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進み始める刻

昨日の出来事から決意を決めた椎那。

-私の名前は…夜紅翼 椎那。

今は…使用人の夜逆 命琴じゃない

家族の、いえ…親戚の夜紅翼 椎那-


真っ直ぐ廊下を歩き向かう先は自分の実の兄である桜紅血 和稀と名乗っている本名 夜紅翼 和稀のための生活部屋。

(変わらないままじゃ愛乃に申し訳ない…

桜紅血さんにも…このままじゃ私は逃げてるだけだから

…それに、変わらないまま刻さんと一緒にいるのはダメだもの)

色々なことを考えた。

どんどん和稀の部屋へと近付いている。

打ち明ける時と共に。

椎那は平常心を保とうとしていたが、色々な事が思い浮かんでいた。

幾度となく否定してきたのに今更言っていいのか

もう信じてもらうことができる状態じゃないのではないか

そんな風にネガティブ思考をしているとあっという間に和稀の部屋の前に到着した。

「…ふぅ…」

コンコンッ

「夜逆 命琴です。桜紅血さん、今いいですか」

扉をノックする手が震えていて弱く小さな音。

休暇になっている和稀がどこにいるかはわからないが部屋にいる可能性が高い。

ほかの場所に居るとしたら手当り次第探し回る事になる。

「っ!?ちょ、ちょっと待ってくださいっス!

