真実
デブの食事マナーメモ その2
ご飯の前の間食は5回まで。
それ以上はご飯の後でね。
「まあふざけた話はここまでだ少年よ」
「ハイハイ。いてぇ~。」
「ったく。私が十守使と分かってもまだその態度か!」
「フェシリーさん。本題に入りましょうよ。」
「うるさいぞ!クソドジ駄肉女が!」
「酷いです!フェシリー師匠!!」
「あんたからじゃ始まらないらしいから俺から始めますわ。」
「ぐぅぅぅ!!この少年は本当に!!」
「まず今日気になった点は魔物ですね」
確かに村の外にでたら魔物に会う事はあるが、それでも襲われるというのは極めて珍しい事なのだ。
何故ならダイヤは、ティアに魔物除け用の術式を保険でかけておいた。
この術は魔物たちにとっては、かなり嫌な術で半径一キロ圏内に入ることさえ嫌がるはずなのだ。
魔物はこのような人間に対してわざわざ襲った所であまりにメリットが少ない。
そんないやな思いをするならその辺にいる自分より弱い魔物達の方が狩りやすいし、嫌な思いもせずにすむのだ。
今まで魔物除けの術を施して襲われた人間がいるのは聞いたことが本当に無いのだ。
「うむ。確かにそこまでやっていたのならおかしいと思うのも仕方あるまい。」
「それに襲ってきた魔物ジャッカルも危険度Dランクだから10匹いたところで俺は誰かを一人守るぐらいなら簡単に出来るはずなんだ。」
「ほう。それなのにジャッカルの1匹にしてやられたと。」
「負けてはいない。只アイツは普通のジャッカルとは違ったんだ。」
「何かに操られているかのような動きをしていたと?」
「何故分かる?」
「うむうむ。予想はおおよそついている。」
「どう言うことだ?」
「なあマリナよ。もうこの少年にティアについて黙っているのは無理ではないのか?」
「そのようですね。黙っていても理由を探すために無茶をしそうですし。」
「よかろう。では少年!私から話そうティアについて。」
「ああ」
「だがな少年。これを話すからにはこれから先、少年にも責任が問われる。それでも他の者に自身の考えのみで口外しないと誓えるか。」
「当然だ。ティアについて知りたい。」
「そうかでは言おう。ティアはな。」
「恐らく黒魔女の生まれ変わりなのだ。」
「は?」
「うむ。つまりティアはワルプルギスの生まれ変わりなのだ」
それはどこかで聞いた名前だった。
昔、俺が生まれるずっと前か。
かつて世の中は血で血を洗う戦争が起こっていた。
魔王軍と名乗る連中が我らが住むこの地球で魔王軍以外の生物に対して宣誓布告した。
各地で魔王軍により沢山の人と様々な種族の者達が無惨にも虐殺されていった。
魔王軍に対抗するためには全ての種族が力を合わせ魔王軍に立ち向かう必要が合った。
しかしそれは簡単な事では無かった。
かつてその昔には部族間での争いは絶えなかった為、協力し合うなんて事は不可能だと言われていた。
しかしそこで立ち上がった者達がいた。
その者達は一人のヒューマンの男を中心に様々な種族で結成しその者達だけで魔王軍と立ち上がった。
その勇姿をみた様々な種族の重臣たちは彼らに応えるべく為一致団結し魔王軍と戦った。
押されていた戦況は見事に逆転していき魔王軍の敗北に終わった。
魔王軍に勇敢に立ち向かい重臣達に団結する事を教え、連合国に勝利を導いた英雄に対して皆は勇者となずけた。
しかし勇者は終戦の後しばらくして殺されてしまった。
その犯人こそが勇者一行の一人であった黒い魔女ことワルプルギスであった。
ワルプルギスは勇者を殺した後、魔王の如くこの地に再び魔族を引き連れ恐怖に陥れた。
誰もが歴史を学ぶ上で知っている知識であった。
「それでその後に黒魔女は当時の十守使に討たれたのだ。まあ私も居たがな。」
「その黒魔女の生まれ変わりが..ティアなんですか?」
「うむ。断定は出来ないがそれは確かだと思っている。なぜなら黒魔女を倒した時に黒魔女の空から降ってきた娘だ。生まれ変わりとしか考えれないし少年の話を聞いているとそうとしかもう思えん。」
「ティアは空から降ってきたんですか!?」
「いちいち茶化すな!!」
「それでフェシリーさん達、十守使は黒魔女の生まれ変わりかもしれない女の子を殺すのはどうなのかと話し合われた結果。なるべく魔法についで知らない所に閉じ込めて置こうという結果になったの。」
「それでティアが魔力を開放しないようにずっと村に閉じ込めていようとしたのか」
「そういうこと。それをよくも開放させよって!」
「そんな理由でか!!」
「ぎょえ!?」
「ダイヤ!?」
「ふざけやがって!そんな理由でティアの自由を奪ってきたのか!!」
「突然びっくりするぞ少年。」
「ダイヤ落ち着きなさい。これはしょうがない事なのよ。だから...」
「うるさい!シスターさん!貴方もコイツらと一緒の考えでいたとは失望しました!」
「少年!年上に向かってコイツとはなんたることだ!」
「だまれ!ロリババア!!俺はティアを村から出す!絶対だ。」
「おい少年よ。それは本当に言っとるのか?もしティアが自我を忘れ黒魔女の時の意思に戻ったら責任はとれるのか?」
「その時は俺が目覚めさせる!それ位は約束してやる。」
「そうか」
フェシリーは立ち上がりダイヤの方を向いた。
「その覚悟があるのなら大丈夫だな!まあでもそれも少年が冒険者として大二級冒険者になってからの話だがな。」
「え?つまり大二級冒険者に成ればいいのか?」
「ああ十守使に二言はないぞ!それでよいな?マリナよ」
「はい。それぐらいダイヤが強くなればあたしもティアに対して安心出来ます。」
「っと言うわけだ。3年間よく頑張ってきたが大二級冒険者目指して頑張るんだぞ?なんせ少年は若いんだからな」
「じゃあティアを連れて今から行ってくるよ!シスターさんありがとうございました。俺これからも頑張ります!」
「ちょっとダイヤどういう...」
ダイヤはポケットからクシャクシャの紙の机の上に置いて部屋を出ていった。
「なんなのだ奴は!やっぱり私の話を聞いてない!大二級になってからと言ったのになんてやつだ。」
「...。」
「どうしたマリナ?少年の置いて言った紙を見て固まりよって。」
「フェシリーさん...。あの子...。」
「大二級冒険者になってますー!!」
「...。」
「なにィィィィィ!?」
食べ物の恨みは恐ろしい?そんな言葉では到底片付けられない。
デブにとって食べ物を食べられることはそれすなわち戦争である。