尻尾の謎
さてどうしようか?
相手の強さが知りたいところだけど、まあ相手の方が格上ってのは確定なんだけどね。
[いや、もしかしたら相手弱いかもよ?]
こんな岩投げてくるし、見た目からしてもかなり力ありそうじゃん?
[私らが小さいから岩に見えるだけで、相手にとってはちょっと大きい石でしかないよ?]
そうか!
自分のサイズを忘れていた。
まあだからといって弱いってことはないだろう。
たまたま近くの石投げただけかもしれんし。
[つまり相手遠距離技ないってことだよね?]
こっちにもないけどね。
いや、ある!
[過去最高に嫌な予感がする]
生まれて数分のくせに。予感は当たってるけどね。
私はその場で円を描くようにグルグル回り始める。
ちょ、これ狙いつけるの難しい。
多分この辺だ!行け!尻尾!
自切を発動する。
気分はハンマー投げの選手。ハンマー投げなんてしたことないけど。
[嘘だろ!?本体!]
クマに向かって一直線に尻尾が飛んでいく。
よし!狙い通り!
ペチ
そんな音を立てて尻尾が地面に落ちる。
クマがダメージを受けた様子はない。
嘘...だろ...?
[当然の結果だわ!ねえ私ここからどうしたらいいの?]
私の予想ではここでクマ大きく仰け反り、逃げる隙ができるはずだった。
[あれ?じゃあ私は最初っから使い捨てるつもりだったの?泣いていい?]
そんなやりとりをしているとクマが動いた。
あれ?若干怯えてない?なんで?
[そりゃ自分の尻尾切断して投げつけて平然としてるやつ怖いでしょ]
これが転生特典なら、この世界のスモールリザードは尻尾を切ったりしないわけか。
これビビらせれば向こう逃げるかも。
私は口から舌を出して思いっきり笑ってみる。
尻尾がクマの足もとで元気に跳ねる。
クマは回れ右して逃げて行った。
まさかこんな展開になるとは。
この世界の常識を詳しく知る必要があるね。
[その顔で笑ってもあんまり怖くない]
うるさい。逃げたからいいの
なんであんた生まれて数分で色々喋れるの?
[本体と記憶を共有してるからね〜本体の恥ずかしい記憶も知ってるよ〜]
え?
[鏡に向かって笑顔の練習しt痛い!]
尻尾のところまでダッシュして踏んでやった。そんなことないから!
今気づいたけど私は尻尾踏んでも痛くなかった。
尻尾を鑑定してみる。
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レベル1
種族スモールリザード
体力3
魔力量1
攻撃力1
防御力9
魔法抵抗力12
素早さ1
スキル
念話
称号
<おまけ>
スキルポイント0
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分離しているときは個別にステータスがあるらしい。
称号のところにある<おまけ>の文字は見なかったことにする。
[本体?なんでそんなかわいそうな尻尾を見る目をしているの?]
尻尾にも個別にステータスがあることを伝えた方がいいのかな?まだいいか。
尻尾って謎が多いな