服を売るかスイーツを提供するか……。
少し前から大量の冷や汗が出るようになりました。
ホットフラッシュででる普通の汗に、冷や汗が交互にやってくる感じです。
どうしろと!
ちなみに婦人科系でも内科系でも明確な治療法は提示されませぬ。
ただ重篤な病ではない模様。
それが判明しただけでもよしとしないとですかねぇ……。
もろもろの代金を受け取って宿に向かう。
さすがは最高級宿。
今回も最高ランクの部屋を確保してくれた。
ノワールの休憩小屋は常に快適だったが、最高級宿の最高級ベッドの寝心地とは別物だ。
「地味に疲れた……」
「単純なダンジョン攻略だけじゃないからねぇ。いろいろなトラブルに見舞われたら疲労も蓄積されるわよ。せっかくだからダンジョンでドロップしたスイーツでも食べたら?」
「あー、うん。何か、眠い……」
雪華の言葉に食指は動くも眠気が勝ってしまったらしい。
私はそのまま寝入ってしまった。
「んー!」
「起きたのかぇ? よう眠っておったぞ」
ベッドの近くにあった椅子に座っていた彩絲が額に掌を当ててくる。
ひんやりとして心地良い。
「熱はないのぅ。食欲は?」
「普通にあるよ。お腹空いた」
「ならば良かった。まるっと一日眠っておったからのぅ」
「そっか。地味に疲れていたのね……」
「消化の良い物を御用意しましょうか?」
「んん。普通の御飯が食べたいな。砂漠の御飯っぽい、スパイスが利いた感じの」
リクエストをしながらどの辺が普通なんだろう? と頭の中で突っ込みを入れる。
そんな間抜けな葛藤を知ってか知らずか、ノワールは丁寧に頭を下げた。
「承りました。少々お待ちくださいませ」
「はーい」
深く寝入っていたらしくまだ頭がぼんやりしている。
「着替えをするわよー。頭が回っていないみたいだから、お任せでいいわね?」
「お願いしまーす」
基本はお任せなのでいちいち聞かなくてもいいのにねー、と思うも毎回聞くのが彩絲と雪華の拘りらしい。
着た記憶のない寝間着を脱がされて、部屋着を着せられていく。
指示に従って体を動かしている最中に、ふと二つのダンジョンを攻略したら、新しいクエストが出たかな? と思い至り画面を開いた。
*氷ダンジョンを踏破しよう! をクリアしました。
レアモンスターをテイムしないで、同クラスのアイテムを入手するなんて……私は想像できませんでしたよ。
ペーシュがいてくれたからなり損ないを駆除できたんですよね……。
まぁペーシュがいなかったらそもそもダンジョンもあそこまで頑張らなかったとは思いますけれど。
レアモンスターは可愛いので再度ダンジョンに潜ってもいいのですよ?
ダンジョン踏破達成報酬 氷ダンジョンドロップアイテム販売専用屋台
是非これで屋台に挑戦してください。
レアモンスターテイム達成報酬 氷菓子の食べ過ぎでお腹を壊さないアイテム。
テイムはできませんでしたが、同等のアイテムを入手したので差し上げますね。
*服ダンジョンを踏破しよう! をクリアしました。
こちらも随分トラブルに遭遇したようですが……最終的には無事に踏破できて何よりです。
まさかペーシュが同行するとは……こちらも想像できませんでした。
貴女は何時だって私の想像を超えていきますよね?
あ、着てほしい服は売れないように手配しましたのであらかじめ了承してください。
ダンジョン踏破達成報酬 服ダンジョンドロップアイテムが二倍で売れるスキル
隠しフロア発見達成報酬 服ダンジョンレアドロップアイテムが五倍で売れるスキル
どちらのスキルもこの街でこそ有効なものですよ。
服の販売も楽しんでくださいね。
*釣り師の長靴と高級釣り竿装備で釣りをしてみよう。
ふふふ。
私も想像できないものを釣りあげていましたね?
今後も楽しみです。
街にもダンジョンにも釣りポイントはありますので、いろいろと試してください。
きっと美味しい食べ物がたくさん釣れますよ。
その際は忘れずに高級練り餌を使ってくださいね。
*クエストの優先順位が変わりました。
*カプレシアを堪能しよう!
