氷ダンジョン 一階 中編
世界の氷菓、いろいろと食べてみたいですね。
まだ暑い日が続いているので、特にそう思います。
シュパゲティ・アイス
スパゲッティを模しているアイスクリーム。
下から順番にこっそり嵩増し用のルミクリーム、麺を模したバニラアイス、トマトソースを模したロベリートスソース、パルメザンチーズを模しているのは細かく刻んだホワイトチョーコレト。
更に飾りとしてハート型のウェハースが頂上に鎮座。
お皿付
スプモーネ レア
赤、緑、茶色の三食一セットの果実&ナッツのアイスクリーム。
ポメグラネイトン、メロメロン、マローンチョーコレト。
刻んだチェリリン(サクランボ)の果肉が入っている。
一番多い組み合わせは、チェリリン、スタッチ、チョーコレト。
お皿付
「あ、レアってお皿が豪華なんだね」
「ん? 言われてみれば柄付きだね。シンプルな白皿もいいと思うけど」
「使い勝手は白皿の方が良いかも知れぬな」
指摘されるまで気づかなかった。
どれだけスイーツそのものにしか興味がないのだろう。
まじまじと見ればスプモーネの載っているお皿は、可愛らしい小花柄だった。
「早速ドロップしたようです。主様もいくつかお持ちになりますか?」
ノワールが氷ダンジョン専用保管庫を手に問うてきた。
即座に一ダースドロップしたようだ。
全くダンジョンマスターは仕事が速い。
「まだ出ると思うから、最終的に一ダースもらっておこうかな?」
「了解いたしました」
「私たちも欲しいなー」
「我もな」
専用保管庫が大人気だ。
食べ物に限らず、個別に状態維持できるアイテムらしいので、使い勝手がいいのだろう。
「……おや? 妾たちの得物を横取りしようとしている輩がおるようじゃぞ?」
和気藹々とやり取りをしていれば、二列縦隊最後尾のモンスターたちに挑んでいるパーティーがいる。
人数は三人。
年齢は二十代~三十代。
女性のみのパーティーだ。
「うーん。でもこの状況はそもそもおかしいから横取り判定はされないかも?」
「横取り判定はされないかもしれませんが……モンスターが許さないようですね」
「ふむ。そもそも一階のモンスターじゃ。一体相手にあそこまで手こずるのはおかしいわい」
「実力がないだけなんじゃないの?」
ふんと鼻息が荒い雪華は、横取りされたと思っているようだ。
「ちょっとー! 助けなさいよー!」
女性の一人が声を上げる。
助けを求める台詞じゃない。
「助けを求める態度じゃないわねー」
雪華が大声で返事をした。
その声に反応したように、大人しく順番待ちしていたモンスターが彼女たちに襲いかかっていく。
そうだよね、これが正しいモンスターの反応なのだ。
「人数多い方が助けるのが、当たり前でしょ!」
「違います」
「じゃな」
ノワールと彩絲の返事は届かないだろう。
しかし一歩も動くつもりがないのは伝わったようだ。
「信じられない! 帰還したら言いつけてやるんだからっ!」
「馬鹿じゃな。口にせなんだら、生きて帰れたやも知れぬのに」
冷ややかなランディーニの言葉に全員が頷く。
私も倣っておいた。
「ふざけるなあああああ!」
断末魔は罵声だった。
最後まで期待を裏切らないパーティーだ。
三人いたら一人ぐらい真面な人がいてもよさそうなものだが。
朱に染まれば赤くなってしまったのかもしれない。
「あら、呆気ない」
「ま、その程度の実力だったのじゃな」
「……遺体は残らないようですね」
「我らの邪魔をしたのじゃ。当然の報い」
本来のダンジョンと同じく、遺体は即座に吸収されてしまった。
「あ、装備は残っているのね」
「届ければ謝礼が出るのぅ」
「横取りの話をすれば、慰謝料も出ますね」
モンスターがいそいそと並び直すのに、若干不憫な眼差しを向けつつ、回収に向かう。
「……あら。貯め込んでいるわね」
さくさくとマジックバックの中身を漁った雪華が、意外だ! と声を上げた。
「ダンジョン探索で稼いだのではなく、男たちに貢がせたのじゃろ」
彩絲が素っ気なく呟く。
たぶんそれが真相で間違いなさそうだ。
「お揃いのペンダントをしているから……これで、人物の特定も可能でしょ」
雪華は落ちている装備を自分の収納に放り込みながら頷いた。
「少し距離があったから、顔かたちも細かいところまではわからぬからのぅ」
結局荷物拾いに全員来てしまった。
並んでいた列の先頭と最後尾がくるんと交代する状況には笑うしかない。
「さ。相手をしてあげましょう。ホーキー・ポーキー、好きなのよ。中のトフィーが美味なのよね」
「クルフィはスパイスが癖になるのじゃ。アリッサの口にもあうといいのぅ」
今度は二人が戦うらしい。
私の出番!
