表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
177/177

そして、その後は平穏無事に

彩音は窓から離れ、鍵を締めた。カーテンをしめようとしたところ、翼がはためく音が聞こえた。夜だというのに鳥が飛んでいるのだろうかと不思議に思った。気のせいだったのだろうか、夜の街頭ではやはり夜空に鳥が飛んでいる姿など見えなかった。

ふと通りの方へ目線を落としたところ、電信柱の向こう側に猫の姿を見たような気がした。電信柱の向こう側がほんのりと気味の悪い色を帯びているように見えた。オレンジのようにも緑のようにも見えたけれど、向かい側の車のヘッドライトと、そこにいま通り過ぎた自転車のライトが混じったのかもしれない。そんな風に思っただけで、その後、彩音の身にはなにも起きることはなかった。


翌朝も母はいつもどおりに「おはよう」と言って朝食を用意してくれた。父はちょうど出かけるところで、彩音は何年かぶりに「行ってらっしゃい」と言えた。音華は慌ただしいけれど、いつもらしく、いつもどおりの朝だった。


その後、彩音は二度と不思議な光を見ることもなく、校内で猫の姿を見ることもなかった。自由室に行くこともなくなり、片岡から声をかけられることもなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