ダンジョン踏破の他にお勧めはバーニングマンに似たイベントの鑑賞。
向こうよりド派手です。
屋台御飯は必ず鑑定してから購入しましょう。
暑さもあるので、ゆっくり個室で食事をした方がいいかもしれません。
宿はノワールの指示に従ってくださいね。
達成報酬 プリッツダム王国商品券 500ギル分
*商売をしてみよう。
屋台飯も良し、移動雑貨屋さんも良し。
許可は商業ギルドで取れますよ。
初めは絨毯一枚分の小商いからのスタートが無難です。
達成報酬 移動式素敵屋台
*拠点を作ろう。
ほぼほぼラヌゼーイで確定だと思いますが、他にも琴線に触れる場所がありましたら、遠慮なくそちらに変更するとよいでしょう。
オススメ拠点マップ&資料を参照のこと。
達成報酬 プリッツダム王国商品券 1000ギル分
*農業をしてみよう。
こちらもギルド依頼に多いです。
草むしりや水やりは、農作物が報酬なので子供にも人気があります。
達成報酬 農作業一式セット
「あー、氷ダンジョンでも釣りってできたんだね」
「そうじゃった! スヴェンとやりたかったのぅ」
「子供たちを連れて行けばいいじゃない。この街には永住するつもりはないし。屋台をやりたいからしばらくは滞在すると思うから」
「……ランディーニ。貴女、優先事項を間違えていますよね?」
まだ料理を作っている途中のノワールが、それだけ言い捨てて、料理へ戻っていく。
わざわざこちらへ来てまで言うことなのか。
「……すまぬ、奥方。我はどうにもスヴェンが可愛くて仕方ないようじゃ」
股の間に頭が入りそうなくらい頭を下げるランディーニ。
自分でも感情を持て余しているようだ。
恋に落ちたわけではないが、それ以上に揺らぐのかもしれない。
「貴女がいてくれると楽だけど、契約を解除してスヴェンの守護してもいいのよ?」
「それはない! それはないぞ、奥方。スヴェンに我は早すぎる。それに母親と一緒にいる時間もまだまだ必要じゃ。街に滞在中何度か行動を共にするくらいがちょうどいいし、そうでなければ駄目なのじゃ」
「そうねぇ。スヴェンはいい子だけど、ランディーニの力は凄いから」
今まで苦労した分、少しぐらい楽をしてもいいのでは? と思うのと同時に、幼い頃から甘やかされすぎるのも問題だと思うのだ。
風通しの良いふわふわした生地、シフォンワンピースの優しいオレンジ色を愛でながら食卓へと移動する。
既にほとんど作っていたのだろう、テーブルの上にはずらっと料理が並んでいた。
「左から前菜のフムス、ムタッバル、タッブーレ。スープは二種類でショルバト・アダスとファスーリア。肉料理はマンサフ、マクルーバ、シシ・タウーク。魚料理はサヤディーヤとなっております。食後のスイーツは氷ダンジョンドロップ品からお好きな物をお選びくださいませ」
このラインナップは……。
ヨルダン料理ですね。
そうだった!
夫の言葉に一緒に食べた記憶が蘇ってくる。
現地で食べるのも美味しいが、自分の国で食べる料理もまた絶妙にカスタマイズされていて美味しいですね、と笑顔の夫が言っていた。
ノワールの手によって私好みに作られた料理は、何時だって美味しい。
夫にも食べさせたいところだ。
「そういえば、奥方。スイーツと服&雑貨、どちらの屋台をやるのじゃ?」
「どっちもやりたいけど、同時にはできないからねぇ……どっちを先にやった方がいいと思う?」
「攻略した順でよかろうて。孤児たちも誘えば、成長の様子が見られるのぅ」
「そうね……じゃあ、明日は孤児院かな。何を売るか選別してもらっていい?」
「まかされたぞ」
「まかされました」
彩絲と雪華が選別をしてくれるそうだ。
「じゃあ、安心して御飯がいただけるわね……何から食べようかしら」
「前菜から召し上がるとよろしいかと」
「ノワールがそう言うのなら……」
三種類並んだ前菜をじっと眺めてから全部を取り皿に取り分けた。
このメンバーだと大皿料理はよく食べる。
「ペーシュもどう? 美味しそうよ」
「……食事のためだけに呼ばれる日がくるとはなぁ」
夫がダンジョン踏破で一番の戦利品だと言い切ったペーシュ。
桃色の体をふるんといわせながら現れた。
「もしかして戦闘時じゃないと嫌なのかしら?」
「そんなはずはなかろう。美味しい食事は何時だって歓迎で。気の置けない者と卓を囲む機会はなかなかないからなぁ……楽しいぞ?」
突然現れた口がにやりと笑う。
私以外は怯えたようだ。
楽しんでいるなぁ、と想った私は。
悪趣味よ! と言いながらも迷っていた前菜の一つを、出現した口の中に押し入れてあげた。
柊麻莉彩 ひいらぎまりさ
HP ∞
MP ∞
SP ∞
スキル 鑑定∞
偽装∞
威圧∞
奪取スキル 生活魔法 育児 統率 礼節 謀略 地図
王宮料理 サバイバル料理 家庭料理 雷撃 慈悲
浄化 冷温送風 解呪 神との語らい(封印中)
ウインドアロー ウインドカッター
固有スキル 弱点攻撃
魔改造
簡単コピー
特殊装備品 *隠蔽中につき、他者には見えません。
サファイアのネックレス
サファイアの指輪
サファイアのイヤリング
特殊アイテム
リゼット・バローのギルドカード
魚屋紹介状
衣類屋紹介状
称号 時空制御師の最愛
大好きなセブンデイズがバージョンアップしました。
内容が凄すぎて途方に暮れています。
新ゾンビが強すぎる!
地形ダメージが怖すぎる!
今回は改善されたら嬉しいなぁ、と思っていた点も多く改善されていて、とても嬉しいんですけどね。
次回は、 服の露天をやるようです。1(仮)の予定です。
お読みいただいてありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。




