138/177
暗がりに佇むのは
恐る恐る彩音は暗がりに向かって目をこらして見直してみたところ、それはいわゆる人体模型だった。子供サイズにしては小柄だけれど、心臓とか身体の臓器がどこにあるかを指し示すマネキン人形。それは「ジンくん」と呼ばれていた。
「嫌がらせ?」
彩音は思わず呟いたが、片岡は返事をしなかった。
暗がりに見えるジンくんはいかにも不気味で彩音は近寄りたくさえなかった。そして言わずもがな、ジンくんは動くことがあると噂されていた。ハシゴと会話をしてるなんていう人もあったっけ。