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旦那様は分限者です。守護獣たちと夕食を楽しみましょう。4

 ホラー企画のネタがようやく練り込めました。

 相変わらず、完結が締め切りギリギリになりそうな予感大です。

 無事完結できますように……。

 


「私はそのままで食べるのも新鮮で、勿論好物なのですが! 主様の作られるバッサの味噌煮は、生でいただくのと比べものにならないほど、美味ですわ~。味噌味ってこんなに美味しいものだったのですわねぇ~」


「そうよねぇ。味噌ってかなり味の強い調味料だと思うし、見た目もちょっと一般受けしなさそうだけど、味は最高よね! うーん。凄いわぁ。こんなに味がしみているのに、煮崩れしていないなんて!」


 ローレルと雪華が感動している。

 雪華に至っては、幾度も食べているようで、感想がなかなかに玄人っぽかった。


「基本、魚より肉が好みじゃが、奥方の作るバッサの味噌煮は、生肉を軽く上回るかのぅ……」


「……言葉が足りませんよ、ランディーニ。ブラックオウル種は、生肉が大好物な種族でございます。例外はございません。つまりは奥方様のバッサ味噌煮は、最高に美味しいということでございます」


 口調でランディーニが喜んでいるのは分かっていた。

 より丁寧な説明をしてくれるノワールは、私を慮ってのことだろうが、やはりランディーニのフォローは自分の仕事と思っているような気がして、自然な微笑が零れてしまう。


「主様! るみくとレンソのごま和えが、大変美味しゅうございます!」


「レンソが、青臭くないのが不思議だわ……不思議だわ……」


「ごまの香りがとっても、香ばしいのです! こんなにるみくがたっぷり入った、レンソの和え物をいただけるなんて! 私たちは本当に幸せ者なのです!」


 三姉妹もごま和えを堪能している。

 何故か横一列に並んで、三人揃って頬袋をぱんぱんにしている様は、想像していたよりも愛らしかった。

 これを機にどうやらレンソが苦手だったらしいネマが、美味しく食べられるようになってくれたらいいのだが。

 向こうだと、ほうれん草はリスに与える餌として好ましくないものだった。

 もしかしたらネマの苦手意識は、その辺りに起因しているのかもしれない。

 獣人に分類されるリス族には、種族的に食べられない物は少ないとのこと。

 やはり同じ料理を一緒に美味しく食べられるのは嬉しい。


「キャロト……キャロトが美味しいのは分かっていましたが……どうして、こんなにイモッコが美味しいの? ミートスライムの肉汁が染み込んでいるからなの? 主様が選択された調味料がすばらしいからなの?」


 キャロト嫌いの人が見たら絶望しそうなほどに、肉じゃがに入っていた大量のキャロトを速攻で食べ尽くしたセシリアが、イモッコの美味しさに感動しているようだ。

 肉を後回しにして野菜優先で食べるのが、何とも兎人らしい。


「うむ。主が使う調味料が秀逸なのじゃ。和食に使われる調味料は、ほんに美味なものが多いのぅ。広めてくださった御方に感謝せねばならぬ」


「やはりそうですか! ミートスライムの肉汁だけだと、自分には重すぎるのですが、今回は肉汁がこんなに美味しいものだと感心もしてしまったのです! 勿論イモッコやキャロトの美味しさには遠く及びませんが、主様が作ってくださる肉料理なら、私でも美味しくいただけそうです!」


「……肉……肉が、こんなに……そうかミートスライムの肉とは、調理次第でここまで美味しくなるものなのだな……」


彩絲とセシリアが肉じゃがについて熱く語っている横で、フェリシアが泣きながら肉じゃがを頬張っている。


「どんな瑣末な素材でも奥方の手にかかれば最高の調理になるじゃろうて……ほれ。飯と一緒に食べてみるがいい、肉じゃがの美味しさも増すぞ」


「! こ、これはすばらしい組み合わせですね! ランディーニ殿は、御飯? も召し上がるのでしょうか?」


「うむ。奥方の作るものであれば、肉以外でも美味しくいただけるのじゃ。無論、肉も美味しくいただくぞ? ちなみに、ミートスライムの肉をここまで美味しくできる料理人は、そうそう多くないから、存分に感動するといいじゃろう」


