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氷ダンジョン 四階。後編

 バンパイアハンターD一週間限定公開映画の予約をしてきました。

 楽しみー。

 そういえば文庫版を久しく購入していない。

 抜け巻を探して、古本屋で探そうかしら。

 最初の頃の方とかヤケとかシミができてそうで確認が怖いです。

 


 仲良くランディーニとモンスターに対峙するスヴェンを見てふと思う。

 宝箱を開ける経験をさせてあげたいなぁ、と。


「ふむ。確かにあそこまで横暴で注意力散漫なパーティーでは、宝箱の遭遇率も低そうじゃしのぅ」


「だよねー。ちょうど、角曲がったところにあるから、いいんじゃない?」


「罠の有無には注意するように……ランディーニはきちんと指示できますでしょうか?」


 迷いもせずに宝箱を開けるのを許す、優しいパーティーメンバーに、一人でほっこりする。

 影に潜んでいるペーシュから反応がないので、こちらも賛成でよさそうだ。


「! ら、ランディーニ師匠。あれ、もしかして……宝箱では?」


 今までにない興奮状態だ。

 それだけ衝撃なのだろう。

 男の子の憧れだと思うしね、宝箱。


「うむ。そうじゃな」


「アリッサ様! 宝箱を発見しました!」


 あらあら。

 きちんと報告をしてくれるらしい。

 本当に良い子よね。


「ふふふ。報告ありがとう。発見者である貴男とランディーニに権利があるから、開けていいわよ」


「ほ、本当ですか! 僕一人では絶対に遭遇できなかったと思います。あの、ランディーニ師匠。僕、初めて宝箱に遭遇したんです。どうしたらいいか一般的な手順を教えてもらえますか」


 このままパーティーの一員としてしばらく連れて歩いてもいいんじゃないかしら? と考えれば、さすがにそれは許せませんよ? と夫からの駄目出しが出てしまった。

 良い子が何時までも良い子とは限らないし、両親と弟を完全に引き離す方が先だとも思うので仕方ない。

 両親たちから引き離すのには賛成ですね、とその点は後押しをしてくれる。

 お互い家族には苦労しているせいで、夫は毒親や兄弟に敏感だ。

 スヴェンの場合は職業が冒険者だけに死が身近にある。

 早急に手配すべきだろう。

 夫の言葉に思考を促されているうちに、ランディーニが優しくスヴェンに宝箱について説明をしていた。

 今回の宝箱に罠はかかっていないようだ。

 この階層であれば罠の確率が高いはずなのだが、ダンジョンマスターがまた空気を読んだのかもしれない。


「こ、これはソルトキャンディ? 凄いなぁ。一体幾つあるんだろう」


 背後から覗き込めば宝箱は小さかった。

 それこそ掌サイズの宝石箱程度だ。

 その中に小粒のキャンディがみっしりと詰まっている。


 ソルトキャンディボックス

 砂漠に必須のソルトキャンディボックス。

 持ち運びに便利。

 使い切らなければ定期的に補充される。


「あら、高性能」


「え?」


「最後の一個を食べなければ、永続的に補充されるんですって」


「え? えええっ!」


「ほほぅ。なかなかの代物じゃのぅ」


「孤児院へ入るなら寄附するのも良さそうです」


「ええ、きっと喜ばれるでしょう」


 スヴェンは初めて手にしたアイテムの高性能さに驚いている。

 持つ手が震えてはいるがしっかりと掴んでいるので大丈夫だろう。


「需要のある物だから取り扱いは慎重にね。信用できる人と相談して自分で持つなり、教会へ寄附するなり、売却するなり好きにするといいわ。ただし! 御両親や弟君に見せるのはお勧めしません」


