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そして会話は続く
彩音は返事をせず、ただ縦に一度だけ頷いた。
「昨日…見た?」
「なにを?」
「いたでしょ?理科室の外側。夕方。」
「ああ、日直で遅くなって。…理科室前の花壇のところに猫がいたから。」
「それだけ?」
「う、ん。」
彩音はなんだか言い訳させられた上に尋問されているような気にさえなっていた。そして、この会話を早く終わらせたくてこう言った。
「ほかになにかあった?」
「あ、ううん。私は係で、ほら、今日の授業の準備してたんだけど、変な時間に小山さんを見かけたからおかしいなって、ちょっと気になっちゃって。」