「やはり主様はすばらしい御方なのですね!」


 御飯と肉じゃがの素敵な組み合わせを、ランディーニがフェリシアに教えていたようだ。

 料理を喜びながらも、私自身が賛美されてしまって面映ゆい。


「主様、御飯の炊き方は如何でございましょう」


「ええ、凄く美味しいわ! 土鍋御飯は最強ですね!」


 ノワールが炊いてくれた土鍋御飯は美味しかった。

 米自体が良質なのだろう。

 いわゆるお米が立っている状態だ。

 もちっとした食感は、限りなく日本の高級米に近い。


「それはようございました。在庫は存分にございますし、入手ルートも確保してございますので、毎食でもお召し上がりいただけます」


 あちこちで料理と相性の良さを絶賛されている様子を見るにつけ、毎食は無理でも一日一度くらいは御飯を出してもいい気がしてきた。

 おにぎりや炊き込み御飯などを採用すれば、一日一食米を出されても間違いなく喜ばれるだろう。


「どの料理も大変美味しいです、奥方様」


 ドロシアがふわりと近くに来て、わざわざ感想を述べてくれる。

 家族と認識されたので、屋敷内のみではあるが、声が普通に聞こえるようになった。

 買い物へ行っている間に、残っていた者たちといろいろ語らったのかもしれない。

 瞳の奥には静穏が宿っている。

 未だ浄化には程遠そうな雰囲気をまとってはいるものの、狂乱することなく、終始穏やかであれるのならば、急いで浄化を求めなくともいいだろう。

 いつかは子供たちの元へと本人も思っているのが、何となく伝わってきたので、そんなふうに考えた。


「ノワール殿が教えてくださいましたので、奥方様がお留守の際には、皆様のお食事手配をお任せくださいませ」


「ドロシアさんは大変手際がよろしいですね。主様にも御満足いただけると思います」


 ノワールにも認められる手際の良さを、屋敷内だけで止めておくのは勿体ない気もするが、ドロシアは屋敷から出るのを好まなそうだ。

 外へ出せば元夫の耳にその類い希なる優秀さが届いて、彼女の溜飲が下がる気もするが、さすがに時期尚早だろう。


「そうね。ノワールは一緒に行くつもりだから、料理上手な人がいるのは有り難いわね」


「精進いたします」


 綺麗な所作でお辞儀をしたドロシアは、再び料理を食べに戻っていく。


「お味噌汁は如何でございましょうか?」


「ええ、こっちも完璧よ。でもあれかしら? バッサが味噌煮だったから、すまし汁とか和風のスープにするっていう手もあったのよね……」


 夫に鍛えられたので、和風スープのレシピもなかなかに充実している。

 出汁さえあれば、それこそ星の数ほど作れるだろう。

 

「使っている味噌は同じでも、感じる風味は全くの別物でございます。特に奴隷たちには慣れさせる意味でも良かったと思う次第でございますね」


「なるほどねー。そういう考え方もあるのか」


 ふかりと浮いているかめーわと、豆腐を咀嚼する。

 かめーわは色以外わかめと同じ食材で、豆腐は大豆の味がぎゅっと詰まった濃厚なものだった。

 味噌汁具材の組み合わせとしては、至高の一つだと思う。


 彩絲が熱心にスビナの煮浸しを布教している横で、スビナの煮浸し教に入信したらしいセシリアも、肉好きな面々にその良さを語彙豊富に語っていた。

 確かに味のしみたダイコーンおろしをたっぷりと絡ませたスビナの煮浸しは、飽きが来ない味だ。

 スビナは好きな野菜の一つなので、他にも美味しい食べ方を教えたい。


「食後はほうじ茶にいたしますか? お勧めの煎茶や粉茶もございます」


 ほうじ茶、煎茶はまだしも、粉茶常備とは、どれほど日本食に通じているのだろう。

 夫が感心している気配も伝わってきた。


「粉茶って、珍しくない?」


「安価な割に美味なものが多い傾向にございますね。和風味を好むメイドたちの間では、人気の一品なのでございます」


「ああ、通好みとか言われてるものね、粉茶って。あとは濃厚な感じも好ましいわ」


 独特の濃さが疲れた体に染み入るのだそうだ。


「そのまま菓子の素材として使える点も高評価となっておりますね」


「完全な粉末より食感が残るし、風味も強いから……シフォンケーキとかに入れると美味しそう。じゃあ、今回は粉茶でお願いします」


 そういえば食中のお茶がなかったわ!

 次は食中のお茶も皆に勧めたい。

 私はほうじ茶が好きだけど、ノワールのストックには番茶や麦茶もあるだろうから、一通り出して飲み比べてもらうのも楽しそうだ。






 先日筏の上で生活する動画を見て、プレイしたくなって困りました。

 これ以上継続してプレイするゲームを増やすのはなぁ……。

 実況動画だけで我慢することにします。


 次回は、旦那様は分限者です。食後のクエストチェック。(仮)の予定です。


 お読み頂いてありがとうございました。

 次回も引き続き宜しくお願いいたします。

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