「……はい。家族に見せるつもりはありません」


「取り敢えず我が持っておこう。ダンジョン踏破までにスヴェン用のマジックバッグがドロップするといいのじゃが」


「マジックバッグですか!」


 冒険者必須のアイテムと言われているがその入手は難しい。

 パーティー全員無限収納持ちの私たちが規格外すぎるのだ。


「……スヴェン君。ちょっとだけ声を小さくしようか。モンスターが来てるみたいだよ」


「! すみません。気をつけます」


 雪華の目配せでモンスターの接近を察知する。

 スヴェンにも忠告した。

 当然のようにひそひそ声になる。

 子供が全員彼のようであればダンジョン探索も大分楽になるだろう。


「……エスクラパムダとクワスのようです」


「ふむ。エスクラパムダは押しつぶし攻撃、クワスは氷結攻撃じゃな。スヴェンはウインドサークルを使ってみるがよい」


「はい!」


 攻撃は十分なので、今度は防御。

 スヴェンの性格的には防御の方が向いているかもしれない。


「ウインドサークル!」


 両手を天井に向かって挙げる。

 万歳の態勢だ。

 ふおん! と風が大きく鳴る音が響く。

 ランディーニとスヴェンを防御するだけでも十分だったのに、パーティーメンバー全員を包み込む大きなサークルができた。


「うむ。なかなかに優秀じゃ」


 ランディーニも満足そうに頷いている。

 あとはどれほどの強度に仕上がっているかが気になる点だ。


「っ!」


 エスクラパムダが飛び上がり落下して、サークルを押しつぶしにかかる。

 スヴェンは小さく声を上げたがサークルにほころびは見られない。

 

「集中するのじゃ!」


 ランディーニの声にスヴェンは額から汗を一筋滑らせながらも腰を落とした。


「くぽぽぽぽ!」


 クワスは微炭酸のイメージなのか、球状の水で中に発泡がひっきりなしに沸いている形状をしている。

 掛け声とともに噴き出されたのは小さな氷の粒だ。

 それなりの勢いがあるし、何より数が多い。

 それでもサークルは強度と形を保っていられるようだ。


「ぽぽぽ!」


 思ったよりダメージを与えられなかった悔しさか、クワスは仲間を呼んだ。

 しかも三体だ。

 呼び出されたクワスは素早く四方向に散った。

 満遍なく攻撃を与えるつもりだと、予想するのと同時に一斉攻撃が始まる。

 スヴェンは必死に唇を噛み締めていた。

 

「ウインドカッター!」


 攻撃が通るほどではない。

 けれど明らかにサークルの強度が下がったな、と判断する前に、ランディーニの口から呪文が放たれる。

 スヴェンの苦しみを労るかのように、斬撃は強く鋭かった。

 四体のクワスがそれぞれ真っ二つにされた。

 さすがの精度だ。


「は!」


 スヴェンの体が崩れ落ちる。

 みし、と聞こえるはずのないサークルが軋む音が届く。


「レアドロップ、しなさいよね?」


 雪華が大蛇化してココナッツの実とそっくりな形状のエスクラパムダを締め上げる。

 押しつぶし攻撃を仕掛けてくるモンスターであれば、その硬さには自信があったのだろうが、残念。

 雪華の締め付け攻撃には勝てなかったようだ。

 ぽきゃ! と珍妙な音がして破裂してしまう。

 中身が飛び散ったが、ノワールがそれを回収する。


「美味しいのです。主様もお好みかと思われます」


 ココナッツの果肉部分なのかしら?

 ココナッツジュースは飲んだ経験があったが、エスクラパムダはない。

 外に出たらいただこうと思う。


「スヴェン、大事ないか?」


「……全身が怠いです、師匠」


「どれ……ああ、緊張が解けたのじゃな。少し休めば落ち着こう。しばらく我の背中で休むがよい」


 ぼふっと音がしてランディーニが巨大化する。

 巨大化した。


「え! ランディーニって巨大化できたの?」


「ふおっふおっ。機会がなくてしなかったが、できるのじゃ。奥方も乗りたいと申すのならば、今すぐにでも乗せてもよいぞ?」


 巨大もふもふ最高です!

