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氷ダンジョン 二階。 後編

 そろそろ福袋の季節ですね!

 今年はメンソレータムの福缶を狙っているので、発売予定の通販サイトに登録をしてきました。

 ニベアの福缶もほしいんですよね……。

 あとは食べ物系。

 服は何時になったら希望体重になるんだろう。

 なったら買おうと決めているんですけどね。

 


「悲鳴、可愛かったね?」


「断末魔の悲鳴だけどね?」


 私の言葉に雪華が反応する。

 ノワールはもくもくとドロップアイテムを回収し、ペーシュは何処かに消えている。


「ノワール手伝おっか?」


「大丈夫です。全部回収し終えました。相変わらずレアドロップが多かったですよ」


 マス・コン・イェロ レア

 コーンの冷製レシピ集。

 一般のレシピより味が良く保存もしやすい。

 素人でも作れるがプロが作れば、冷却効果などがつくこともある。

 複製不可。

 通常は冷凍コーン一本分。


 ハロ・ハロ レア

 精製糖、ブラウンシュガー、粗糖の……セット。

 それぞれ塊、粉末、液体が小瓶に入っている。

 小瓶が壊れにくい素材で作られているため、冒険者携帯アイテムとして需要が高い。

 それぞれ近い道が多いので人気がある。

 通常ドロップはどれか一つ。


「……冷製コーンのレシピって、冷たいコーンポタージュしか思いつかなかったなぁ……」


「……自分の知れないレシピも多くあります。かなり貴重なレシピ集ですね」


 ノワールが隣で覗き込んでいる。

 何時もなら失礼になるとしないだろう。

 よほど内容が気になるらしかった。


「外に出たら作ってね」


「ふふふ。わかったわ」


 雪華は当たり前のようにリクエストしてくるので大きく頷いておいた。


「おーい! 宝箱を見つけたぞ!」


 姿を消していたペーシュは宝箱を探していたようだ。


「普通の宝箱二か所、隠し宝箱も二か所だな」


「一階もそうだったけど、隠し宝箱の設定なんて本来あるものなの?」


「ああ、希にあるぞ。極希に。ただ連続して探し当てるのは不可能だなぁ」


「不可能なんだ」


「時空制御師の最愛でダンジョンマスターにも愛でられる者となったら、不可能も可能になるもんだろう。うん」


 みにょんと伸びた桃色の触手で頭を撫でられた。

 だだっ子を宥める所作に似ているのに、妙に癒やされて驚いた。


「さ。案内するぞ」


 ぺたんぺたんとスライム独特の足音? をさせて前を歩くペーシュに続く。


「そうだ。戦闘はまだするか? 全回避も可能だが」


 どうして可能なのかは聞かないと決めた。

 どちらでも良い私はくるりと二人を振り返る。


「うーん。特別な回避はしない感じで」


「できれば自然遭遇でお願いします」


「了解だ」


 どこまで調節できるのだろう。

 ペーシュならダンジョンマスターとの直接交渉もできそうな気もする。

 ……私もできるかもしれないと思っているのは、当然内緒だ。

 ペーシュと夫には筒抜けだろうけれど。


「ここからだと隠し箱の一つ目が近い。戦闘は……うん。一回あるな」


「その、ようねっ!」


 ペーシュの目が細められたのと同時に、モンスターが襲いかかってくる。

 雪華が私に向かって放たれた攻撃を防御すべく滑り込んできた。

 ちなみに飛んできたのは真っ白くて丸い餅だった。

 口を狙って飛んできて、窒息死させにかかるらしい。

 なかなかにえげつない攻撃だ。

 