今服着てないんでっ!」

何をしていたんだ。と、椎那は思った。

愛乃がここにいるわけではないだろうに服を着てない理由が理解できなくて首を傾げて扉を見つめる。

少し緊張がほぐれ、先程より心の中が落ち着いた。

「あとどのくらいですか。

(無視されなくてよかった…)」

メイド服ではなく私服で訪れた椎那は待っている間

少しだけソワソワしていた。

何せ屋敷の外に出る訳でもないのに、私服を着る事がかなり久しぶりだったからだ。


ガチャッ

「どーぞっス!っ…しっ…あ…命琴さん…私服なんスね!(可愛い…妹って自覚してないとヤバイっスよこれは…)」

急いで着替えた和稀もまたラフな格好だった。

どこか懐かしい香りのする2人。

昔のように兄妹が兄妹という形で会っている瞬間。

「…え、えぇ…失礼するわ。(お兄ちゃんの私服…)」

和稀の部屋に入った二人の空気はピンっと張った糸のようだった。

誰かが入ってきたら少しは緩むのだろうが、仕事中でもない今は誰かが入ってくることはない。

「あ、その…何の用だったんスか?(な、謎に緊張するっス…)」

椅子に座って向かい合っている兄妹の姿は、凄く奇妙な光景だった。

「あ…ぁ…の…ねぇ…あの…それです。

これ……で、わかると…思うんですが…。」

椎那は、(おもむ)ろに上に羽織っていたカーディガンを脱いだ。

中に着ていたのは細い肩紐のワンピースで、体中の傷が見えてしまうのに、それを気にする事もなく右の背を和稀に向けて見せた。

右の背には翼の形のあざがある。

それは生まれた時からあるもので、夜紅翼家の人間は不思議と皆、背中に翼の形のようにできるのだ。

双子だった二人は片翼ずつ分かれて、椎那は右背に、和稀は左背にあった。

この二人は何かと左右に別れて何かが起きる事があった。

例えば、椎那は左目が義眼であったり和稀は右耳がほぼ聴こえないなど自分の背中のあざと逆の方向に何かが起こった。

そのため、夜紅翼家では双子は不吉とされていた。

「…椎那っ!」

喜びから、ギュッと椎那の体を抱きしめた。

今もまだ包帯の巻かれている小さな体の妹を自分の腕の中へ包み込んだ。

和稀にとっては、本当に何年ぶりという単位で妹の姿を見たのだから感極まるのも仕方のない話だった。

「…素直に打ち明けれなくて…ほ…本当にごめんなさい

どうしたらいいのかがわからなくて…

いままでも街中へ買い出しに行ったときに見かけることはあったの。貴方だと分かっていたのに声を掛けることができずに毎度逃げるように避けていました…。」

何度も声をかけようとはしたけれど、その一歩手前で勇気を出せず後ずさりしては逃げていた。

目の前に見えている兄の姿がすごく眩しく見えて、自分のいる場所とはほど遠い場所の人間に思えて、声がかけられなかった。

「…っ…そうなんスね…いいんスよ。

こうしてまた出会えたんスから」

髪をふわっと撫でられた。

触れ合った機会がほとんど無いはずなのに、その手が懐かしくて心地よかった。

「ありがとう…押しかけてごめん…」

受け入れられた安心で涙が止まらなくて和稀の胸に顔を(うず)めた。

そんな椎那の事を優しく兄として包み込んだ。

「…全然、いつでも押しかけてくれていいんスよ。

だって俺らは、血の繋がった兄妹なんスから」

その言葉が嬉しくもあり複雑でもあった。

自分のせいで愛乃の姉は、自分の親友は、命が奪われたような物だから。

椎那にはその罪悪感がまだ残っていた。

椎那に任された弟の愛乃。

彼女は、最後まで笑っていた。

彼女は、最後まで愛情深い人だった。

愛乃にも責められることはなかった。

その二人の温かさや優しさが逆に痛く突き刺さって、抜けずに時間が経つにつれてズブズブと深く刺さっていった。

それなのに自分にはまだ兄妹がいる。家族がいる。

「……うん」

椎那の心の中はゴチャゴチャしていた。

いろんな感情が入り混じって、どうしたらいいかが分からなくなりそうだった。



その頃刻は、椎那との出来事を頭に浮かべていた。

キスをされた事…思い出して唇を指で触る。

今日は一日休みの日で部屋で一人ボーっとしていた。

しかしそれが何故か落ち着かなかった。

「…はぁ…」

ベッドに寝転がると愛乃との事だけでなく椎那とのことも思い出す。

愛乃はもう何回かあったので慣れてきてしまったのだが、椎那は女で男同士の愛乃とは違う。

もしも性行為をすれば、子供ができる性別の組み合わせなのだ。

「僕は…ここに来てから感覚がずれてしまったのかな…?」

今までならばありえなかった事がここでは普通の日常として起きている。

自分の中での常識が一気に壊された気がした。

(何か凄い強引で…愛乃様とは違って…全体的に柔らかくて…っ…な、何考えてんだ僕!)

悶絶して枕に顔を埋めた。

心の中が乱れて行動も落ち着かないため、とにかく腹筋して体をずっと動かしてみたり、本を読んだりしていた。




紅茶の入る音。

静かなこの部屋にはその音だけが響く。

「…はぁ…あいつ等は全員休みにしてあるからな

和稀は……っ痛…

あぁあ、すっげぇだるい…看病してくれる奴がみんな微妙…」

傷がまだ痛む中何とか書類の整理を行っていた。

義母の妃咲のこともあり忙しい日々を送っている

仕事が減ることはない。

(…はぁ…大丈夫かなー…椎那。打ち明けに行って傷ついて帰ってきたら…あいつ…どうしてやろうかな)

