稽古
ルラ「な、…何で…こんなことに…」
ルラが満身創痍でそう呟いた。
エトル「そんな弱くてまともに魔物と戦えるわけないだろ」
エトルが3人に稽古をつけていた、と言うより3人が修行してる中で1人だけサボってるエトルと言った構図にしか見えなかった。
ルミナスとルーヴァは能力の強化のため、ひたすら能力を使い続け、能力の使えないルラは…
ルラ「いくら何でも魔力の塊出し続けるだけの修行は…精神的にキツいぃぃ!」
ルミナスがひたすら炭の塊を出し、ルーヴァがそれをひたすら圧縮するという内容だった。
一方ルラは目に見えないただただ魔力を垂れ流すだけの何の面白みのない稽古をかれこれ3日続けていた。
ルミナスとルーヴァは少し離れたところでやっていたため、高いところで寝っ転がりながら自分を見ているエトルにプレッシャーを感じ、更には話し相手もエトル以外いないから1人だけハードルが高いように感じていた。
ルーヴァ「アタシ剣士だよ!!能力強くする意味なくない!?」
ルミナス「私だっって!私だってただの魔法使いだもん!」
稽古内容に不満を垂れ流すエトルに仕方ないと言った感じで稽古内容を次へ進めることにした。
エトル「そんじゃあ俺と少し戦ってみるか。3人まとめてかかってこい。ルミナスとルーヴァは出来るだけ能力を使うように。」
そう言うと3人は早速戦闘体制に入った。
ルーヴァは剣を抜き、ルラとルミナスはうっすらと魔力を掌に込めた。
そして最初に動いたのはやはりルーヴァだった。
突進するようにエトルに斬りかかった。
横に切り飛ばそうとした剣をエトルは片足の靴の裏で受け止めた。
すかさずルミナスとルラが魔法を打った。
ルミナス「炎魔法」
ルラ「斬撃魔法」
幼馴染のコンビネーションだからか、息が合っているようにルーヴァが上手く避け魔法がエトルに当たった。
エトル「このくらいなら簡単な魔力の壁を作るだけで十分だな」
そう言いながら何も無かったように立っていた。
エトル「能力使ってみな」
ルミナス「そ、そんなこだわる〜?」
と言いつつルミナスもルーヴァも能力を使った攻撃を放った。
ルミナス「火魔法・炭粒火炎玉」
ルーヴァ「はああぁぁあ!!」
ルミナスは火の玉の中に粉程度の炭を入れ、ルーヴァは剣の周りの大気を圧縮させて攻撃力を上げて切り掛かった。
かなりいい攻撃を出せた感じではあった。
しかし、ルミナスの魔法を左手で受け、ルーヴァの剣を右手の人差し指と中指で挟んんでガードされた。
エトル「少しだが、強くなった感じがするだろ?」
ルーヴァ「今までで1番いい攻撃だった気がする…」
ルミナス「そんな感じがしましたっ!!」
エトル「この世界において能力は大事だ。何を鍛えるにしても先ずは能力の強化をしてから本業を鍛えるべきだ!」
少し妬ましいと言った顔をしているルラに対してこう言った
エトル「お前は能力の強化ができない分、その時間を魔法に費やせば2人に負けない力になる。絶対だ。俺が保証する。」
ルラ「ホントに?」
エトル「…本当だ。」
そう言うルラがやる気を出したような仕草をし、3人とも再び稽古に励んだ。
明後日…
エトル「では座学の勉強を始めよう!」
エトルが教師っぽくそう言うと、ルーヴァとルラが少し嫌そうな顔をしていた。
3人は近くにあった石に腰をかけてエトルの話を聞いた。
エトル「まず、能力の説明をする。能力は世界中の誰もが使えて人それぞれ持っている特殊な力のことだってことは分かるよね。能力の強さに大小は無く、強力な能力ほど扱いが難しく小規模でしか使えず、逆にあまり強くない能力ならとても扱いやすく伸び代が高い。だからどれだけ能力が強かろうと弱かろうと関係ないってことさ。」
それを聞いたルミナスが複雑そうな感情で質問した。
ルミナス「じゃあ私でも頑張ればいつか強力な能力になれるのかな?…」
エトルが自信満々に言った
エトル「なれるさ」
そう言われてルミナスは少しだけ嬉しそうに笑った。
エトル「次に魔法の説明をする。魔法は基本的には魔法使い以外は能力や剣術といった本業のサポートにしか使い道がなく、魔力も使う分通常コスパが悪い。」
魔法使いであるルラとルミナスが不服そうな顔をしたが、続けてエトルが説明した。
エトル「だけどあるか無いかで言ったらあるに越したことは無いし、魔法を知ればさまざま能力の応用もできるし勉強になる。」
そう説明した後、手をパンッと叩いて笑顔で言った。
エトル「という訳でルーヴァは剣術・魔法・能力を」
ルーヴァ「そんなに〜?」
エトル「ルミナスは魔法と能力を」
ルミナス「がっ!頑張るっ!」
エトル「ルラは…」
ルラ「…」
エトル「ルラは魔法と座学を徹底的に!」
ルラ「ばっちこ〜い!!」
その後、エトルによる地獄の指導により順調に強くなって行く3人組。
月日は流れ、一ヶ月後…
エトル「俺からの修行はこんなもんかな?」
ルラ「ホントに!?」
すごく嬉しそうに聞くルラに少し呆れ気味に返事をした。
エトル「次は実戦だな。」
ルーヴァ「いよいよ強い魔物と戦えるってわけか…。」
エトル「魔物だけじゃ無い。犯罪者とか人間相手もした方がいい。絶望の王や四天王は普通の魔物と違って魔ビトだからな。」
ルラ「魔ビトって…確か」
ルミナス「一般的に見る魔物と違って人間と同じように喋れたりできる人間型の上級魔物のことだよ。」
ルラ「そうだった!忘れるところだった。」
ルミナス「忘れてたんでしょ?」
ルラ「申し訳…ない…。」
ルミナスに便乗してからかう様にエトルが問題を出した。
エトル「マ族とヒ族の意味は覚えてるかぁな?」
ルラ「流石に覚えてるよ!魔物側の生物と人間側の生物って分類でしょ!馬鹿にしないでよねっ!」
更にエトルが畳み掛けた!
エトル「どっちがマ族でどっちがヒ族だっ!」
呆れる様にルラが答えた。
ルラ「魔物側がマ族で人間側がヒ族ね。」
エトル「残念〜。正解は逆でした〜。」
ルラ「えぇっ!?嘘でしょ?」
エトル「嘘でした〜。」
エトルのからかいにルラが拗ねてそれをエトルが謝りながらニヤニヤしていた。
エトル「じゃあそろそろ新しい国へ行くか。」
ルラ「うん。」
4人は荷造りをし、今まで訓練場にしていた場所を出て旅へ出た。
投稿ペースが遅く、大変申し訳なく思います。
ごめーん
もしみている人がいればコメントなどがあればモチベになります!よろしくお願いします!