……氷ダンジョンを踏破する前にあればいいや。
すっかり投げやりになった私の前で彩絲は自ら糸をふるい、雪華は小蛇たちを召喚した。
ホーキー・ポーキーは業務用アイスクリームのように、大きな箱の姿で歩いてくる。
トフィーの粒を弾丸のように飛ばしてくる攻撃に、彩絲は糸で作った盾で防御した。
クルフィは掌サイズの壺の姿だった。
攻撃は悪臭を吹きつけてくるもの。
小蛇たちのうち何匹かが倒れた。
倒れた小蛇は他の小蛇によって、迅速に回収されたので安心だ。
クールタイムがあったらしく、攻撃が止まったのを見計らって、彩絲の糸がホーキー・ポーキーを包み込む。
息つく間もなく繭状になってしまった。
「中は高温じゃ。すぐに音をあげるじゃろうの」
彩絲が行っている最中に、ぼしゅんと空気が抜けたような音がした。
「ふむ。倒せたようじゃのぅ」
ふわっと繭が空気に溶け込むように消える。
中からは保管庫に入ったホーキー・ポーキーが現れた。
うん。
安心の業務用箱入りアイスといった見た目だ。
「クルフィって目潰し攻撃じゃなかったの?」
「レア種じゃろ」
「そんなにぽんぽん、レア種って出るっけ?」
「アリッサが一緒なら普通じゃな」
どうやらクルフィの攻撃が常と違って小蛇たちがダメージを喰らったらしい。
「全く、私の可愛い子たちに酷いことをしないでほしいものね!」
大きく息を吸い込んだ雪華が、その息をクルフィに向かって吐き出した。
「しゃげぇえええええ!」
なかなか面白い絶叫を上げたクルフィは、即死したようだ。
「え? 毒ガスブレス?」
「のんのん! 即死ブレス」
「ひぃ」
語尾にハートマークがつきそうな表情と声で返事をされた。
そんな恐ろしいスキルを持っていたなんて初めて知ったよ!
「即死スキルなら彩絲も持っているわよ」
「集中力が必要じゃから、滅多に使わぬがのぅ」
うちの守護獣たちが凶悪な件について。
い、今更かな?
「ドロップアイテムを鑑定します……」
「うんうん、よろしく。ダンジョンマスターの声付き鑑定なんて、アリッサしかできないもんね!」
ホーキー・ポーキー
粒モンドキャンディー・トフィー入りメルキャラ(キャラメル)アイスクリーム。
箱サイズ 200×150×100
新鮮なミルクがたっぷり使われている。
万人受けするようだ。
器付
クルフィ レア
ダルンカモン(カルダモン)、シナーモン(シナモン)が入ったスパイシーなアイスクリーム。
レア種にはドライフルーツ三種類が、通常種にはナッツ一種類が入っている。
超低温の冷却で仕上げられた。
癖になる味。
器付
「癖になる味……」
「妾は好きじゃが、雪華は然程でもないのぅ」
「うーん。砂糖の分量次第かなぁ」
「レシピによって随分味が変わるようですね。今度作ってみましょうか?」
「ノワールに任せれば、誰でも美味しくいただける気がする」
「あー、私の魔改造を使うのもありかなぁ」
なかなか使う機会ないから、ちょうど良い気もします。
「我は味見専門で頼むぞ!」
ランディーニの安定の宣言を聞く私たちの前にどどどんと宝箱が現れた。
「何時の間に?」
「服ダンジョン以上に何でもありよね~」
ちょっと目を離した隙に下へ降りる階段の、目の前に現れた宝箱。
ランディーニと雪華がうきうきと開けに行った。
ちなみにこの間も、モンスターたちは律儀に並んでいる。
申し訳なくて肩を落とせば彩絲とノワールという珍しいコンビが殲滅してくれた。
柊麻莉彩 ひいらぎまりさ
HP ∞
MP ∞
SP ∞
スキル 鑑定∞
偽装∞
威圧∞
奪取スキル 生活魔法 育児 統率 礼節 謀略 地図
王宮料理 サバイバル料理 家庭料理 雷撃 慈悲
浄化 冷温送風 解呪 神との語らい(封印中)
ウインドアロー ウインドカッター
固有スキル 弱点攻撃
魔改造
簡単コピー
特殊装備品 *隠蔽中につき、他者には見えません。
サファイアのネックレス
サファイアの指輪
サファイアのイヤリング
装備品
ゴーグル 可視光線透過率 自動調節機能付
ふわもこキャップ 防寒効果抜群
メリノンウールシャツ 保温性、通気性、防臭力が高い。
タートルネックジャケット 速乾性、吸汗拡散性、保温性が高い。
ハードシェル フード付 雨雪も安心の撥水性
メリノンウールタイツ 保温性、通気性、防臭力が高い。
マーサラップパンツ 速乾性、吸汗拡散性、保温性が高い。
アルンパインパンツ 滑り止め効果が高く、防風も完璧。
メリノンウールハイソックス 防菌防臭効果有
アルンパインスノーブーツ 緊急離脱機能付 疲れにくい効果付与
メリノンウールグローブ 防菌防臭効果有
スノーグローブ 緊急移動機能付 加熱機能付
リュック型冷蔵&冷凍庫 無限収納で時間停止状態
特殊アイテム
リゼット・バローのギルドカード
魚屋紹介状
衣類屋紹介状
称号 時空制御師の最愛
景色の良いアフタヌーンティーを予約しました。
一人だと平日&安価縛りでいきますが、一緒に行く相手がいると条件も変わりますよね。
景色が堪能できるように窓際カウンター席にしてみました。
楽しみです。次回は、氷ダンジョン一階。後編(仮)の予定です。
お読みいただいてありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。




