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第30話 ツンデレ疑惑



「来週からテスト期間に入るから週末はあんまり遊ばないで勉強するんだぞ」


彼は担任である。名前はまだない。

…っと、そんなことはどうでもいい。それより…。


「テストか…」


そう来週から夏休み明け恒例の実力テストがあるのだ。ちなみに試験範囲は夏休みの課題と一学期に学習した内容だ。


「悠!テスト前の遊び納めにゲーセン行こうぜ!」


「テスト勉強があるからパス」


「ちょっと位ならいいだろ〜」


「和馬…お前、一学期の成績を忘れたのか?」


いいだろ〜、の形のままフリーズする和馬。

どうやら一学期の惨事を思い出してくれたようだ。


「そろそろ本気で勉強しないとヤバいんじゃないか?」


「そ、そうだな。今回は勉強しようかな?」


「ああ、それがいい。頑張れ」


「じゃ、また来週……いや、土日に会おうぜ」


「は?」


そう言うと和馬さっさと帰ってしまった。

あいつ…俺んちでテスト勉強する気か?


「ユウくん、帰ろ」


「おう」


華凛がやってきた。


「ちょっ、ユウ!華凛!待つんだよっ」


青龍の方を見ると、青龍が鞄にすごい勢いで教科書を詰め込んでいた。


「青龍…何やってんだ?」


「いや〜教科書って学校に置きっぱなしにしてたら結構溜まるよ?」


「…毎日持って帰ろうという気はないのか」


「ん〜面倒くさい………っと、終了〜」


パンパンに膨れ上がった鞄を抱える青龍。見るからに重そうだ。


「青龍、その鞄重くないか?」


「あんまり重くないよ。持ってみる?」


青龍から鞄を受け取る。

鞄を受け取った瞬間、ズシリとした結構な重量感が手に伝わってくる。

まるで腕が何かに引っ張られるような感覚。明らかに鞄が出せる重さの限界を超えている。

それと、油断していただけに、普段より重く感じるのだろう。


「…重い」


これ、10キロ以上あるんじゃないか?


「あんまり重くないと思うんだけどなぁ」


青龍に鞄を返すと、それを軽々と持ち上げる。


「せーちゃんって力持ち…」


力持ちの範囲を軽く超えてると思うのは俺だけか?


「ほらっ、早く帰るよ!」


こっちが待っていたのに、青龍から急かされる。

…なんだろうな、この矛盾。


「あ、せーちゃん待ってよ〜」


「………はぁ」


青龍を追って教室から出る。


「ちょっと、君」


「ん?俺?」


教室を出たところで声を掛けられる。振り返ってみると、そこには桐生がいた。


「そう、あなたよ」


「何か用か?」


「用がなかったら話し掛けないわ」


…いちいち突っ込んでくるな。


「遊沢さんいる?ここのクラスの筈なんだけど」


「ああ、遊沢か」


クラスをぐるっと見回してみる。

しかし、遊沢の姿はどこにも見当たらない。


「…いないな」


「………はぁ」


やれやれ、と言わんばかりの溜め息をつく桐生。


「ユウ〜何やってるの〜?」


「ユウくん、早く帰ろうよ」


先に突っ走って行った青龍と華凛が戻ってきた。


「あ、副会長だよ」


「そうですけど、何か?」


「いや、なんでもないよ」


うわー、誰に対してもツンツンしてるな。しかも青龍、いや、の前に小さな声で、怖っ、とか言ってたし。

…ま、俺の時よりマシだけど。


「あなた達にも聞いておいた方がいいわね…。朝宮さんと…青龍さん?だったかしら?」


「そうだよ」


「はい、そうですけど…」


おおっ!青龍と華凛の名前知ってるのか!

まぁ、謎の美少女転校生と可愛いと有名らしいな同学年の生徒だったら知ってても無理はないと思うが。


「遊沢さんが何処にいるか知りませんか?」


「宴はホームルーム終わってすぐに帰ったよ」


「何か、マズい、とか言ってたような…」


おいおい…一体、何やらかしたんだよ。


「そうですか…わかりました。ありがとうございます」


「遊沢は何かやらかしたのか?」


「それに答える義理はありません」


もうなんか、あれだね。物凄く敵視されてるってやつ?


「あ、それは私も知りたいよ」


「私も知りたいかな…」


「まぁ、お二人がそう言うなら教えましょう」


…………この野郎。じゃなくて、この女。


「遊沢さんは文化祭実行委員なんです」


「文化祭実行委員?」


青龍が頭の上に?マークを付けて聞き返す。

青龍は途中から来たから、委員会とか知らないだろうな。


「はい、文字通り、文化祭を実行する委員のことです」


「へぇ〜」


「それで今日、文化祭の打ち合わせがあったんです」


「それで、遊沢が来なかったわけか」


「そうです」


…面倒だったから逃げたな。


「でも珍しいね。宴がそんな役になるのは」


「あいつは遊ぶことと祭りが大好きだからな」


文化祭実行委員を決める時に、私が文化祭を盛り上げてやる!って気合い入ってたよな。

…その結果がこれか。


「………はぁ」


溜め息をつく桐生。

コイツ、溜め息多いな。


「副会長…」


「桐生でいいわ」


「あ、そう。んじゃ桐生、溜め息ばっかついてると幸せが逃げるぞ?」


「余計なお世話よっ!…………コホン……では、失礼します」


そう言うと桐生はどこかに行ってしまった。


「行っちゃった」


多少取り残された感がある華凛が呟く。


「なんかイメージ通りの人だよね」


「そうだな」


確かにイメージ通りの奴だった。しっかりしてるし。


「……うーん」


「青龍、何唸ってるんだ?」


「桐生さん、なんかユウだけ態度が違ったよ?」


「確かに。ユウくん、桐生さんに何かした?」


「何もしてねぇ」


青龍も華凛も気がついていた。ま、あからさまに態度変えてたからな。

しかも、俺だけタメ口だったしな。


「あれだね!最近流行りのツンデレってやつだよ!」


「おぉー、せーちゃん鋭い」


「いや、全然鋭くないし。そもそもツンデレじゃないだろ、あれは」


ツンだけでデレの要素がなかっただろうが。それに流行ってもいない。


「ちっちっちっ、ツンデレっていうのは、ツンからだんだんデレになっていくものなんだよ」


「せーちゃんが………ツンデレを語ってる!」


「……………」


オーバーリアクションの華凛は置いといて…。

どこからそんな情報を持ってきてるんだ、青龍は。


「宴とかから聞いたんだよ」


「へぇ………って、人の心を読むな!」


「あはは、マンガとかでよくやってるからしてみたけど。やろうと思えば出来るものだね」


どんだけ凄いんだよ、神獣。


「えっ、じゃあ私も出来るかな…」


「華凛…」


我が幼なじみながら、変なところで純粋だよな。


「だいぶ時間過ぎてるね」


「そうだな。帰るか」


ようやく家路につくことが出来る。


「華凛、帰るぞ」


「う〜ん……………で、出来ない」


「あはは、ユウ、華凛置いてくよ」


また一人で突っ走る青龍。


「おい、待てって」


「せーちゃん待ってよぅ」


青龍を見失わないように俺たちも疾走するのであった。


とうとう第30話です!これまで読んでくれた方、感謝ですm(_ _)mこれからも頑張っていきます(^-^)

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