162/177
やる気はないんだよねぇ
「あ、…えーと、…ごめんなさい。」
片岡は彩音が言葉を続けるのを待った。
妹の音華が通り過ぎて行った。音華は彩音に気づいたが、異様な空気を察してそのまま通り過ぎていった。彩音と目が合ったのにまったく声をかけなかった音華を、彩音はむしろありがたく思ったけれど、母に告げ口されているだろうなと想像するとうんざりもした。
「なんで?謝るの?」
「…クラブに入る気はないから。」
「香奈子ちゃんとも仲良いみたいなのに。」
「別に仲良くはないし。」
「引いた?お兄ちゃんとあたしのこと。」