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第8話 試験の前の試練



昨日は一波乱あったが今日はいたって平和だ。

青龍の学校へ行く手続きはもう少しかかるそうなので、今日もお留守番。


「ユウもなかなかやるね、校長を丸め込むなんて」


「まぁな」


ちなみにガリ〇リ君のことは秘密だったりする。


「じゃあそろそろ行ってくる」


「いってらっしゃ〜い」


今日は一人で登校。華凛は何か用があって早めに登校している。

しかし一人だと静かだな。


「まぁ嫌いじゃないけど」


「何がじゃ?」


「うわっ」


校長からいきなり話し掛けられた。

この爺さん、神出鬼没だな。


「おはようございます」


「うむ、おはよう」


「朝っぱらからどうしたんですか」


「例の件じゃ」


例の件とは青龍の入学のことだ。


「テストが終わってから登校できるようにしておいたからの」


「ありがとうございます」


「いやいや、これもガリ…ゴホン……可愛い生徒のためじゃ」


「いや今絶対ガリ〇リ君って言おうとしただろ!」


「は、はて?なっ何のことじゃ?聞き間違えじゃないかの」


「動揺しすぎっ!」


「おお、もう職員朝礼の時間じゃ。ではワシはこれでさらば」


そう言葉を残して颯爽と去っていく校長。

に、逃げやがった。


「やべっもうこんな時間だ」


校長と話していたおかげでもう遅刻寸前の時間だ。走らなければ間に合わない、ということでダッシュで学校へ向かう。

無事に学校に着いて今は昼休み。今日の昼食は購買で済ませることにする。

そうと決まれば購買へダッシュ。購買は俺の教室から右に直進して廊下を曲がった奥にある。


「良い子の皆は廊下は走ったらダメだぞ?」


よくわからない独り言を言いつつ急ブレーキをかけコーナーを曲がる。


「うわっ」

「…む」


角から出てきた人とぶつかってしまった。


「すいません、大丈夫ですか?」


「……………」


相手は何も言わないでこちらを見ている。

この人見たことないし保護者か何かかな?などと考えていると和馬から声を掛けられた。


「悠、何やってんだよ。行くぞ」


「あ、俺急いでるんで…すいませんでした」


何も言わないのでペコリと会釈をして通り過ぎる。


「……少年よ、またどこかで会うだろう」


「………?」


男はよくわからないコトを言って去っていく。


「何だったんだ?」


そして再び購買を目指す、といっても目と鼻の先だけど。

昼食を買って教室に戻る。・

昼食を食べ終わってまったりするところだが、どうもあの男が気になる。一人で悶々と考えていると、華凛と遊沢が話し掛けてきた。


「ツッキー、勉強教えてくんない?」

「ユウくん、私も教えてほしいんだけど」


「ん?…ああ、いいけど」


「やったね、さすがツッキー」「ありがと、ユウくん」


皆さま驚くことなかれ、俺は成績は良いほうなのだ。

とそこで一人招かれざるバカ。まぁつまり和馬のことだ。


「悠〜オレっちにも教えてくれ〜」


「やだ」


速答+拒否してやった。


「なんでっ!?華凛ちゃんとか遊沢にはOKしてたじゃないか!」


「和馬に教えるのめんどいから」


実に単純明快な答えだ。これならバカの和馬でもわかるはずだ。


「ううっ、差別だ」


泣き真似を始めるバカが一名。つーか男が泣き真似したって気色悪いだけだ。


「間塚、キモいよ?」


おおっ遊沢、ナイスつっこみ。


「うん、和馬くん。それはキモいよ」


そこへ華凛からの追い打ち。

うわぁ、あんなこと言われたら絶っっ対へこむ。いや、自殺ものかもしれない。


「じゃあやめる」


しかし和馬は全然傷つかない、というか気にしてない。


「和馬、お前って案外大物なのかもな」


「ふはは、オレは大物なのだ〜」


やっぱバカだった。


「そんなことより勉強教えてくれ」


「ああ、いいぞ。これ以上からかったらこっちも疲れるし」


二人が三人に増えたところで変わらない。


「ということで、いつ勉強する?ついでに場所も決めとこうぜ」


「まぁもう決まってるけど、図書室に放課後集合ね」


…既に決めてあった。

遊沢は準備がいいというかなんというか。しかも俺が教えることは決定事項だったらしい。


「よーし、ツッキー?逃げちゃダメだからね」


「逃げないから安心しろ」


俺って信用ないのか?それはそれで悲しい。


キーンコーン


「あ、チャイムじゃん。じゃあ放課後に集合だから。解散!」


「解散って、まだ授業あるぞ?」


「それはわかってるけど、ノリって大切じゃない?」


「そうだな」


よくわからんが勉強にノリって大切か?

なんかこいつらに教えるの疲れそうだな。先が思いやられる。

−−放課後

とうとう来てしまった。これから地獄を見るであろう図書室。


「んじゃ何からやる?」


「数学」

「漢文」

「全部」


上から遊沢、華凛、和馬という順番である。


「お前ら、一つに統一しようとは思わんのか?つーか和馬、お前は論外だ」


全部ってなんだよ、全部って。


「まぁまぁ間塚は論外として、私と華凛は臨機応変に対応してよ」


「なんでオレは論外なんだっ」


「和馬、あんまりうるさいと教えないぞ?」


「はい、静かにします」


うん、和馬は少し静かにしたほうがちょうどいいな。


「じゃあまずは私から」


最初は遊沢か。


「ここ解けないんだけど」


そこは何かしらの定理を使って解く問題だった気がする。


「そこはだな、これをこうして………………」

「…………でこうなる。解るか?」


「あーそういうことか。ツッキーやるじゃん」


「まぁな」


まずは一人完了。


「ユウくん、助けて〜」


次は華凛か。


「漢文読めないよ〜、っていうか使わないのをなんで習うの」


華凛は勉強はできる方なのだがどうも漢文が苦手らしい。しかもちょっと逆ギレ気味だ。


「はいはい、そんなこと言わない。それを言ったら勉強全部意味がないだろ。漢文は読めればおもしろくなるぞ?」


「ぶ〜ユウくんは読めるからそんなこと言えるんだって」


しょうがないコツコツ教えていくか。


「え〜っと、まず漢文の基本は………………」

「………でここはこう読むわけだ」


「う〜ん、なんとなくだけどわかったかも」


華凛はなかなか飲み込みが早いな。さすができるヤツは違う。


「はぁ〜最後はお前か。教える教科は一番苦手なやつだけだぞ」


ゲームでいうとラスボスだな。なぜならコイツは名実共にバカの王様なのだ。


「一番苦手なやつって全部なんだけど」


「………………」


マジで?それありえないって。


「華凛?わ、私たちはもう終わったし帰ろっか?」


「う、うん。邪魔したら悪いし」


「ちょっ、逃げる気か!」


「ちっ違うわよ!華凛が言ったとおり邪魔しちゃ悪いって思っただけよ」


「じゃあユウくん頑張って!」


ダッシュで逃げる遊沢、ガッツポーズの華凛、そして取り残された俺と和馬。

嗚呼、神様。あなたはなんて過酷な試練を与えたんだ。

ふっ、最後の手段だ。


「あっ和馬、100円落ちてる」


「どこっ!?」


全力疾走で図書室を出る。

さらばだ和馬、お前のことは忘れないよ。



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