溜め息をつき休むことなく仕事を進めた。



庭園に移動した二人は昔話に浸っていた。

本当に昔の話だ。

同じ家で育った記憶はもちろん無いが、隠れて家族で出かけた記憶はあるのだ

「…ていうか、椎那

突然服を脱ぐのはやめた方がいいっスよ」

兄妹だからよかったものの一般常識でいけば、この歳になったら兄妹であっても、目の前で肌を見せつけるなんて事はありえないことだ。

「そうなの?お兄ちゃんは不思議なことを言うのね」

この家で育ってきた椎那にとって特に人前で服を脱いだりする事を恥じらう習慣はない。

それが普通だと思って過ごしてきたのだから。

「いやいや!普通脱がないっスからね!?」

兄としては可愛い妹が心配で仕方が無いのだが、妹にとってはその心配する理由さえもわからないのだ。

椎那にとっては168.2cmという背の大きさをかなりコンプレックスとして抱いており、自分が女の子という扱いをされることは無いと思っている事もある。

「…そうなの?じゃあ気をつけます」

意味もなく脱ぐことや忠告もなく脱ぐことを注意されたのだと思い、確かに驚かせたよな…と、申し訳なく思い返事をした。

微妙にすれ違いながら、2人は少しずつ兄妹としての距離を計っていた。



「刻さん、こっちの仕事手伝ってください。」

響紅天家では、妃咲が捕まってからはどんどん使用人が減ってしまい、大忙しだった。

『はい!これ干し終わったらすぐ行きます』

無線を使い指示を出しあっている。

愛乃のお気に入り3人のみが装着している無線。

他の使用人より連絡は楽だが、その分多く働いていた。

『椎那、そろそろ愛乃んの昼食時間なんスけど卵が無くて…どうしたらいいっスか!?』

愛乃の大好物のオムライスが作れない。

オムライスパフェにもオムライスアイス等にも卵は絶対必需品なのだ。

「キッチンのメモに店の名前と番号が書いてあります。

そこに連絡して至急届けるようにお願いして」

この家の使用人の中で一番偉い位にたつ椎那は休む暇もなく手と口を常に動かしていた。

「夜逆さん、庭園の手入れが終わりましたので確認おねがいします!」

作業を止めて窓から庭園を見る。

細かくは見えなくても大きく上から見た時の感じをまず判断する。愛乃が庭園を見るのは基本的に家の中からだからだ。

「もう少し色のバランスを考慮して花を植えてみて」

そしてその指示が終わると愛乃の部屋へと向かった。

部屋の掃除を昼食前に一度行う事になってる。

「愛乃様、片付けるので少しその隅っこにいてください」

テキパキと無駄なく片付けを進めていく。

床や机に散らばっている資料を整理整頓する事から、出しっぱなしになった本をしまったり、学校の制服をクローゼットにかけたりなどすることは愛乃の部屋だけでもたくさんある。

「椎那、頑張りすぎじゃねぇかぁ?(まぁ俺のせいでもあるか…部屋汚いとか…いや片付けてるつもりなんだけどな)」

椎那の体を気遣ってみるものの、その言葉を流すかのように一定のリズムを崩さず片付けを進めていた。

「はぁ…私が働かないと他が動けない状態ですから。

愛乃様がもっと上に立つものとしての自覚をお持ちになって、私や刻さん、お兄ちゃんのことを特別扱いするのをやめるなどする覚悟で頑張って下さればいいんですけどね。」

使用人をまとめる者として当然の言葉を告げた。

上に立つ者が不在の今、メイド長であり皆をまとめる椎那が色んな事に指示を出して回っている状況になっているわけだ。

上の立場の人間が贔屓をするというのは前までの響紅天家と変わらないうえ、指示を出すにはまだ体が回復しきっていない愛乃では無理があるのだ。

「へぇへぇ…てか、椎那厳しすぎるっつのー

それに…お兄ちゃん…ね。仲直りできたんなら安心だ」

愛乃の中では嫌味ではなく本心から言った言葉だったのだが、椎那にとってその言葉は深く突き刺さった。

兄妹という関係である椎那と和稀は、響紅天家の亡くなってしまった長女の椎那と、現在目の前にいる心に深く傷を負っている、響紅天家の主人である長男 愛乃の姉弟という関係を連想させる。

自分を救おうとしたせいで命を奪われた親友。

その弟がどう思おうとそれをとやかく言う権利など椎那にはないのだ。

愛乃の事は心の底から慕い、信頼しているのは事実だ。

だけどそれは全く別の話で、自分が自分の事を一番許せないのだ。

「…すみません。」

その一言しか発することは出来なかった。

謝るべきシーンでないのは分かっていてもこの言葉しか頭に浮かばなかった。

愛乃は、それを察することができないほど、人に無関心ではない。

「ずっと言ってんだろ、お前のせいじゃない。

それに、俺はお前が和稀のことを“お兄ちゃん”って言える日が来て、お前が笑ってんだからそれでいいんだよ。」

愛乃の中で椎那は、姉の親友であり第二の姉だ。

夜逆 命琴という存在を作り出し、使用人という立場に夜紅翼 椎那がいないことにしたのは、椎那が自分の名前を呼ばれることを拒否したからだが、それだけでなく愛乃が椎那を使用人にするのが嫌だったからだ。

