かった。背景は黒かった。

ジャル(…)

俺は何処かで目を覚ました。

ジャル(なんだここ…何も無…!?)

頭にその言葉が出た瞬間。凄まじい痛みが走る。

ジャル(まさか…不足感はこれのせいか…?)

きっと、いや絶対にこれが足りなかった。担任は0や無のことを一つも話さなかった。

ジャル(ここは…虚無だ。)

記憶が思い返される。

あれは…あるようで何もない…虚無だ。

ジャル(なんで無を忘れていたんだろう…?)

何なのだろう。これは。まるで感情が欠如していたかのような感じだ。まさか…

ジャル(あの桜の…せいなのか…?)

ジャル(だとしたら…)

ジャル(仮にもしも)

ジャル(あれがすべて咲き誇ったら)

ジャル(全てを失うことになるんじゃないか…?)

こんなブラックなファンタジーな話はどこも聞いたことがないだろう。もしも桜が咲き誇ってしまったらすべてが無くなる。これは、地獄と呼ぶべきだろうか。現実逃避をできる天国と言えるのか。でも、

ジャル(こんなの一体誰が望んでるんだ…?)

ジャル(神か?人間か?それ以外か?)

ジャル(どの選択肢にしても)

ジャル(そいつは狂っているのは間違いない)

ジャル(でも)

ジャル(俺は虚無を思いだすことができた)

ジャル(世界は果たして覚えているのか?)

ジャル(虚無を)



目を覚ます。

ジャル(あの事を覚えている…)

俺はそれを確認した。果たしてこの世界は(無)があるのだろうか。そう思いながら扉を開け、家の中に入る。

(無)かあるか確認する手段として、テレビを見ることにした。

いつも通りのニュースだ。

ジャル(いや…まて)

ジャル(やっぱり)

ジャル(ない)

ジャル(「虚無」が…)

ジャル(やはり無くなっていたか…)

ジャル(このままじゃいずれ全て忘れてしまうのか…?)

ジャル(いや、待てよ)

ジャル(俺が…「虚無」を伝えれば

みんな忘れることを防げるのかもしれない…)

ジャル(でも…どうやってやるんだろうか)

ジャル(俺は友達を一切作ってこなかった)

ジャル(どうやって伝えればいいんだ…?)

分からない。ただその単語が頭中を駆け巡る。

どうすればできるのか。その質問を、何度も自分に問いかける。

だが、もちろん答えは返ってこない。分からないからだ。

ジャル(すべてが無くなるのを防ぐには…誰かしらやはり友達のようなものを作らなければいけない…いや、友達でなくてもいい。知り合い程度にならなければならない。)

ジャル(どうすればいいんだろうか…)

そう思う束の間、結局まとまらずに寝てしまった。


翌日。学校に歩を進める。その途中に、桜を見つけた。

ジャル(まさか、増えてるとか言わないでくれよ…)

そう思いつつ、視線を合わせた。桜の花の数は増えていなかった。

ジャル(良かった…)

その瞬間、頭ではなく心臓に激痛。

ジャル(がっ…!?まずい…!!)

前のときと同じ感覚を覚えた。

これは、つまり桜の花が咲く前兆と言えると言う事だ。

振り切れ。耐えろ。そうしないとマズい気がするからだ。

視界がぼやけて、また、

俺は意識を落とした…



深い海だった。俺はそこに立っていた。何も見えない。聞こえない。恐怖が自分に殴りかかる。それを俺は耐えながら、考える。

ジャル(ここは、どんな世界だ…?)

俺はもう察していた。きっと桜の花は咲いてしまったのだと。

ジャル(歩ける…?水の中を…?)

まるで透明な地面があるかのように、俺は今歩いている。ずっと黒い水面が続いている。

しばらくして、俺の身体に異変が起き始めた。

若干だが、身体に光が纏っているのだ。それは、だんだんだんだん大きくなって…

気づいたら海が青だと分かるようになっていた。

ジャル(なんで光っているのだろう)

と、当たり前に疑問に思う。

ここはどこなのか。どんな場所なのか。どのような目的なのか。

まだ何も分かっていない。

そう思って、歩を進めた瞬間に、「水面が割れた」。そのとき、すぐに上の海水が凄まじい勢いで流れ込み、俺は沈んでいった…

意識が飛んだようだった。何も覚えていなかった。沈んでいたときのことを。

ジャル(う…ん?)