 あ、でも巨大蜘蛛化した彩絲ももふもふしてそう。

 雪華とペーシュはつるつる枠だしね。

 冬はもふもふ、夏はつるつるに埋もれておきたいわ。


「今はスヴェン君専用でお願い。私はもっとのんびりできるときに乗ってみたいわ。お昼寝とかしたいし」


「では何時なりとも申しつけるが良いじゃろう。スヴェン、風で保護するから、落ち着くまで寝ていても構わぬぞ?」


「はい。御言葉に甘えさせていただきます……」


 言葉が終わるか終わらないかで、すやあっと寝付いてしまった。

 よほど消耗したのだろう。

 もう少し考えてあげれば良かった。

 今まで魔法を使えなかったのに、いきなり限界まで使わせるのはやり過ぎだ。


「休憩小屋で休ませた方がいいかしら?」


「いいえ。ランディーニの羽毛に埋もれると安心感もありましょう。体力的というよりは精神的な消耗ですからそこまで、主様が心配なさらずともよろしいかと」


「すまぬ、奥方。師匠を気取るのであれば、我がもっと慎重に気を配らねばならなんだ」


「そう。じゃああまり心配しない感じで……ランディーニは待機してもらって、私たちで四階を攻略しましょう」


 私の声に頷いた皆は、まずクワスとエスクラパムダのドロップから回収を始めた。



 クワス

 ブラックパン。

 ライ麦の黒パン。

 パン籠付。

 二個入り。

 満腹感があるので冒険者人気が高い。


 クワス

 コールドクワス。

 グラスに入っている。

 飲みやすく安価で流通しているが、ダンジョン産の物は高価で取り引きされる。

 

 クワス レア

 ホットクワス。

 カップに入っている。

 氷ダンジョンの中で飲むのに最適。

ブラックパンを食べてから飲むと体を温め、温かさが継続される効果がある。


 エスクラパムダ

 グラスに入っている。

 ナココツの果肉、ナココツウォーター、スイートミルク、クラッシュアイスで作られており万人向けする美味しさ。

 甘い物好きな人にお勧め。

 

エスクラパムダ

 ナココツの実。

 ナココツの果肉、ナココツウォーター、ナココツの皮が取れる。

 希にナココツミルク、ナココツオイルも取れる。


エスクラパムダ レア

 ナココツの皮燃料。

 ナココツの皮を燃料として燃えやすくした物。

 携帯燃料として優秀。

 愛用している冒険者も多い。

 




 柊麻莉彩 ひいらぎまりさ


 HP ∞ 

 MP ∞ 

 SP ∞ 


 スキル 鑑定∞ 

     偽装∞

     威圧∞  


 奪取スキル 生活魔法 育児 統率 礼節 謀略 地図

      王宮料理 サバイバル料理 家庭料理 雷撃 慈悲 

      浄化 冷温送風 解呪 神との語らい(封印中)

      ウインドアロー ウインドカッター 


 固有スキル 弱点攻撃

       魔改造 

       簡単コピー 

      

 特殊装備品 *隠蔽中につき、他者には見えません。

 サファイアのネックレス

 サファイアの指輪

 サファイアのイヤリング


 装備品

 ゴーグル 可視光線透過率 自動調節機能付

 ふわもこキャップ 防寒効果抜群

 メリノンウールシャツ 保温性、通気性、防臭力が高い。

 タートルネックジャケット 速乾性、吸汗拡散性、保温性が高い。

 ハードシェル フード付 雨雪も安心の撥水性

 メリノンウールタイツ 保温性、通気性、防臭力が高い。

 マーサラップパンツ 速乾性、吸汗拡散性、保温性が高い。

 アルンパインパンツ 滑り止め効果が高く、防風も完璧。

 メリノンウールハイソックス 防菌防臭効果有

 アルンパインスノーブーツ 緊急離脱機能付 疲れにくい効果付与

 メリノンウールグローブ 防菌防臭効果有

 スノーグローブ 緊急移動機能付 加熱機能付

 リュック型冷蔵&冷凍庫 無限収納で時間停止状態


 特殊アイテム

 リゼット・バローのギルドカード

 魚屋紹介状

 衣類屋紹介状


 称号 時空制御師の最愛  


 駅前のピザ屋さんが苺スイーツ屋さんになってました。

 美味しそうでしたがやっぱり高いんですよね。

 スーパーに売っているスイーツ類が安価で美味しいので、その辺りも購入を迷う理由です。


 次回は、氷ダンジョン五階。前編(仮)の予定です。


 お読みいただいてありがとうございました。

 引き続きよろしくお願いいたします。

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