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冷える心とジレンマ



『それは無理です』



『この用紙は提出した書類のコピーなんで…』



『貴女は今日から倉田渚さんなんですよ』



頭の中で何度も何度もリフレインする


もう駄目考えられない。


激しい眩暈がする足元もフラフラしてきた。



って待って、こんな結婚取消せるはず

明日の朝一で市役所に行かなきゃ



自分を奮い立たせて必死に思考を巡らせる


取り敢えず此処にいたら纏まらない、何とか踏ん張って部屋に向かう

後ろで私を呼んでる声が聞こえるけどそんな物知らない、こんな家族もうどうだって良い。


さっきまで頭に血が上っていたのが嘘の様に今は手も足も冷え切っている。


冷え症でもないし仕事がら手が暖かいのは自慢だったけどその自慢の手すらこんなに冷えて…


部屋に入った瞬間にドアに背を当てて崩れ落ちた。


「あれっ?」


今になって何だか泣けて来た。


視界が滲む。


まさか私に一言の相談もない政略結婚とか本当に何なのよ、

それも家族全員でグルになってるなんて。


顔を上げれば鞄が目に入った


「ウソつき」


朝の占いを信じてラッキーカラーのオレンジのスカーフを巻いたのに…


鞄からスカーフを外して携帯を取る


【婚姻届 偽装】で検索すれば色々なエピソードが出てくる。


やっぱり犯罪じゃないか、

裁判をして婚姻届の取り消しをして貰うにはかなり時間とお金がかかるみたい。


それに家族が絡んでるからかなり大掛かりになりそう。


そうなったら家族と縁は切ってもうこの部屋に帰ってくることは無いのね…


少し物思いに耽ってしまった。


けど仕方ない。


其れこそ本当に天涯孤独で孤独死まっしぐらな気もするけど許せないのだ。

かと言って仕事も忙しいのに裁判にそんなに時間をかけていられる?

無理だ、慰謝料貰って離婚届出して両親と絶縁。戸籍にバツが付くけどコレが一番手っ取り早いだろう。


今回の事でより結婚しようって気持ちが無くなったからバツがついても何ら問題ない。


今日はもう疲れたからそんな話し合いをする気力もない。


明日、明日には絶対に離婚届を出す!


いいじゃない、結婚した事はあるって形に残ったんだからお母さんも諦めるでしょ。


それにしても…


倉田さんもカッコいいのに何でお母さんの考えそうなしょうもない話に乗ったんだろう?


色々考えていたら段々と瞼が重くなって来た。




ーなぎさちゃんー


ー大きくなったら迎えに行くからー


ー絶対!絶対だよ!ー


ー〜〜ちゃんー







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