「そこそこの反射神経だな。防御の仕方もいい。餅は普通に攻撃するとへばりついてくるんだ」


 ペーシュが続く餅攻撃を受け止める。

 餅が意思を持っているかのように、にちゃにちゃと音をさせながらペーシュにへばりつく。


「無理にはがそうとすると表皮ごと持っていかれる。結構な粘着力だろう? 我には全くきかぬが」


 へばりついているはずの餅はペーシュの体内に吸収されていく。

 餅を放った本体が怯えを見せていた。


「これだけの攻撃じゃないはずですが、パッピンス?」


 ペーシュと雪華の見事な防御と攻撃にモンスターが狼狽えれば、ノワールがすかさず挑発する。

 素敵よね、メイドの挑発。

 一人萌え心を擽られていると、ペーシュに生暖かい眼差しを向けられたので、視線を泳がせておく。


「しゃあ!」


 割合とモンスターに相応しい威嚇音かな? と思われる音とともに、新しい攻撃が放たれる。

 遠距離攻撃が得意なタイプのようだ。

 液体と何かしらの粒が同時に勢いよく襲いかかってくる。


「シロップ攻撃と、シリアルによる三段攻撃ね。同時なんて厄介よ。本来ならね。ただ、ほら。相手が悪いわよねぇ?」


 パッピンスはノワールを好敵手と見極めたのか、スペシャル技? のようなものを放ったらしい。

 が。

 雪華の言うように相手が悪かった。

 ノワールの箒が両方ともさっと掃き清めてしまう。

 そう。

 液体も粉末も消え失せてしまったのだ。

 パッピンスが呆然とした表情を浮かべている。

 二個の餅と苺が目と口に見えたのだ。


「ふっ!」


 遠距離攻撃には同じものを……と思ったのかノワールが、足元を箒でささささっと掃いた。

 足元には小さな竜巻ができている。

 驚いている間もなく、小さな竜巻はパッピンスに向かっていった。

 パッピンスを飲み込む頃には、その大きさの倍にはなっていただろう。

 逃げる間もなく飲み込まれ、うずたかく巻き上げられて、落ちた。

 と同時にドロップアイテムが転がる。


「ん。ノワールの攻撃も見事だ」


 ペーシュの賛辞に、ノワールはメイド服を摘まんでカーテシーで返した。


「……これもレアだ。このまま最終階までレア尽くしとしゃれ込むのかしら?」


 雪華がドロップアイテムを回収しながらやれやれと肩を竦めている。


 パッピンス レア

 パッピンスを模したピンズ。

 つけておけば風邪防止効果になる。

 衣類につけてもいいが、ハンカチにつけて持ち歩くのが一般的。

 通常はシロップ一本、餅一食分、シリアル一食分のいずれか一つ。

 

「奥方的には通常の方が良かったか?」


「風邪防止は嬉しいわ。私は喉から風邪になることが多いのよ。咽頭痛って水を飲むのも辛くなるじゃない?」


「ならば、早速身につけておくといい。ノワール」


「はい、畏まりました」


 メイド服のポケットから取り出されたのは豪奢なレースのハンカチ。

 真っ白いハンカチに色彩豊かなパッピンスのピンズはよく映えた。

 差し出されるのでポケットにしまっておく。

 これで風邪を引かないなんて本当に有り難い。


「それに二階の食材ドロップ全部詰め合わせの宝箱とか出そうだしな」


 フラグかな?

 ですね。

 夫の返事があった。


 辿り着いた隠し宝箱で早速フラグを回収する。

 今回の隠し宝箱はモンスターが飲み込んでいる仕様だった。

 ドロップアイテムの代わりに宝箱を落としたのかと思ったら、別にドロップアイテムもあったので、一粒で二度美味しく感じてしまった。


 入っていた食材は各一ダース。

 もう少しあってもいいかしら?


