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ある日化け物がやってきた  作者: まろん
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始めてです。よろしくお願いします。


「結絆、遅刻するわよ!早く起きなさい!」

少し焦り気味な声が、私の耳を刺す。

目を時計にやると、もう7:30。確かにそろそろ起きなきゃ。

「わかってるって。今日の朝ごはん何〜?」

大きく伸びをして、ボサボサの髪をかく。いつもと変わらない日常が今日も始まった。

寝起きのせいか腫れぼったい目を擦りつつ、私は準備を始める。

両親は共働きなので、ゆっくりしてはいられないのだ。

肩ほどある髪をポニーテールに括り、制服を身につける。軽く朝食を取ったら、いつもの快活な私の完成だ。


「いってきまーす!」

「いってらっしゃい。」

「気をつけろよ〜。」


今日もいい天気だ。なんだかやけに青い空を眺めつつ登校する。自分の動きに合わせて影が動くのをぼんやりと見ながら学校に向かっていると、知人が話しかけてきた。顔をあげ、手を大きく振る。


「おっはよー!」

「あ、おはよう!大丈夫?休んでいたみたいだけど。」

「あーあれ。なんか疲れ溜まっててね。ずっと寝込んでたんだよね。」

「そっか。お大事にね!ところで今日の宿題ってさ」


ビキビキ


「あれ?なんか変な音聞こえなかった?」

「私も聞いたよ。なんだろう?」


ビキッバリバリ


いきなり空間が裂けた。いや、裂かれた。ゾンビの肌のような色の大きな手―しかも所々にギョロリとした目がついたモノ、が裂け目をひろげているのだ。空間は元に戻ろうとしているかに見えたが、異形の手に負けてしまった。


そしてついに、開かれてしまった。


数多の異形が、雪崩れ込んできた。皆くすんだ赤や青、緑の肌を持ち、耳や手、目玉が体のあちこちについている。人のような形をしたモノ、動物のようなモノ、様々だ。

グチャグチャやぬちゃぬちゃといった気味の悪い音を立てながら、奴らは蠢いていた。

気持ち悪くて吐き気がする。それに、目眩も。


「あ、あれ、み、みま、違いだよ、ね。あんな気持ち悪い異形。」

「い、や。……私も見えるよ。それも、沢山」

「ぎゃあああああああああああああああああ!」

「あり、ありあり、で、出出で」

「いるいるいるいるいるううううう、オリ」

「あ、結絆!逃げて!」

「へ」


ガシ


さっき空を裂いた手が私を掴んできた。身体中に怖気が走って、なんとか逃げようともがくけど、それを意図も容易くそいつは私の必死の抵抗を抑えた。汚い黄色の歯が並ぶ口を大きく開けるのが目に映る。


「いた、いただきだきだき馬うまま」

「やああああああああああああああ!」

プツン


いつまでも肉を食いちぎられる痛みが襲ってこない事に気がついて目を開けると、そこは、この世とは思えないほど美しいところだった。彼女の頭上と下には、青空が広がっていた。まるでウユニ塩湖のように、空が水に映っている。クルリと右向きに回って辺りを見渡すと、朝焼け、昼間、夕焼け、星空と空が変化していってとても不思議だ。


だけれど、私はここに来た事がある?


「てかなんでこんな所に私、いるの?!帰れるかな。」

「いや、やればできる。できるぞ、私。」


プツン


「あ、帰ってこれた。」

「きゃああああああ!消えたと思ったら、現れた!ていうか、助けてよ〜!」


どうやら帰ってくる事には成功したようだ。

私が居なくなっていた間に知人が化け物に捕まっていたようで、彼女は足を掴まれ宙ぶらりんになっていた。

化け物は心なしか楽しそうに彼女を弄びながら、その牙がサメの歯のようにたくさん生えた口へ持っていこうとしていた。


どうしよう。彼女を助けるにはどうしたらいい?

化け物にガラスの破片を突き立ててみたけれど、傷一つつかなかった。

私の方に注意を向けることもできない。

……なら、今先程自分にやったことを、コイツにやってみる?

コイツを飛ばすにはきっと、私は手で触れなければならない。得体の知れない化け物を正直触りたくはないな。

……けど、やってみなければ。


ヒュン


「よし!」

「今何したっていう疑問はめっちゃ拭えないけど、ありがと!」

「多分、どっか異界みたいなとこにあの異形飛ばした。」

「ええええええええ……。」

「そういえば、後何匹かいたよね?」

「そうじゃん!……って、あれ?」


そこには、片腕が大蛇になった女の人、障壁を生み出して攻撃を防いでいる男の子など、普通ならあり得ない光景がそこに広がっていた。その人達の全てが全て、まさか元々超能力者だったというわけではないだろう。

それぞれが驚きながらも、それでもあの異形達を撃退できた事にホッとしている様子だった。


今は学校なんて言っている場合じゃない!

とりあえずみんなで集まって行動したほうがいいんじゃないかな。

「みなさん、もしまたあの化け物達が襲ってきたとしても大丈夫なように、とりあえず固まっていませんか?後、警察に通報して、保護してもらいましょう。」

「それはいい考えだな、嬢ちゃん。」

「そうしましょ。」

私がそう呼びかけると、あちこちから人が集まってくる。先程建物をも破壊する膂力を化け物が持っているのを確認していたので、近くの広場に皆で身を寄せた。まだ小さな子供達はだいぶ衝撃的な惨状をこの目で見たためか、顔をくしゃくしゃにして泣いていた。

携帯はまだうまく繋がらない。……お母さんとお父さんは大丈夫だろうか。

「いや、災難だわ〜。友達と菓子パしようと思ってたお菓子大量にあるからみんなで食べよ食べよ〜。」

「お姉ちゃん!ありがとう!」

「ラジオ聞けるけど、聞く?」

「そうですね、ありがとうございます。」


ラジオから流れてきたニュースから、日本全土でこのような事が起こっているという事が分かった。異形が跋扈し、人々が超能力を持つような事象が溢れていた。


「あなたは超能力を使われたとのことですが、元々その力は持っていたのですか?」

「いや、違いますね。なんとかできないかって考えていたらいつの間にか。」

「このように、私達は異能力を使えるようになったようなのです。理由は不明ですが、化け物と何か関係があるのでしょうか。とりあえず、皆さん落ち着いて各市区町村の避難所へ避難して下さい。現場からは以上です。」




「……なんか大変な事になってるね。」

「本当、どうなっちゃったんだろ。」

私は何か、大変な事が起こっているという事しか頭で理解することができなかった。

その後、警察が私達一団を保護をしにきた。幸い死人は出なかったが、異形がまたやって来たら1人では撃退できないかも知れないとのことで、周辺住民は皆避難所に集められ、そこで一夜を過ごした。父母とはそこで会えたので、ホッとした。


しかし、今日を境に全くと言っていいほどに世界は変わってしまうのだった。


さて、これから結絆はどうなっていってしまうのでしょう。


最後まで、ありがとうございます。これからも頑張ります。

よければ下にスクロールして高評価をいただければと思います。


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