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消えた伝説  作者: ペーパードライブ
1/3

生きる伝説

俺は確かにやった


「そこの123番、早く出ろ!」

看守がある方向を指差して早くそこにいけというように声を上げる

廊下には歴代の人間の無念があらわれたかのような染みが数多くあった。


ついに俺もここに来る時が来たのか

数年前の俺ならばここにくるまでで発狂していてもおかしくないだろう。悔しさに涙を滲ませていたのかもしれない。だが、今の俺には何もない。今から俺の身に起こることを考慮すれば別にその方が確実に好都合だろう。何せ、俺は今から殺されるのだから。


何だろう。諦めとも違うこの境地。

目の前にロープが見える

下を見ると切れ目の入った床

ここから落とされるというわけか

あれだけ拷問してきたのとは裏腹に苦しみを与えない随分人道的な処刑法じゃないか。ふふふ。

しかし、何故俺はここにいるんだっけ?拷問を俺にするということは何か吐き出させたい情報を俺が保有していたということか?いや、しかし、俺は特に貴重な情報をもっているわけではないはず。まあ、いい。そんなことが気になるのも後数分の話。


「では、最後に言い残す言葉はあるかね?」

男はニヤニヤしながら言い放つ。品のないやつだな。おそらく下っ端だろう。


「ないが」

「そうか、貴様の泣きわめく様が見れなくて残念だよ」

いよいよだ。

ではさよなら。カペラ。ん?カペラって誰だ?


ガタッ

床が抜ける


あれ、苦しくない?

一体俺は何を?

「間に合いました」

少年の声がした

「君は?」

「僕ですか?ぼくはフフィテ。解放軍の一員です」

「解放軍? なんだ、それ?」

「知らないんですか? ショックだなあ。知らない人がいたなんて。解放軍は、天帝隊の圧政から市民を救う事を目的とした組織です。まあ、いわばテロリストみたいなものですよ」

「ふーん、それで、投獄されていた俺を助けたのはなんで?」

「投獄されたってことは、奴らにとって厄介な人間ってことでしょう?その人たちを味方に引きずり込めば奴らに勝てるという寸法ですよ!」

少年は陽気に語る

「果たしてそんなうまく行くかな」

「どういうことですか?」

「俺には記憶がない。おそらく投獄された他の連中も同じだろう」

「ええー!それじゃ何のために僕はあんなに犠牲を払ってまであんたらを助けたんですか?!」

「犠牲って?仲間が俺らを救出する過程にやられたとか?それはすまない」

「いや、かすり傷だけですけど」

「あ、そう」

「まあ、そういうわけだ。俺は君には感謝している。助けてもらったわけだからな。だが、俺は君の役には立てなさそうだ。悪いがここらでお別れさせてもらうよ」

「あー、ちょっと待ってください。あなたにそんなことされたら、僕がやったこと全部無駄になるじゃないですか!」

「いや、まだ望みはあるかもしれない。もしかしたら一人くらいは重要な情報を持ってる人間がいるかもしれない」

「いや、助けたのあなた一人なんですよ」

「解放軍名乗ってる割に随分怠慢な奴だな」

「あの負傷じゃ、あなた一人が精一杯だったもので」

「それは負傷とはいわない」

随分と独特な奴だな。長いこと投獄されていたのでこれほど純粋な人と話すのは久しぶり、いや、記憶的には初めてになるのか?

「あ、そうだ君、カペラって知ってる?」

「なんですか、それ?」

「知らないか、ありがとう。じゃあ」

「あー、ちょっとちょっと、置いてかないでくださいよー。僕今日からあなたと仕事することに決めましたんで」

「別に僕は解放軍の仕事する気はさらさらないよ?」

「いいんですよ、唯一の収穫であるあなたについておくだけでも、立派な仕事ですから。あそこに囚われていたということは結局あなたも何かの重要人物だったんですよ。それは間違いないんです。僕そんな人と一緒にいれて光栄だなぁー! じゃあ、早速行きましょうか!」

「どこに?」

「決まってるじゃないですか!記憶を取り戻しにですよ」

「それもそうだな。このままというわけにもいかないだろうからね」

「それで、それが最重要人物というわけか?」

「誰だ?」

突然声がした方を振り向けば一人の大柄な男がいた。

「私は天帝索敵隊隊長ロドスだ。脱走した君にはまた、お縄についてもらうしかない」

「お前は間違っている。あんな組織の元について、正しいと思うのか!」

フィフィテは怒鳴りつけるように言葉を吐き捨てる。

「ふざけるな。こいつは脱獄者、そしてお前はその主犯だ。お前らに正義を語る資格などない!」

「いいんだ、お前だけでも逃げるんだ、フフィテ。こいつは信念の元に生きている。こいつの意志は揺るがない。お前はまだ若い。投獄されて過ごすのはあまりにももったいない」

「何故あなたはこの状況でそんなに冷静でいられるんだ!」

「いけ」

「逃すわけなかろう」

俺は戦闘態勢に入り、腕をまくる。

「お前、その傷はどうした?」

「これか?これは拷問の痕だが」

「拷問?非人道的な行為が行われているのか?まあ、当然か。お前たちは犯罪者」

「そうだ、おれたちは犯罪者だ、だが、おれには恩がある。だから…」

俺はロドスの腕をへし折る。そのすきにフフィテを逃す。

「さようなら、お前の負けだよ」

俺は相手の心臓を貫く。

なんだこの力、俺にこんな力が?

「先生。あなた、一体……」

俺は何者なんだ?


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