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図書館へも行ってみたんだけど、
なんとなく久しぶりに彩音は図書館へ行った。ただなんとなく、光の元を探してしまうことがあった。学校の図書館でそれを見かけたことはないのに、そうやってはあの図書館やおねえさんのことを思い出したりしていた。借りたというか、もたされた二冊の本を返しには行かず、結局は母が返しに行ってくれたのだった。そして彩音自身があの図書館へ行くことは二度となかった。今日はそんなことまでふと思い出したりしていた。
窓辺に立ち、なんとなく外を眺めていた。テニスコートを区切る生け垣の影のところに、あの猫がいた。