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なんで怒られてるのかな
本校舎から理科室へとつながる渡り廊下を、片岡さんがまたやって来るのが見えた。
彩音は片岡さんに見つからないように校門の方へ行こうとしたが、すでに遅かった。
「小山さんッ!」
テニス部の一部の人達が気づくくらい大きな声で呼び止められ、流石に無視できなかった。仕方なく彩音は片岡の方に向き直った。理科用具が入れられた専用箱を抱えた片岡が鬼のような形相を見せていた。彩音には片岡に怒られる理由なんて、もちろん思い当たらなかった。
「ちょっと手伝ってよ。」
彩音は返事をせずに立ち尽くしていた。
「ほら早く!」
「あ、でも…、上履きに履き替えなくっちゃ。玄関まで一廻りして…」
「そこのサンダルでいいから!」