勉強
「これでよしっと」
「えっと...ありがとうございます」
担ぎ込まれた私達はまず、体を洗われ、服を着せられ、今は簡単な食事をとっている。
「いいから遠慮せずに食べてね。そっちの子みたいに」
おいコラ尻尾、お礼といただきますが先だろうが!
「.........」
コイツ念話切ってやがる
私も軽くため息をつきながら食事に手を伸ばす。
「食べながらでいいからあなた達のこと教えてくれる?」
そういえばまだ自己紹介すらしてない。
「えっと、わたしは...」
あれ?私の名前なんだっけ?
「私が尻尾でこっちが本t...ング!?」
急いで尻尾の口を塞ぐ
そして念話に切り替えて
[バッキャロー!それはマズイって]
[だって他に思いつかないじゃん]
[私が今考えるから!]
「尻尾?どういうことなの?」
「えーっと、私がハクでこっちがコクです」
[本体、その名前はない]
[ウルセェ]
「ハクちゃんとコクちゃんね、私はミラ、よろしくね。さっそくだけど二人はどこから来たの?」
「目を覚ましたら森にいました。」
「捨てられたってことかしら」
「分かりません」
「辛いこと思い出させちゃってごめんなさいね」
「いえ...」
念話内の会話
[おい尻尾、飯ばっか食ってないでなんか言えよ]
[え?爆弾発言してもいいって?]
[黙って飯食ってろ]
「とりあえず今日はご飯食べてもう寝なさい。疲れてるでしょうし」
「はい、ありがとうございます」
私達はミラについて行き、部屋に入ったら一気に眠くなって寝てしまった。
心地よい朝日が差し込むなか、私は目がさめる。
綺麗に掃除された部屋、心地よい朝日、鳥(魔物)の鳴き声。
私は幸せな気持ちに浸りながら尻尾を起こそうと隣を見る。
尻尾がいた
「おい!尻尾起きろ!人化切れてる!」
「火星は私が食べる」
どんな夢見てんだ!
「ハクちゃん、コクちゃん起きてる?」
ガチャ
「あら?コクちゃんは?」
起きろ尻尾ぉぉぉ!
「ハッ!呼ばれた気がした」
人化切れてるぅぅぅ!
「わぁ!クロちゃんそんなところにいたの?」
「わたし、かくれんぼ、得意」
あぶねぇ
「朝ごはんよ」
朝食はサラダとパンだった。普通って素晴らしい。
「あの、他の子はいないんですか?」
「つい最近みんな一人立ちしたの」
ミラは寂しそうに目を伏せる
「みんな立派な子達だったわ」
あっこれ深く聞いちゃいけないやつだ
正直私達もあまり長くいるつもりはない。
理由としては私が冒険者やりたいからだ。憧れる。
[いや本体マジで言ってんの?]
[うん、ゼッテェー楽しい。てか仮とは言え名前つけたんだからそっちで呼び合おうよコク?]
[ハイハイ分かったよハク]
「別に急いで一人立ちする必要はないわ、ゆっくりでいいからね」
「はい、で私達は何をすればいいでしょうか?」
「そうねぇ...この時期は特に忙しいことないのよねぇ、何かしたいことある?」
「じゃあ...ぜひ勉強を教えてください」
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「ハクちゃん覚えが早いわね、コクちゃんは...もうちょっと頑張ろっか」
というわけで勉強である
主に字を教えてもらい、他にも歴史やら、お金やら、魔物についても教えてもらった。
勉強を教えてもらい始めてちょうど2週間ほどした今日、小テスト的なものをしたところである
「じゃあ、今日はここまで、最後に何か質問あるかしら?はい、ハクちゃん」
これを言ったら怒られるかもしれない
「冒険者になるにはどうすればいいですか?」
「.........」
ミラは冒険者について説明するとき、とても悲しそうで、冒険者は危険であることを何度も何度も繰り返していた。よほど悲しい事があったに違いない。
「どうしてなりたいの?」
憧れるからー...なんて言ったらぶっ飛ばされそうだ
「私、昔のことを思い出したんです。私達の保護者みたいな存在の人がいて、その人と楽しく暮らしている中、ある日突然人に襲われて、その人は私達を守るために犠牲に...私達はその時から強くなりたいって考えてました。」
「そう...」
うん、嘘はついていない。この気持ちは本当だ
「ハァ...明日冒険者ギルドに行ってみましょう」
え?そこまで行けるとは考えていなかった。
これは明日が楽しみだ
「ミラ先生にとって冒険者はトラウマなのに平気で話題に出すなんて...ハク、恐ろしい子」