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カメまで来たよ
彩音はなんとなく佐伯先輩の斜向いに座ったまま、なんだか「吉永さん」て名前を出したら行けないような気がしてなにも言えなくなってしまった。とはいえ自由室でしたいこともなく、時間を持て余しながらも教室に戻る気がしなかった。
自由室のドアが開くと、カメが入って来た。
「やっぱりここだったか。」
彩音は返事をせずにいた。
「どうかなさいましたか、秋山先生?」
右ちゃんがすかさず助けてくれる。
「いえね、こいつテニスコートのとこでモタモタしてたから教室に戻れって言ったんですけど。」