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放課後の教室で
中学二年生の彩音は今年二回目かな?の日直のいち日を終えようとしていた。同じく当番の竹田は帰ってしまった。「特になし」ばかりにしたら前回は注意されたので、差し障りのないことばかりを考えながら学級日誌に書いていた。
教室の後方、窓際近くで矢口と峯岸がくだらないお喋りを続けている。好きなアイドルがどうとか、三年のなんとか先輩の方がかっこいいとか、どこそこのパンケーキを食べに行こうとか。ネタは尽きることがないみたいだけれど、掃除も終わった放課後のがらんとした教室、一人っきりになるよりマシと思って我慢しつつ日誌を書き続けている。