表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/223

服ダンジョン 一階 後編。

 ピク○ンのかわいい食玩が出ると知ったときには完売御礼でした。

 よくある話です。

 再販売して欲しいなぁ。

 グミならダイエットにも良さそうなことだし……。

 

 


スタンピードですか? と思うほどのモンスターの猛ラッシュ。

 何しろ過剰戦力なんで体力的な消耗は少なかったけれど、気持ちが消耗しました。


「ふむ……一階にいたモンスターは殲滅したようじゃのぅ」


「たまにあるみたいだから、危険を感じた冒険者のほとんどは一端離脱したみたいだね」


「愚かな者は若干いたようじゃぞ。まぁ、あの子らを唆したような輩じゃから、自業自得じゃろうて」


 彩絲と雪華の言葉に胸を撫ぜ下ろし、ランディーニの言葉にぎょっとする。


「子供らはいい囮になるからのぅ。ま、想定外のスタンピードもどきで、それどころではなくなったのじゃわい。ま、因果応報じゃて」


 ランディーニの言葉に二人も頷いている。

 たぶん余罪もあったのだろう。

 三人の態度からそう察せられた。


「では、休憩小屋へ入るとしようではないか!」


「子供らも幾分か落ち着いておればいいのぅ」


「大丈夫じゃない? ノワールの休憩小屋とか、子供たちにとっては夢のお城みたいだと思うし」


 ランディーニがくちばしでノックをする。

 可愛い。

 何となくだが、ノックをしないでノワールに激怒された過去がある気がした。


「お疲れ様でございました」


 入り口から見渡せる範囲に子供たちがいない。

 時間的に考えて食事やお風呂を済ませて、睡眠を取っている……そんなところかしら?


 木目が綺麗なテーブルには四人分の飲み物。

 数種類のサンドイッチが置かれていた。

 断面から見るに作り立てのようだ。

 ノワールの場合、作り立てを何時でも出せるように準備はしていそうだが。


「子供たちは?」


「救急のちに風呂へ入れ、家庭料理を与えて就寝させました」


 救急が必要な衰弱レベルだったのか……酷い話。

 皆がりがりだったものね。


「リーダーに話を聞きましたところ、冒険者たちに囮として使われたようですね」


「使った奴らは因果応報にあったぞ」


「それは上々。話を聞くに相手は常習犯だったようです。リーダーは生き延びられるかもしれないと思い手を取ったと申しておりました。苦渋の決断ですね」


「それだけ追い詰められていたのかしら?」


「この街はどこまで荒れているの?」


 少なくとも活気はあった。

 宿への移動中に、うずくまる子供の姿は見なかった……と思う。


「小さいながらも孤児院はあるようで、そこの評判は悪くはなかった模様。ただ我儘な子供が入ってきてから状況が悪化したのだとか」


「我儘な子供?」


「桃色の瞳と髪を持った愛らしい少女だそうです」


 ラノベなら魅了持ち確定のヒロイン枠といったところでしょう。


「リーダーは何故か異様に執着されたようですが、それを拒絶したら、孤児院に疎まれたと」


「孤児院出が孤児院に疎まれると面倒なことになるんじゃよ」


 他の孤児たちを守るためにそれは、仕方のない態度なのだろうか。

 もし少女が魅了持ちなら孤児院関係者も既に取り込まれている可能性が高そうだ。


「うーん。じゃあ、子供たちにはドロップアイテム拾いをやってもらいましょうか?」


「子蜘蛛と子蛇のガードをつければ安全に拾えるでしょう」


「リーダーは一緒に戦闘を?」


「他にも三人ほど磨けば光る者がおります」


「じゃあ、四人には戦闘を教える感じで」


「ノワールが言うのなら将来性があるのじゃろうて」


 このままダンジョンを離脱して孤児院へ乗り込んでもいいが、それでは拙い。

 魅了持ち少女やリーダーたちを理不尽な目に遇わせた大人たちへの、報復の意味もかねて、子供たちをしっかりと自立させたい。


「戦利品は如何でございましたでしょうか? スタンピードではなく湧きとされているようですが」


 あんなに大量に出てもスタンピードじゃないところに驚き。

 殲滅させなくても一定時間放置すると普通のダンジョンに戻るっていうんだから衝撃だよね。

 このダンジョンに限らず、ダンジョンにはそんな特性を持つものも少なくないんだってさ。

 そういえば決まった湧きの対処をする小説を読んだ記憶がある。

 その作品は湧きの対処をしておかないとスタンピードが起きるっていう設定だったけどね。


「戦利品はなかなかじゃったぞ? さすがに色こそ制覇できなかったが種類は制覇したじゃろうて」


「……依頼分も達成しておりますね」


 ノワールが懐から取り出した依頼書と照らし合わせてしっかりと確認した。


 彩絲はドロップアイテムの数と種類を記憶しているらしい。

 え、そんな凄いこともできるんだ!

 懐から出した紙には、ずらっと男性服の名前が並んでいる。

 下着、タンクトップ、シャツ、ワイシャツ、シェフパンツ、チノパン、ポロシャツ、スウェット、スラックス、カーゴパンツ、ジーパン、ジージャン、カーディガン、パーカー、ベスト、スーツ、テールコート。

 ドロップの多い順番だ。

 向こうの世界で普通に着られていた物ばかりなのに驚く。

 これも服ダンジョンの特性なのかしら?

 王都はもっとこう……中世頃の服が多い印象だった。

 こういった軽装が王都では好まれないのかもしれないし。

 ん?

