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わざとらしいんだけどさぁ、
「ううん、そんなこと。」
「じゃ、どうして?」
「いやぁ、理科にそんなに興味はないし。」
「楽しそうに見てたじゃん、撹拌。」
「いやぁ、そう言われても…。」
そこへマイバッグを抱えた母がやって来た。音華が告げ口したことは明らかだったが、ありがたいような面倒くさいようななんとも言えない気持ちを彩音は抱えた。
「あら彩音。」
このひと声があんまりわざとらしくって、彩音は返事をしたくなかった。
「お母さんですか?私、片岡真弓といいます。」
いかにも学級委員長な良くできた挨拶だった。