氷ダンジョン 一階。 後編
早割でおせちの注文をしてしまった!
毎年購入しているお店でぽちり。
一応毎年検討するんですけどね。
結局何時ものお店のクオリティが高いので変更無しで注文してしまいました。
結局行列を作ってくれたモンスターのおかげで、一階に出現するモンスターは全て倒せてしまった。
有り難いやら、居たたまれないやらで複雑な気持ちだ。
戦闘が楽だったからか子蛇と子蜘蛛たちはこっそりと探索を楽しんだらしい。
宝箱を発見してくれた。
普通宝箱一か所。
隠し宝箱二か所。
階段を下りる前に取りに行くことに決めた。
近い場所にあるらしいしね。
階段前で自己主張していた、普通の宝箱からは一見普通のアイテムが出た。
キューブアイス、ハーフキューブアイス、フレークアイス、チップアイス、スティックアイス、専用保管庫各一ダースの詰め合わせ。
今まで専用保管庫を入手できたことはないので、内容としてはレアドロップ以上なのかもしれない。
今後は宝箱専用アイテムとして専用保管庫を採用するわね! ……と氷の結晶の透かしが入った一筆箋に書かれていた。
便せんが入っていた封書にも氷の結晶透かしが入っている。
そして触れるとひんやりした。
「……この便せんセットも一式欲しいかも……」
ぽそりと呟けば。
「フラグね!」
「フラグじゃな!」
雪華と彩絲に大きく頷かれてしまった。
ひんやり効果がついたレターセットとか素敵でしょう?
あちらへ持ち帰って友人たちに使いたいなぁ……。
こちらでも友人知人に送りたい。
暑中見舞い的な習慣ってこちらにもあるかしら。
季節がある以上、あってもおかしくないと思うけれど。
「……あれが隠し宝箱なのかのぅ?」
「……隠れておりませんが、ダンジョン探索中は案外頭上は確認しませんから……あり得る話しなのかもしれません。初体験ですが」
「我もじゃ」
呆れたように天井を見上げて話す二人の目線を追う。
天井からミラーボールのように、氷のボールが垂れ下がっていた。
何処からともなく光が差し込んでいてきらきらと輝いている。
ランディーニがボールの高さまで飛んで根元をくちばしで突く。
落下したボールをノワールが受け取った。
なかなか息の合ったコンビネーション。
「……ん? 氷じゃないの?」
ボールに触れた雪華が首を傾げる。
「はい。水晶を磨き上げたもののようですね。美しいのでこれだけでも価値があるかと思われます」
サッカーボールほどの大きさなら、飾りとしても宝石箱代わりにしても問題なさそうだ。
「……ほぅ。持ち主以外の人物が触れると触れた部分が凍りつく、防犯機能付きらしいぞ」
目を細めた彩絲が教えてくれた。
ソロ活動している人とか、凄く欲しいアイテムかもしれない。
「あら、早速」
ノワールが天辺の僅かなくぼみを押すと、ぱかんと勢いよくボールが割れた。
横開きじゃなくて縦開きらしいのに驚く。
宝箱といえば横開きだろう。
そして中身は先ほど話していた、氷の結晶が透かしで入っているレターセット一式だった。
便せん二種類、封筒三種類、カード二種類、はがき一種類。
さらにはガラスペンとシーリングスタンプもそれぞれ一式入っている。
痒いところに手が届きまくる内容だ。
「……宛名に書かれた以外の人が開けようとすると、手首まで凍りつくらしいです……」
美しい筆致で書かれたレターセットの説明書が入っていた。
軽く目を通せば、何とも高性能なレターセットなのがわかる。
正しい受取人が開ければ、涼やかな冷気が漂うだけだそうだ。
「これも保管庫と同じみたいですね」
これも専用保管庫と同じで初めてのドロップ品で、今後も宝箱からしか入手できない専用アイテムになるらしい。
氷の透かし模様レターセット
レターセット、ガラスペンセット、シーリングスタンプセット。
さらには水晶の宝箱防犯機能付。
セットはこの中での保管をお勧めします。
劣化しません。
あー、紙だってインクだって劣化するからね。
贅沢な保管庫だと思うけど、希少なセットだから無難な気もする。
手にして頷いていたら気に入っての所作だと判断されて、私のアイテムボックスに入れておくように言われた。
大人しく指輪に収納すれば、子蜘蛛たちが先導を再開する。
次の隠し宝箱はやはり空中だった。
目をこらせばダイヤモンドダストのように、細かい氷の結晶が舞っている。
ランディーニ曰く何らかの条件を満たさないと見えないらしい。
「よ! ほ!」
勢いよく縦一メートル横三十センチほどのダイヤモンドダストに突っ込んでいったランディーニが、首に引っかけて戻ってくる。
「宝、箱、とは名ばかりじゃのぅ」
彩絲がしみじみと頷いた。
ランディーニが首に引っかけていたのは、氷の結晶の形をしたハンドバッグだった。
厚さは数センチしかなさそうで、何を入れればいいのか迷うバッグだ。
「あ、さすがにマジックバッグだよね。このサイズのままだったら、何も入れられないわ」
バッグを手にした雪華が確認したのを聞いて納得する。
マジックバッグなら問題ない。