俺はまた「地面」で起きた。さっきとは違う風景だった。まるで、何かの都会のようだった。水だけで建物が表現されている。

そこの看板にはこう書いてあった。


「悲しさあり」


俺はどういう意味かがわからなかった。

ジャル(悲しさあり…?悲しさありとは、一体どういうことだ…?)

ジャル(まさか)

ジャル(ここは「悲しさ」の場所…?)

ジャル(一体どんな世界なんだろうか)

建物を見ていて、俺は不思議に思った。

ジャル(誰一人、人や生き物がいない…)

前回の「虚無」。これは、AIのような人間がずっと動いているだけのところだった。

しかし、今回は何もないのだ。

あるのは水で作られた建物のような物だけ。

ジャル「何もない…」

ジャル(もしや、また「虚無」なのか…?)

ジャル(いや、きっと決定的な違いがあるはず)

俺はそう思い込んで、歩を進めた。

そうすると、進展があった。

それは、看板がまたあったことだ。そして、そこには、

「女王の物語」

と書いてある。

そして、その看板の先を見ると、

ある一人の女性が水で型どられていた。

その女性は、水で作られたティアラをつけ、勇ましく立っていた。

ジャル(この人が…女王?)

ジャル(一体この人は何をするんだろうか)

そう思っていると、世界が変わった。

先程まで水しか無かった建物、そして水で作られた女王は、

まるで現実のようなものになっていた。

ジャル(何だ…!?視界が変わった…!?)

そう思っている束の間に、ナレーションのような声がした。

ナレーション「この物語は、女王の悲しい物語。」(以下ナと略す)

ナ「ある日、大きな城に携えた女王の玉座に腰を下ろした女王が一人いました。」

ナ「女王は兵長を呼びました。それは何故か。それは、近頃民の争いが絶えなかったからです。」

ナ「それに腹をたった女王は兵長を呼び、民を止めようとしたのです。」

ナ「女王は自分の事だけを考えるような、自己中心的な人でした。

女王は怒りという感情で動きました。」

ナ「女王は言いました。「民の代表者を呼びたまえ。公で処刑してやろう。」と。狂った女王には、民は反発しました。しかし絶対王政であったこの城の民達は、抵抗しても効果がなかったのです。」

ナ「数日後、民の代表者が呼ばれ、処刑されることになりました。」

ナ「女王は処刑執行人に殺せと命令しました。そのとき、民の代表者は殺される前にこう言いました。「お前が死ぬまで呪ってやる…あんたは楽には死なせんぞ…」と言いました。女王は笑いました。」

ナ「しかし、この「呪い」は本当に出てきたのです。」

ナ「民は徹底的に抵抗し、兵は一部民に加担し、そして、女王の妹は病死してしまったのです。」

ジャル「なるほど…悲しみありとはこういうことだったのか…」

建物だけでなく、今回はギミックがあった。そして、この物語はまだ続くように思えたが、急に水に戻ってしまった。

ジャル「戻っ…た?」

そう思った束の間、天井に穴が空いた。そして、まるでブラックホールのように吸い込まれてしまった。

そして、目を覚ました。

ジャル「まだ物語は途中のはず…だけど目が覚めた…」

てっきりすべてが終わったらだと思っていた。

しかし、今回は違かった。

ジャル(とりあえず)

ジャル(ここはどこだ?)

あたりを見回す。

ここは家だ。

ジャル(家か…)

ホッとした俺は、時計を確認する。

夜の9時だ。

ジャル(ん?待て…)

そこで俺は思い出したかのようにハッとした。

ジャル(気絶する前は桜の前にいたはず)

ジャル(でも)

ジャル(気絶している間に移動をしている)

これは無意識なのだろうか。

覚えてないだけなのか。

それとも、

「桜」が関係しているのかー

よくわからない。

ジャル(やっぱりこの桜は分からない)

ジャル(一体何が目的なのか)

ジャル(こんなことをしてなんのメリットになるのか)

ジャル(そして、なぜ世界から「虚無」がなくなったのか)

ジャル(謎を紐解いていかなくちゃいけない)

ジャル(考えても仕方がないか)

ジャル(…寝よう)

そうして俺は眠りについた。

 一話 完

最後まで見ていただきありがとうございます。第二話は現在制作途中ですが、作者名の都合上気分屋です。ご容赦ください。

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