 もしかして例の寵姫もどきのせいかも。

 豪奢な服が好きそうだったもの。


 下着が一番多いのはそれだけ需要があるから。

 ぶっちゃけ下着姿でうろうろしていても大丈夫な街らしい。

 パンツ一枚でうろうろするならせめて、トランクスタイプであってほしいと、こっそり願ってしまう。

 暑い地域なら空気の出入りが良さそうなトランクスが幅を利かせているに違いないと、信じておこう。


 さすがに高級宿の周辺やダンジョン周辺にはいませんので安心してください。

 肌が強くなければ難しい格好ですからね。


 夫から囁かれた。

 

 あちらの砂漠地帯の服装だって基本的には肌を隠すものだしね。

 宗教的な意味合いが強いのかもしれないけれど。

 何しろ強い日光は肌を傷めるのだ。

 幾ら暑くても肌が傷つく服装をしないのが一般的だろう。


「この街で需要が見込める物も多いけど、交易に回す用が多いところがいいわよね。アリッサがドロップさせたテールコート一式とか、オークションでいい値段がつくわよ」


 確かに一流テーラーに飾られていそうな一式だった。

 基本男性が許されない一行だが、女性に着せていいなら置いておきたい気もする。

 男装の麗人執事にアフタヌーンティーのサーブとかされてみたい。


 ……男装の麗人なら許可しますよ。


 あ、渋々だけど夫の許可も下りた。

 今のメンバーならフェリシアが似合いそうだけど、案外ノワールも似合いそうだ。


「テールコートは残しておきたいかな」


 許可が下りた妄想は伝えずに言えば、他のメンバーはきちんとした収納を約束してくれる。


「うん。引き受けた依頼品も全部揃ったわ。カーゴパンツ一ダースは、もう少し時間がかかると思っていたから嬉しい」


「職人が好んで穿くズボンじゃからのぅ。消耗も早いが、ポケット数の多さと頑丈な割に涼しいから重宝されておる。その癖意外とドロップされぬからなぁ」


「みたいだね。基本的にこの街で着られそうな服のドロップが一番多いみたいだし。カーゴパンツは誰もが着たいわけじゃないからねー」


「下着、タンクトップ、シャツは全色出ておりますから……揃いで売りに出した方がよろしいかもしれません」


「あ、もしかして自分で売ってもいいの?」


 食べ物屋の屋台も考えていたけれど、服飾小物系の屋台も考えていた。

 洋服も数が多くないなら試しても良い気がしている。

 オタクとしてはコンプリートされたものって、思い入れがあるのですよ。


「洋服屋さんをお望みですか? 屋台でもそこそこ出ておりますし、案外出物も多いので可能でございますよ?」


「ほぅ。アリッサが服の屋台を出すと希望するとは思わなかったぞぇ」


 彩絲に流し目で見られた。


「揃っているものに弱いのよね。テールコートみたいに取っておきたい執着はないんだけど、自分で着てくれる人に売りたいなぁって」


「揃いであれば転売屋も寄ってくるからねぇ。ま、私たちが不逞の輩は寄せないけれどさ」


「女性専用の売り場で販売なさればよろしいかと思います」


 というか。

 そちらでの販売しか御方様は許されないかと思われます。

 ノワールの言いたかった言葉は、何となく脳内に届いた。


「それなら安心だね」


 女性が男性服を購入するなら基本はプレゼントだろう。

 やり取りが楽しそうだ。


「おや。子供らが起きたようですね。こちらへお呼びしてもよろしいでしょうか?」


 ノワールが子供の起床を察知したようだ。

 先ほどの提案を子供たちは喜んでくれるに違いない。

 私は大きく頷く。


「失礼します!」


 入っておいでなさい! というノワールの声に、リーダーの声が続く。

 さらには子供たちの、しつれいします! という可愛らしい声も続いた。


 ノワールがセットした、座りやすいサイズの椅子にお行儀良く座った子供たちに、飲み物が提供される。

 寝起きならば喉が渇くだろう。

 にこにこと見守るが、子供たちは一向に手をつけようとはしない。

 ふと思い至り、許可を出した。


「寝起きで喉が渇いたでしょう? どうぞ、お上がりなさい。足りなければお代わりも許可しますよ」


 そう、こういった場面では主人である私が許可を出さねばならない。

 彼らと対等な話をするという意味合いもあった。


 子供たちは喜んで飲み物を取り、リーダーは驚きに目を大きく見開きながらも喉を潤した。 





 柊麻莉彩 ひいらぎまりさ


 HP ∞ 

 MP ∞ 

 SP ∞ 


 スキル 鑑定∞ 

     偽装∞

     威圧∞  


 奪取スキル 生活魔法 育児 統率 礼節 謀略 地図

      王宮料理 サバイバル料理 家庭料理 雷撃 慈悲 

      浄化 冷温送風 解呪 神との語らい(封印中)

      ウインドアロー ウインドカッター 


 固有スキル 弱点攻撃

       魔改造 

       簡単コピー 

       

 特殊装備品 *隠蔽中につき、他者には見えません。

 サファイアのネックレス

 サファイアの指輪

 サファイアのイヤリング


 装備品

 ベリーダンサーキュロット仕様 虹糸蜘蛛による体感温度一定刺繍付

 サークレット付ベール 虹糸蜘蛛による身体能力上昇刺繍付

 レースのブーツ 虹糸蜘蛛による防汚刺繍付

 

 特殊アイテム

 リゼット・バローのギルドカード

 魚屋紹介状

 衣類屋紹介状


 称号 時空制御師の最愛 


 


 秋のアフタヌーンの予約広告が出て困ります。

 芋栗大好きなんですよね。

 ご褒美に食べられるくらい一気に痩せられぬものか……。


 次回は、服ダンジョン二階 前編。(仮)の予定です。


 お読み頂いてありがとうございました。

 引き続き宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