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第32話 掲示板にて…



テストの次の週の昼休み。

5日間に渡るテスト期間が終わり、来週からいよいよ文化祭の準備期間だ。

しかし、教室は違う話題で盛り上がっていた。


「うわーダメだったー」

「お前何でそんなに上なんだよ」

「やった!今回はいけた!」


悲喜こもごもの声がクラスのあちこちから聞こえてくる。

テストの成績は放課後に配布されるのだが、掲示板には昼休みから張り出されているのだ。


「騒がしいな」


そんな中、俺は数少ない興味ない派の一人だった。なので、教室でのんびりしている。


「ユウ!掲示板を見に行くよ!」


ぼーっとしていると、やけに張り切った青龍が声を掛けてきた。


「興味ないからパス。つーか、放課後には分かるから別に見なくてもいいだろ」


「えー」


あからさまに不満の声を上げる青龍。


「うわー、あれは成績が良いツッキーの余裕が見て取れるね」


「なんか、俺はどうせ成績良いから見る必要ない、って言ってるみたいだぜ」


遊沢と和馬がひそひそと話している。しかし、わざとこちらに聞こえるように話している。


「ユウくんは成績良いから…」


「おー華凛も言っちゃえ」


遊沢が華凛をまくし立てる。

というか、華凛も結構成績は良かったはずだ。…何故、俺だけ?


「ユウ、あんなに言われて黙ってるの?今こそ戦う時だよっ!」


「…いや、何と戦うんだ?」


「いいからいいから。ほら、行くよ」


青龍に無理やり右腕を引っ張られる。空いている左腕は、いつの間にか隣りにきていた遊沢にがっちりホールドされる。


「捕獲完了」


「さあ行くよ!」


青龍と遊沢に腕を掴まれ、ずるずると引きずられていく。…ぶっちゃけさらし者だ。

そして、いつもの五人で掲示板に到着。

張り出された紙には、200人分の名前がズラリと並んでいる。


「まずは和馬からね」


「うん、和馬くんは下から数えた方が早いから見つけやすいよね」


華凛がサラリとヒドいことを言っている。…まぁ事実なのだが。


「えーっと俺の名前は…」


和馬はそんなことを言われても気にしていないようだ。


「あ、あった」


「えっ!どこ!?」


「ほら、あそこだよ」


青龍が指差した場所を見てみると、


100位 間塚和馬


…確かに和馬の名前があった。


「ジャスト100か。今回はなかなか頑張ってるな」


「悠のおかげだぜ!」


通常なら150位前後だということを考えると、なかなか健闘したと言えるだろう。

その証拠に華凛と遊沢も、


「今回は頑張ってんじゃん」


「和馬くんのこと見直したかも」


と言っている。


「順番でいくと次はあたしかぁ」


次は遊沢の名前を探す。


「お、発見」


遊沢は自分で見つけたらしい。そこを皆で見る。


77位 遊沢宴


なんて言うか…遊沢らしい数字だな。


「まぁこんなもんか…」


でもラッキー7だからいいや、と聞こえた気がした。


「せーちゃんのは最後に見るから…次は私かな?」


華凛は上から数えた方が絶対に早い。


「華凛、あったぞ」


「んー、あ、ホントだ」


次は俺が見つけた。


24位 朝宮華凛


なかなか良い順位だが、華凛の実力なら妥当なところだろう。


「ま、また24位…」


「連続何回だ?」


「入学してからずっとだから、もう忘れた…」


成績が良くても悩みがあるらしい。それにしても、入学してからずっと24位って…呪われてるんじゃないか?


「次は俺だな」


「ユウくんのは上にあるからすぐ見つかるよね」


「ユウって成績いいの?」


「そりゃあもう憎たらしいくらいに。あたし初めてツッキーの成績聞いた時、あんまりサラッと言うから呪ってやろうかと思ったもん」


「普段からそんなに勉強してないのに…ズルいぜ」


いろいろ言われているが、自分の名前を探すことに専念する。


8位 月代悠


うん、今回もいつも通りだ。


「へぇ〜意外だね」


「何がだ?」


「いつものツッコミからは想像できない成績」


「青龍、お前な…」


突然、ゾクリと後ろから気配を感じる。

慌てて後ろを振り向いて構える。そこに居たのは………ハサミを持った遊沢と和馬だった。


「何やってんだ、お前ら?」


「ふふ、ふふふ、ふふふふ…ツッキー、髪の毛頂戴」


「一本でもいいぜ」


シャキシャキとハサミを鳴らす二人組。端から見たら、非常に危ない。

…いや、俺、当事者だけど身の危険を感じるぞ。


「何に使うんだよ?」


「いやいや、やましいことには使いませんよ」


「そうだぜ」


…やましいことに使う気だな。


「つーか、その体の後ろにやった左手には何を持っている?」


「気にしない気にしない」


「一休み一休み」


いや、気にするから。

というか、和馬のは違うだろ。


「ほーら、良い子だからこっちにおいで〜」


「来いと言われて来る馬鹿がどこにいる…」


「悠、あきらめも肝心だぜ」


「俺はこんなところでは死なん」


じりじりとゆっくり迫ってくる二人。相変わらずハサミをシャキシャキ鳴らしている。


「ふふふ」


「ははは」


気味の悪い笑いを浮かべながら、さらに近づいくる。

そして、二人の射程圏内に入る直前。


「ふっ」


「えいっ」


遊沢の首筋には手刀、和馬の頭には分厚い辞書がお見舞いされた。


「お前ら、止めるの遅いって…」


「いや、なんか面白かったからね」


「辞書借りてくるのに時間掛かっちゃって…」


背後からの攻撃を受けて倒れている二人を見る。

隠していた左手には、ワラ人形が握られていた。


「ワラ人形、髪の毛。呪いの必需品だね」


「こいつら質、悪っ」


「あはは…」


華凛が苦笑いしたところで、丁度チャイムが鳴った。


「教室に戻るか」


「そうだね」


「うん」


和馬を俺が、遊沢を青龍が教室まで運ぶ。


「はぁ…放置してもよかったんだけどな。自業自得だし」


「まあまあ、そう言わないで運んであげるよ」


「二人とも悪気があったわけじゃないと思うけど…」


華凛、さっきのこいつらは悪意の塊だったぞ。


「あ、そういえば青龍の順番見てないな」


「忘れた…」


俺と同じく、華凛も忘れていたらしい。


「そういえば見てないね。どうせ、大した順番じゃないから見なくて正解だよ」


「そうか?」


「そうかなぁ?」


二人で首を傾げる。


「そうだよ!」


そう言って満面の笑みを浮かべる青龍。その笑顔は紛れもなく100点の笑顔だった。







二学期・実力テスト

第3位 青龍


更新速度にかなりムラが…はい、ダメダメです(笑)

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