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氷ダンジョンへ入る前に……。後編

  いろいろなRTAを鑑賞していますが、どれも凄い極みプレイですよね。

 自分では絶対にできない自信があるので、尊敬しつつ楽しんでいます。

 毎回思いますが、どうして目隠ししてプレイできるんだろう……。 

 


 さて引き続き下半身の装備。


「現在の主流はベースとアウターの二枚履きだが、上下揃いのアイテムがあるので、上半身と同じ三枚履きになるな」


「あ、揃いがあるんですね」


「可愛いは正義だからな。あって当然だろう」


 当然ですね。

 夫の声まで響いた。

 当然私も可愛いは正義! に反対意見などない。

 

 メリノンウールタイツ(ベースレイヤー)

 カラー くすんだピンク

 腹部から足首までしっかりガード

 メリノウールのこちら版

 効果もメリノウールと同様

 保温性、通気性、防臭力が高い。


 マーサラップパンツ(ミッドレイヤー)

 カラー くすんだピンクに桜の花びら刺繍

 腹部から足首までしっかりガード

 速乾性、吸汗拡散性、保温性が高い。

 重ね着してももたつかない薄さ。

 超軽量


 アルンパインパンツ(アウターレイヤー)

 カラー 汚れが目立ちにくいピンク

 左右にポケット

 尻にポケット二つ

 雨雪も安心の撥水性

 速乾性、保温性が高い。

 滑り止め効果が高い。

 防風も完璧。

 動きに支障を来さない薄さ。

 超軽量

 

 重ね着は上半身よりも下半身が気になるのは自分だけだろうか。

 試着タイムは設けられている思うし、ペーシュのお勧めに抜かりはないと思う。

 雪山登山の経験はないけれど、雪中アウトドアの経験はある。

 そのときは夫が完璧な手配をしてくれたのであまり参考にはならないかもしれないが、ないよりはマシだろう。


 メリノンウールハイソックス

 カラー ブラック サクラのワンポイント刺繍

 厚手 二足組

 滑り止め効果が高い。

 速乾性、保温性が高い。

 防菌防臭効果有


「汗を掻くからな。容赦なく二足組にしてある。できればインナー上下も着替えを用意した方が良かろう」


「ではそうしますね」


 超軽量だしびっくりするほどコンパクトに畳めるから、手軽に着替えの用意もできると思う。

 荷物が少ない方がいいとは思うけど、万が一一人になったときのためにも多めを心がけたいところ。


「万が一にも一人にはならないだろうが」


「ですか?」


「超絶難関ダンジョンの悪質トラップにかかっても、一人にはならんな。最悪でも我はそばにいる」


 さすペー。


「だから、さすペーはやめろと」


「はーい」


 ペーシュの額に皺が寄ったので肩を竦めておく。

 心の底から嫌がっているようには見えないんだけどなぁと思えば、頬の肉を引っ張られてしまった。

 反射的に言ってしまうのは勘弁してほしい、と心の中で手を合わせつつ次を見る。


 アルンパインスノーブーツ

 カラー ブラック サクラのワンポイント刺繍

 緊急離脱機能付

 抜群の保温性

 滑り止め効果が高い。

 疲れにくい効果付与

 超軽量


 ちなみに靴下のワンポイントは花全体で、靴のワンポイントは花と葉が刺繍されていた。

 それだけで女性っぽく見えるから不思議だよね。

 疲れにくい効果が付与されているのに、異世界を感じた。


「……っていうか、緊急離脱機能?」


「ああ。雪に嵌まったとき、自動的に周囲の雪を溶かして隙間を作り、ジャンプしてその場から離脱できる機能のことだ。事前に『緊急離脱機能発動する』と予告があるぞ」


「あら、高性能」


 雪の中にずっぽり嵌まる現象は、雪国あるあるだろう。

 雪に縁がない生活をしていると、十中八九パニックになってしまう状況だ。

 この機能があれば安心して嵌まれる。

 や、嵌まってもパニックに陥る前に問題が解消されるのだ。


「雪国の王族……それも子供相手につける機能として有名だな」


「それだけ嵌まる子が多いのね?」


「まぁ、子供は走りまわるものだろう?」


 最近はインドア派の子も多そうだが、こちらの世界では寒かろうが暑かろうが外で遊べと放り出されてしまう印象はある。

 ふと孤児院の子供たちを思い出した。

 

 メリノンウールグローブ(インナーグローブ)

 カラー 薄いピンク

 五本指タイプ

 速乾性、保温性が高い。

 防菌防臭効果有


 スノーグローブ(アフターグローブ)

 カラー ブラック サクラのワンポイント刺繍

 五本指タイプ

 緊急移動機能付

 加熱機能付

 防水性、防風性、透湿性が高い。

 耐久性、保湿性も高い。

 繊細な指の動きが可能


 そうだ。

 グローブを忘れていた。

 これも必須アイテムだよね。


「グローブは基本重ね着だな。緊急移動機能は事故や本人の意識がないときに発動する。

手袋の力だけで移動できるぞ」


 これもまた凄いね!

