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お湯を注ぐんだけどさぁ、
みんなの湯呑をあらかじめテーブルの上に用意しておく。
お湯が湧いたらそれぞれの湯呑にそのまま注ぐ。お父さんのはおっきくて、お母さんのはペアだけど一廻り小さくって、彩音のはいつだか母が買ってくれたピンク色。とても自分らしくはないのだが長年使っている。
「おねえちゃんのって、長いよね。」
「湯呑は滅多に割れません。」
「ごめんなさいー。わざと割った訳じゃないけどー。」
彩音のとお揃いだったオレンジの湯呑を音華はとっくに割ってしまったのだった。いまは誰だかに誕生日プレゼントでもらったクマ太郎のを使っていた。