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自由室ではやっぱり
けれどやっぱり、なんだか自分の教室には戻る気がしなくって、彩音は自由室に立ち寄った。そしてやっぱり佐伯先輩がいた。
「小山さん、調子はどう?」
自由室に入ると右ちゃんに必ず聞かれる。「また来たの?」じゃないだけいいんだけど。
「うん。」
これ以外に彩音には答えようがなかった。佐伯先輩は時間割どおりでもないみたいだけれど、常に自習はしてた。絵を描いてることや、いまみたいに本を読んでることも多かった。佐伯先輩は不意に話しかけられるとパニックを起こすみたいで、彩音はできるかぎり言葉をかけないように心がけていた。