でも、結局その命琴と言う名を愛乃が呼んだのは最初の頃だけで、2人の時や自分の部屋の中では椎那と呼ぶことが多かった。

事実 椎那も被害者なのだし、責めるなんてことをする気などない。

「…はい、愛乃様。

ありがたいです…が、掃除中にオムライスポップコーン食べないでください。」

「あ、ぁあ(笑)すまんすまん(笑)」



愛乃の部屋に響くノック音。

そのノック音の鳴らし手は和稀だ。

「失礼します」

綺麗に整頓された部屋を見て一瞬驚きつつ、愛乃の元へ新たに届いた資料とオムライスラテを持っていく。

「ん…そこ置いといて」

普段かけてない眼鏡をかけて真剣にPCと向き合い作業を進めている愛乃。いつもとは違う当主らしい一面を見た和稀は、何故か胸が締めつけられた。

なにか懐かしさを感じるのだ。

どこがで見たことのあるような気がする

「な、なんか手伝うことないっスか?」

会話が途切れて静まり返るのがとてつもなく怖い。

ドキドキが止まらなくて心臓が破裂してしまいそうになるのだ。

「あぁ…無いな。何かしたいのならそこで喘いでろよ

雰囲気出るし、やる気が出る…相手が欲しけりゃ刻を呼ぶ。

さぁ、どっちがいい?一人か二人か…。」

手を止めずに言葉で攻める。

和稀の頬は少し赤くなって、心の底から言葉を間違えたと悔やんだ。

一人でやるのなんて恥ずかしいはずなのに、他の人としているのを愛乃に見られるのが嫌だと思った。

「…ひ、一人で…します。(は、恥ずかしい…)」

愛乃に指定されて、ベッドの上に座り服を脱ぐ。

見られていないのに服を脱いで、主のベッドで自分でしようとしている事が、見られている時よりも何故か恥ずかしい。

「っ…ふっ……んっう…っ…」

一人でして一人で勝手に喘いでいるこの状況がすごく痛かった。

でも、ここで刻とシて喘ぐよりもマシだった。

愛乃はそんな和稀に見向きもせずに仕事を着々と進めていく。

「…はぁ…いつまでしてんの?何回出したんだよ、腹の上真っ白にして…そんなに俺と、シたい?」

和稀の方を初めて見て、蔑むように嘲笑した。

この冷たく最低な笑みがすごく嬉しいのだ。

「…し、た…いっ…ス…」

予想通りの答えに鼻で笑い、眼鏡を外してベッドの方へ向かう。しかし途中で足を止めた。

「あ、どうしようかなぁ…

羞恥プレイが好きな和稀に俺がなにかしたら…逆にわりぃかもなぁ…」

意地悪な言葉で和稀の体を火照らせていく。

自分の言葉に翻弄される様子を見て愛乃の気分は仕事で疲れている人とは思えないほど有頂天になっていた。

「…し…てください…ッス…おね…が…しま…す」

ちゃんと言われた通りにシながら喋る従順な和稀。

可愛いと思うとついイジメたくなるのが愛乃の性格だ。

「ぁあ、いいよ…」

あえて、和稀が一番して欲しいことをせずに焦らす。

「はぅ…っぅ…よ…しの…ん…」

だが気持ちいいのが和稀だけだというのは面白くない。

なので前触れもなく挿入。




「はぁ…」

いつもはミスをしない椎那だが、椎那だって人間だ。

仕事の道具や資料を運んでいる際によろけて窓にぶつかり窓を落としてガラスが飛び散ってしまったので、それの片付けに追われていた。

(最近緩んでますかね…ボーっとしていることが前より増えたような増えてないような…)

