第5話 遊びに行こう!(後
今は家具を買って、少し遅いおやつを食べている。ちなみに家具は後日郵送される。
「うーん、美味しいね」
「なかなかうまいな」
俺たちが居るのは、このデパートでも1、2位を争うスイーツの名店。そこでクレープを食べている。
「ユウって甘いもの大丈夫なんだ、意外だね」
「いや、こう見えても結構な甘党だぞ」
俺は甘いものなら何でもイケる結構な甘党だ。
「ごちそうさま〜」
「あれ?青龍もういいのか?」
まだ一人分しか食べてないぞ。って俺から言われたことまだ気にしてんのかな?
「うん、いっぱい食べるのはご飯だけだよ」
「へ〜俺はそっちのほうが意外だ」
「ふーん、ユウは私がよっぽど大食漢に見えるらしいね〜」
あ、怒った。
「い、いや。ただ普通の人より食べる量がちょ〜っと多いかなって……おぶっ」
拳が恐ろしいスピードで飛んできた。
「ユウ、それ以上喋ると大変なことになるかもしれないよ?」
いやもう十分大変なことになってるんですけど。
「だからって何も殴ること無いだろ」
「私は何もしてないヨ」
こいつシラをきるつもりか。中国人みたいな発音になってるし。
「もういいよ……青龍、次はどこ行きたい?」
「今日は結構遊んだからもう帰ってもいいけど」
「わかった、じゃあ帰るか」
−−−−−帰り道
「なぁ少し寄り道していかないか?」
「ん〜?いいよ〜」
それじゃあ、と俺のお気に入りの場所に行く。
「どこ行くの〜?」
「俺のお気に入りの場所」
今はもう日が傾きかけているからあの場所に着く頃にはちょうどいいな、などと思いつつ歩を進める。
「へぇ〜ユウのお気に入りの場所か。楽しみだね〜」
「うむ、期待してていいぞ」
青龍も興味深々だ。あの場所を見たら絶対驚くぞ。
「よし、着いた」
「うわぁ、キレイ」
俺のお気に入りの場所、というのは町を一望できる丘のことだ。滅多に人が来ないので静か、加えて今は夕方なので夕日がとても綺麗に見える。
そこでしばらく青龍と夕日を見ていた。
「そういえばここに誰かと来るの初めてだな」
誰に話すでもなく呟く。
「じゃあ私が初めてだね」
そう言って青龍はにっこりと微笑んだ。その時の青龍は頬が夕日で染められていてとても可愛く見えた。
「ん?どうかしたの?」
「い、いや何でもない」
不覚にも青龍に見惚れてしまっていたようだ。
「そろそろ帰るか」
「うん♪」
名残惜しいがお気に入りの場所から家に帰る。
「あ〜今日は楽しかったな〜。ユウ、また行こうね♪」
「ああ、また連れてってやるよ」
そんな会話をしながら歩いているが、気になることがある。
「あれ?俺ってなんか忘れてない?」
「知らないよ、私は何も聞いてないけど?」
う〜ん、なんか釈然としないな。なんだろ?
「そんなことより、今日の晩ご飯なに?」
「また食べ物の話か。今日の晩ご飯は……あぁぁぁ!!」
「なっ何?どうかしたの?」
「何を忘れてたか思い出した…」
「何を忘れたの?」
「こ、米を買うのを忘れた」
釈然としない感覚の原因はこれだった。
「今日の分があったら問題無いんじゃない?」
「いや、青龍サン。それがですね、今日の夕食の分すら無いんですよ」
なんで敬語になってるかというと、なんか怒られそうだったからだ。
「じ、じゃあ今日は夕食抜きなの?」
予想に反して青龍はどんよりとしたオーラを放っている。
「いや、まだ手はある。というか今からスーパーで買って来る」
「あ、それじゃ私も付いてく〜」
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スーパーで米を買って、家に帰ってきた。で、夕食を食べている。
「外食もいいけどやっぱり家のご飯が一番だな」
「そうだね。くつろげるし」
いや、お前はくつろぎ過ぎだ。
「突然だけど私も学校に行きたい」
「ダメ」
何をいきなり言いだすんだか。
「どうして?」
「いや青龍って神獣だし、それに手続きとかもあるし」
「ふーん」
どうやら諦めたらしい。
「ん〜なんかご飯食べたら眠くなってきちゃった。とゆーことでおやすみ〜」
「ああ、おやすみ」
俺も寝ることにする。
今日は疲れたけど、たまにはこんな休日の使い方もいいかな、と落ちていく意識の中で考えていた。