 遭難しても安全地帯まで手袋の力だけで移動できそう。


「そうだな。その認識で間違いない。安全ルートで最速移動する」


「……靴につけた方がいい機能では?」


「……それもそうか。じゃあ、靴と連動させておくか」


 そんな簡単にできるものなのかしら?


「一流の付与師でも難しいだろうよ。我だからできると思え」


 さす!

 さすがです、ペーシュ様。


「……さすペーよりはマシか。靴を再鑑定してみろ」


「はい」


 アルンパインスノーブーツ

 カラー ブラック サクラのワンポイント刺繍

 緊急離脱機能付

 抜群の保温性

 滑り止め効果が高い。

 疲れにくい効果付与

 超軽量

*緊急移動機能付追加。

 本人の意識がない場合、もしくは本人が希望した場合に発動可能。

 安全地帯まで自動移動する。


「これで事故っても大丈夫」


「事故るな、馬鹿者。あ、そうだ。加熱機能は指先が冷えたと感じたときに、サクラの刺繍を力強く押すと発動する。んー指先がカイロで包まれるような感じになるといえば、わかりやすいか?」


「わかりやすいです。でもそれを使うほど冷えるって、結構な寒さですよね」


「氷ダンジョンは装備をしっかりしないで凍死する奴らもいるからなぁ……ダンジョン内で凍死すると遺体が残るから、定期的に回収して蘇生措置がほどこされる場合もあるぞ」


 あら、新しいシステム?


「あまりにも凍死が多くてな。ダンジョンの意思でそうなったらしい」


 普通のダンジョンは人が入らないと維持できないといわれているみたいだし。

 服ダンジョンも明らかにダンジョンの意思を感じたから、氷ダンジョンもきっと似たダンジョンなのだろう。

 同じ街にあるからこっそり情報交換とかしていそうだよね。


「ま、蘇生措置はさすがに金がかかるから、受けたら借金奴隷落ちがほぼ確定だ」


「うわー」


「更に評価の良くない冒険者は蘇生が許されない例も多いという話だ」


 そうやってよろしくない冒険者が淘汰されているのかしら?

 にしては質の悪い冒険者が多すぎる気もするけど。


「頑張ってる奴らには基本目こぼしがあるんだがなぁ。どこの世界にも業の深い奴らは少なくないってこった」


 またしてもくしゃりと頭を撫でられた。

 長くを生きている生命体特有の憐憫とでもいうのだろうか。

 一瞬だけぞっとするほどの孤独感を察知してしまった。


「さ。しっかり試着しておけ。感想も聞くからな」


「はーい」


 良い子の返事をしていそいそと試着をしていく。

 全部を着込んでも着ぶくれにはならず、動きのぎこちなさも感じなかった。


 ペーシュのセレクトはすばらしいですねぇ。

 褒めても何も出ないぞ?


 動きを確認する私をそれぞれの場所で眺める二人の声は、気安い友人同士のそれにとてもよく似ていた。


「あ! マジックバッグ系はいいの?」


「氷ダンジョンだとリュックタイプが多いな。背負っとくか?」


「手ぶらもさすがにどうかなぁって」


「今更ってー気もするが。この辺でどうだ?」


 ペーシュが出してくれたリュックサックを鑑定する。


 リュック型冷蔵&冷凍庫

 カラー ピンク サクラの刺繍付

 無限収納で時間停止状態

 中身は通常、冷蔵、冷凍の三構造になっている。

 冷蔵&冷凍部分は氷ダンジョン対応なので、入り口部分に触れれば速やかに分類収納される。

 中身は随時更新される一覧表で確認可能


「……リュックサック?」


「知能はないが機能は凄いだろう?」


 自慢げなペーシュの頭を? 掌で丁寧に撫でておいた。



 草むしりをしました。

 軍手を貫いて棘が刺さって驚きました。

 汗だくだくでも痩せずに消耗するだけなのが寂しいですね……。


 次回は、氷ダンジョン一階。前編(仮)の予定です。


 お読みいただいてありがとうございました。

 引き続きよろしくお願いいたします。

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