油断
「ちょっとコク!魔闘法使ってないでしょ!」
「魔力量が足りない!」
「じゃあしょうがない」
「うん」
さて、助けようにもこのまま魔法を撃つとコクが巻き込まれ...その可能性に気づかなかったことにしよう
「よいしょー」
適当な掛け声とともに火球を飛ばす
「ちょ...わ...ばっ!」
コクが焦ってる...ウケるー...チッ当たらなかったか
火球を見た熊が焦ったのか拘束が緩み、コクが転がってその場を離れた。
火球はそのまま熊に向かっていったが、当然のように回避される。
「やっば...」
熊の先にある木に火球が当たりそうになっていた
「ふぉぉぉぉぉ」
意味不明な掛け声と共に私は手から水弾を放つ
幸い燃え広がる前に消すことができた。
「あっぶ...」
「危なかった」と言いかけた私に無視するなと言うように熊の拳が迫る。
見事に直撃、私は吹き飛ばされた
うん、回避して反撃叩き込むようなチート性能は備わってない
てか直撃受けたのに余裕だな
いや、体はかなり余裕がないけど思考の方は痛みで止まったりしていない
「ハク!!」
コクの悲鳴のような声がかすかに聞こえる。
距離はそんなにないのによく聞こえないって...思ったより体はヤバイかもしれない
霞んだ視界に映る熊がさらなる追撃をしようとし、六つ拳を振りかぶったところで動きが止まる。
前に倒れて、ドス黒い拳を振り抜いたコクが視界に映る。
殺人拳を解除したコクがこっちに駆け寄るが、意識が朦朧としてきた。
もうダメだ...
そう思った瞬間に私の脳内に声が響く。
[レベル10となりました、進化可能です]