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暴食の作法-ベルゼ・マナー-  作者: 須木にしろ
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デブの安らぎは草の上で

デブの食事マナーメモ その8


嫉妬、憎悪、怒り、哀しみ、苦しみ、悔しさ、後悔、不安、欲望、痛み、恨み、そして修羅!

これら全てを食事に捧げよ!全て忘れて喰らえ!

俺の名前はシュラ。


突然この世界の人間に召喚されて主人の言うことを聞けだとか言われ、あげくに主人が変わるとか何とか勝手に決められ仕舞いには散々喋りながら外の世界を歩かせといて泡のように消失するときた。



つまりだ唐突に質問なんだがお前らは道に迷った事があるか?

この場合は迷ったと言うよりは置いていかれたと言うべきか。


只何かをするわけでもなく草のベッドの上で仰向けになり風を感じた。


この気持ちいい風と温かい気温にムニャムニャと口を動かし大きなアクビをした。

そして今に至った。


「俺は前の世界でなにやってたんだっけな?」


そう言いながら大の字に寝るシュラに一人の少女が上から顔を覗きこんだ。





「ねぇ。オジサン。それってきもちいい?」


「ああ。気持ちいぞ。ふさふさの草のベッドと清々しい風。そして丁度いい気温。こんな日には太陽に当たって眠るのが一番さ。」


「へぇ~。じゃああたしもやろうかな。」


「おう。好きにしな。」


「ホントだ~。気持ち~」



貴族が着ていそうな高い生地を使用していると言わんばかりの服装をした金髪ショートヘアの少女に話題をふる。



「ところでお前は珍しい格好をしているが服の生地的に貴族なんだろ?」


「うん。お父さんは自分達は貴族だって言ってくるからそうだと思う。後この服は動きづらいからあんまり好きじゃないんだよね。」


「そんなもんか。それでこんな田舎にどうしたんだ?」

 

「うん。なんかね?お父さんが仕事の事でスゴく仲の悪い人たちがいるらしくて、今は町に居るのは危険だから田舎に行けってさ。」


「なるほどだから3人ぐらい護衛が居るのか...」


「え?何て言いました?」


「いや?なんも言ってないぞ。」



何をするでもなく2人は大の字に横たわり風を感じる。


恐らく何らかの理由があるため少女にバレないように3人は隠れているんだろう。


まあココで、もめられても困るので敢えて少女には伝えないでいた。



フッと修羅は彼女の服の中から何かを感じ取った。




「てかお前?もしかしてナイフ持ってんのか?」


「うん。お父さんが護身用にって。なんだっけ?魔法具の産みの親のノーブルって人が作ったやつなんだって。」


「そうか。良いナイフだ。」



シュラが彼女の剣を手に取ったとき隠れていた3人組が動き出した。



(俺を危険人物だと思ったか...。)



「お嬢様。お母様が御呼びですよ?」


「またですか。あたしがどなたかと話をしている時にいつもお母さんはあたしを呼び出すんだもん。気が滅入っちゃう。」


「へぇ。まあ行ってやれよ。多分俺は明日もいるぞ。」


「約束ですわよ!」 


「はあ?まあいいぞ?」





「...どうせ守ってくれないくせに...。」



小声で少女は呟いた言葉をシュラは聞いていた。

少女が護衛の一人に連れられて見えなくなると残っていた二人の護衛はシュラを睨み付ける。



「すまないがそこの男!金輪際あの方には近づかないでもらいたい。」


「はぁ?ワケわからんぞ?」


「身分の違いがあるのが分からんのか田舎者が!!」


「いやいや。俺は別に奴に会いたいとは思ってねえけど?」


「けっ!田舎者の癖に調子に乗りやがって臭いんだよ。」



ここの住人ではないシュラには護衛の言葉は特に響かなかった。


(まあ俺の事じゃねぇしな。)



「ハイハイ。帰れ帰れ。」


「分かったか!さっきの事忘れんなよ!」



寝ながら答えていたシュラが大きく欠伸をしているのをみて帰って行った。




「やべぇな。腹へった。」



すると護衛が去っていった方向から反対側からティアが走ってきた。


暫くするとティアは巨大な魔物から追われてるのが分かった。



「助けてーー!!シュラァァァ!!!」


「腹ごしらえには丁度いいかな?」



シュラは重いからだをゆっくり起こして必死に走ってくるティアの方角に歩いて行った。



(久々によく休めた気がするな。明日も来るか。)





修羅度チェック


レベル1

鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス


レベル2

鳴かぬなら きっと喰らうぞ ホトトギス


レベル3

鳴けないね 鳥はすでに 腹の中

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