ふわふわとした気分で仕事中も居てしまう。

仕事中といっても毎日仕事をしているようなものだ。

「あ!椎那さんっ!大丈夫ですか?」

声を聞けばすぐにわかった。

刻しかいない。

そもそも、呼び方で人がわかってしまうものだ。

「なんですか…

大丈夫ですから、騒がないでください」

もう片付けも終盤に入っているのにとんだトラブルメーカーがやってきた。

椎那にとっては、トラブルメーカーでしかない刻。

「でも!怪我とか!(ミスとか珍しいし心配だ…)」

あわあわとした動きを見て、椎那はヒヤヒヤしていた。

新たにガラスが落ちたりしないか。

資料が散らばったりしないかなど。

「大丈夫です。

刻さん程のドジっ子スキルは持ち合わせてませんから…(最近刻さんが積極的に距離を詰めてくる…。)」

謎の空気が二人のあいだに流れていることに本人たちは気付いていない。

鈍感コンビは、ほかの事にもどちらかといえば疎いのに自分達のことに鋭く気付く筈がない。

「ドジっ子!?僕は、ドジっ子じゃないです!

それより、椎那さん熱でもあるんじゃないですか?」

おでこをコツンっとやってみせた。

刻は、真剣に心配してやった行為だが、現実でやる人はそう滅多にいない。

「刻さん、顔近いです」

鋭い椎那のツッコミに刻は顔を赤く染めた。

実に愛らしい反応だが、白昼堂々 仕事を目の前にイチャイチャなどしていられないので、椎那はそのまますっと立ち上がり纏めた資料達と集めたガラスの破片を持ち、歩き出した。

「っ…し、椎那さん!手伝いますから!!」

二人の空気はムズ痒く甘かった。

まだ二人が自覚していない分、淡く甘く桃色の空気が流れ余計に落ち着かない空気だった。

「え…いいです。刻さんが手伝うとろくなことがないです。」

「まぁいいじゃねぇか、デートがてら行ってこいよ」

突如割り込んできたのはこの家の当主である、愛乃だった。

「で、で、ででで、でーと、とか!そんなんじゃないですよね?!」

さらに赤くなった刻。

椎那も、ほんのりと耳を赤くさせていた。

「はぁ…何を言ってるんですか…。」

八重歯を見せ笑う愛乃に、柔らかい笑みを見せ、呆れたような声を出す椎那。

刻はそんな二人の笑顔を見てほっこりとしていた。

「ま、まぁいいです。行きますよ!」

資料の方が重いので自分の持っていたものを片手で持ちその椎那からとった資料をもう片方の手で持った。

そこで、刻が細いくせに力があるということを初めて知った。

「…ぁあ…なるほど…///(愛乃は先に気づいたんですね)」

そんな男らしい一面をこのタイミングで見て、椎那は自覚した。

このムズ痒いものがなんなのかを。

「ほれ、行って来い!」



二人を送り出してから、愛乃は窓の修理の連絡をした。

その後はやっと終わった資料の整理のチェックをしてから、ゴロンっとベッドに寝転がる。

愛乃の中では、今生きてる人で一番大事なのは夜紅翼 椎那だ。

義姉であり、真面目で優しい使用人の一人だ。

だがそのあとに次ぐものが誰なのかがはっきりわからなかった。

誰かを本気で愛したことも、友情なんてものが芽生えた試しもない。

そんな愛乃に、家族愛以外のものがあるわけもない。

「椎那が幸せになればそれでいい…。

椎那の幸せが姉ちゃんと俺の幸せだから…

でもあいつだけは…絶対に…許さない…。」

握り締めた手の中にはただ一人の姉と自分との写真が入ったロケット型ペンダント。

憎む相手はただ一人。

その相手に知られてしまっては復讐にならない。

だからこそ、今ある好奇を無駄にしないように自分をどれだけ削り偽ってでもじわじわと相手の心を壊そうとしている。

今回は次回に向けて愛乃の本心編…みたいなものに入りました。

次回は、愛乃の復讐相手がわかるかも…!?!

というところでもありますね。

更に、自分の気持ち、今までのムズ痒い空気について気付いた椎那が刻に対してどういう対応をし展開していくかですね。


では、次話にてお逢い致しましょう!!

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