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ついに見かけたネコは
「あれだろ?」
キーちゃんが独り言のように呟いた。珍しく、佐伯先輩が立ち上がったかと思うとキーちゃんの横に立って、一緒に外を眺めた。
「うん。ロビン。」
彩音はその名前に引かれてキーちゃんと佐伯先輩の間に割って入り、窓の外に目をやった。テニスコートの方には見当たらず、理科室は見えないし、左側を見て右側を見て辺り一面を見回した。
「ほら、体育館の入口の向こう側。」
たしかに、そこに虎模様のでっぷりとしたと言いたいくらいのいい体つきをしたネコがゆったりと歩いていた。