季節を選びそうだが見た目が可愛らしいので、楽しく使えそうだ。
「……中身は凄いですね」
「……バッグ自体もなかなかの代物じゃが……ほれ、中をよく見てみぃ」
「というか、中身を出してみてはどうじゃ?」
彩絲の言葉に頷いたノワールが何やらシートを取り出す。
このダンジョンでドロップしたのかな? と思う、鮮やかなブルーシートだ。
「これって、一階で出ていいアイテムなの?」
「レアドロップとして、一つならありじゃな」
「一階でモンスターが落とす、全てのスイーツ……のアクセサリー」
「……待って、待って! 効果がえげつなさすぎるでしょ!」
ブルーシートの上には、スイーツを模した大量のアクセサリーが転がっている。
そのうち一つを手に取ってみた。
見た目は可愛らしいロールケーキを模したイヤリングだ。
ブーザ イヤリングタイプ
ピアスタイプもある。
ほんのりと冷気を発しているので、顔回りが涼しい。
モンスターに向かって投げると、一定時間氷結する。
「……氷結しているときって、もしかして……アイテムボックスに収納できる?」
「ええ、できます」
「一定時間って、どれぐらいなのかしら?」
「モンスターの強さによって変化しそうじゃな。ボスクラスなら数秒程度ではないかぇ」
「検証できるのって……私たちくらい、よね」
「だよねー。そもそも簡単にドロップしないからね、アクセサリー。このアクセサリーを売ったら一財産築けるもの」
一番多いのはネックレス。
チョーカーやペンダントを含めたらダントツだ。
イヤリング、ピアスも多い。
指輪、ブレスレットも目立つ。
ヘアバンドやリボンといった髪飾りもあった。
アンクレットやティアラなどといった、日常では使わなそうな物も見受けられる。
「攻撃に使うのは勿体ないが、足止めアイテムとして身につけたがる冒険者は多いじゃろうな」
「お貴族様のお子様が好んでつけそうね」
「男児は間違って口に入れそうじゃのぅ」
「売るとしても、一度御館様に相談した方がいいかもしれません」
幾つか献上して相談するのはありだろう。
こんなに持っていても全部は使い切れない……あ、王都拠点にいる子たちのお土産! を差し引いても多い。
「他の階でも同じ現象が起きるとすれば、相談は必須じゃ」
あーそれを失念していた。
間違いなくダンジョンマスターが気を利かせてくれる。
私にコンプリート癖があると夫がバラしていそうだ。
何しろ氷ダンジョンは本当に楽しみにしていて、夫にも夢を通して熱く語っていた。
下に行くほど効果が凄くなりますけど、デザインが好みの物を残してもいいですよ?
あ、魔改造してみるのもいいかもしれません。
魔、魔改造……。
そんなスキルがあるのを忘れるほど、面白いアイテムが多いからね、この世界。
何時かは試してみたいけれど、拠点を決めて落ち着いてからの方がいいでしょう。
うん。
想像できるが、いざ言われてしまうと溜め息を吐きたくなる夫の言葉を聞いて、ブーザは可愛いから残そうかな? 魔改造はしない方向で……と現実逃避を半分しながら、胸の内で選んでみた。
柊麻莉彩 ひいらぎまりさ
HP ∞
MP ∞
SP ∞
スキル 鑑定∞
偽装∞
威圧∞
奪取スキル 生活魔法 育児 統率 礼節 謀略 地図
王宮料理 サバイバル料理 家庭料理 雷撃 慈悲
浄化 冷温送風 解呪 神との語らい(封印中)
ウインドアロー ウインドカッター
固有スキル 弱点攻撃
魔改造
簡単コピー
特殊装備品 *隠蔽中につき、他者には見えません。
サファイアのネックレス
サファイアの指輪
サファイアのイヤリング
装備品
ゴーグル 可視光線透過率 自動調節機能付
ふわもこキャップ 防寒効果抜群
メリノンウールシャツ 保温性、通気性、防臭力が高い。
タートルネックジャケット 速乾性、吸汗拡散性、保温性が高い。
ハードシェル フード付 雨雪も安心の撥水性
メリノンウールタイツ 保温性、通気性、防臭力が高い。
マーサラップパンツ 速乾性、吸汗拡散性、保温性が高い。
アルンパインパンツ 滑り止め効果が高く、防風も完璧。
メリノンウールハイソックス 防菌防臭効果有
アルンパインスノーブーツ 緊急離脱機能付 疲れにくい効果付与
メリノンウールグローブ 防菌防臭効果有
スノーグローブ 緊急移動機能付 加熱機能付
リュック型冷蔵&冷凍庫 無限収納で時間停止状態
特殊アイテム
リゼット・バローのギルドカード
魚屋紹介状
衣類屋紹介状
称号 時空制御師の最愛
商品券購入に応募しようと思ったら、販売日未定の延期。
とほほ……と落ち込んでしたら、もっとお得な商品券が同時刻に販売されていたと知り撃沈。
よくよく見たらお得な商品券は決済方法が好みではなかったので、間に合っても買わなかった気がしますが……。
決済方法にカード決済は入れて欲しいです、ええ。
楽しみです。次回は、氷ダンジョン二階。前編(仮)の予定です。
お読みいただいてありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。