 なんて思っていたら、次に開いた普通宝箱の中身も同じだった。

 レア感が薄いなぁと贅沢な独り言を呟けば、次に開いた普通宝箱の中身は二階でモンスターが落とす、全てのスイーツ……のアクセサリー。

 パッピンスのピンズも幾つか紛れていた。

 

「……ペーシュ。言葉にすると、ダンジョンマスターが全部私の我が儘を聞いてくれる気がします。あと、思っただけでも同様な気がします」


「……奥方は顔に出るからなぁ……ダンジョンマスターに言葉は筒抜けだけど、心までは筒抜けしていないぞ? 我には筒抜けだけどな!」


 ペーシュに胸を張られてしまった。

 スライムが胸? を張る姿って可愛いよね。

 雪華もノワールも、ペーシュは怖いけど、スライムは可愛いと思ってしまうみたいで、表情が柔らかかった。


 グラニータの氷結攻撃を避け、スノーコーンの染色攻撃を避け、辿り着いた最後の隠し宝箱。


「……スノーコンの形をした宝箱?」


 そう、今度はモンスターかと思って様子を見ていたら、モンスターの形をした宝箱がどどどんと鎮座していたのだ。


「これはどうやって開けるのかしら?」


「……氷部分を持ち上げれば……ええ。問題ないようです」


 ノワールがスノーコーンのスノー部分を持ち上げれば、それが蓋のようでぱかりと開く。


「……染色剤か。ギルドは欲しがりそうだな」


 ペーシュの目が鑑定を勧めてくるので、中身を凝視する。


 スノーコーンの染色剤 レア

 全十二色。

 食べ物に使えば彩り鮮やかに。

 衣類に使えば色落ち知らず。

 攻撃にも仕える優れ物。

 詳細は説明書参照。


 掌サイズの小瓶が十二色それぞれ一ダース。

 説明書は一冊で、特に攻撃に対して細かい説明があった。

 赤い染色剤は火炎攻撃と同等の効果があるらしいよ?


 もしかしてこの染色剤も初宝箱品かな? とは聞かなくても、他のメンバーの達観した眼差しで理解しましたとさ。





 柊麻莉彩 ひいらぎまりさ


 HP ∞ 

 MP ∞ 

 SP ∞ 


 スキル 鑑定∞ 

     偽装∞

     威圧∞  


 奪取スキル 生活魔法 育児 統率 礼節 謀略 地図

      王宮料理 サバイバル料理 家庭料理 雷撃 慈悲 

      浄化 冷温送風 解呪 神との語らい(封印中)

      ウインドアロー ウインドカッター 


 固有スキル 弱点攻撃

       魔改造 

       簡単コピー 

      

 特殊装備品 *隠蔽中につき、他者には見えません。

 サファイアのネックレス

 サファイアの指輪

 サファイアのイヤリング


 装備品

 ゴーグル 可視光線透過率 自動調節機能付

 ふわもこキャップ 防寒効果抜群

 メリノンウールシャツ 保温性、通気性、防臭力が高い。

 タートルネックジャケット 速乾性、吸汗拡散性、保温性が高い。

 ハードシェル フード付 雨雪も安心の撥水性

 メリノンウールタイツ 保温性、通気性、防臭力が高い。

 マーサラップパンツ 速乾性、吸汗拡散性、保温性が高い。

 アルンパインパンツ 滑り止め効果が高く、防風も完璧。

 メリノンウールハイソックス 防菌防臭効果有

 アルンパインスノーブーツ 緊急離脱機能付 疲れにくい効果付与

 メリノンウールグローブ 防菌防臭効果有

 スノーグローブ 緊急移動機能付 加熱機能付

 リュック型冷蔵&冷凍庫 無限収納で時間停止状態


 特殊アイテム

 リゼット・バローのギルドカード

 魚屋紹介状

 衣類屋紹介状


 称号 時空制御師の最愛  


 

 ハロウィンレシピで何か作ろうかなぁと考えて検索したら、本当にいろいろありますね。

 先日ミートパイを作ったら美味しかったので、パンプキンパイを作ろうかしら。

 迷います。


 楽しみです。次回は、その頃の彩絲とランディーニは……。(仮)の予定です。


 お読みいただいてありがとうございました。

 引き続きよろしくお願いいたします。

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