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第22話 帰省〜幕間〜



「ふぃ〜疲っれた〜」


アパートに帰ると同時に座り込む。

実家に帰ってゆっくりするどころか疲れててしまった。


「なんのために帰ったかわかんねぇ」


「親は子供の顔を見たいものなんだと思うよ?」


青龍が後から歩いてきてそんなことを言う。


「そんなもんか?」


「そんなもんだよ」


あの親父に関しては絶対にありえないけどな。


「とりあえず俺んちが終わったから、次は青龍の家だな」


「そうだね」


青龍は自分の家に帰れるのが嬉しいのかニコニコしている。


「いつ行くんだ?」


「えーっと、いつでもいい…と思うよ」


いつでもいいって…なんか適当だな。


「そもそも、青龍の家って何処あるんだ?神獣界とか?」


やっぱり人間界とは違うのか?


「ん〜おしいね。神獣界じゃなくて天界だよ」


「天界?」


久々に聞き慣れない単語が出てきたな。


「うーん、どう説明したらいいのかな……………要するに、神様とかが住んでる所?」


なんで疑問形なんだ?いや、そんなことより…


「神様?」


「うん、神様」


なんか人間の叡智を超えたような世界という気がするのは俺だけか?


「まぁいいか」


「何が?」


「いや、こっちの話し」


とりあえず行ってみたら分かるな。…できれば行きたくないけど。


「そういえば、青龍の家ってどうやって行くんだ?」


天界と聞くと、天国や雲の上にある世界を想像してしまう。

地獄のような世界じゃありませんように。


「どうやってって……鍵を開けるんだよ」


「鍵?」


「そう、天界へ続く扉の鍵」


「なんかわからんが凄そうだな」


天界へ続く扉の鍵、か…なんか言葉の響きがカッコよくね?


「そんなに仰々しいものでもないんだけどね」


「へぇ〜」


普段は普通の女の子だが、こういう所を見るとやはり神獣なんだな、と思う。

まぁ、そう思ったところで何か変わるわけでもないが。


「そもそも扉なんてどこにあるんだ?」


「前に公園に行ったの覚えてる?」


「ああ、覚えてるぞ」


青龍の父、つまり閠龍さんと戦った所だ。


「そこから行けるよ…多分」


「多分か…」


「まだ試したことないからね〜、ユウから追い出されることもなかったし」


危険な香りがプンプン匂ってくる。


「俺が居候させなかったら、そこから帰るつもりだったのか?」


「ううん、他の人の所に行ってたと思うよ」


「…そこは使いたくなかった?」


「そういうわけじゃ、ない…かも」


青龍の言葉の歯切れが悪くなる。


「…もしかして、そこ危ないのか?」


「私がいるから大丈夫だよ!」


やけに自信たっぷりの青龍。

…異空間に飛ばされたりしないよな?

まぁ天界という時点で十分異空間なわけだが。


「じゃあ、近いうちに行くか」


「うん♪」


話しが一通りまとまって、疲れている体を休める。

体を休めると言っても、テーブルにぐでーと体を預けるだけなのだが。


「うわ〜ユウ、いつになくだらけてるね」


「気にするな」


青龍がなにやら呆れているが気にしない。

部屋の中は適度に冷房が効いていて、そこでぐでーとしていると自然と夢の世界へ…


ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜〜♪


…行けなかったようだ。


「電話か」


いつ聞いてもイラッとする着信音にムカつきながら電話を取る。


『閠龍だが』


「どうも。…で、どうしました?」


『一つ言い忘れたことがあってね』


「なんですか?」


『青龍ちゃんの居候先の相手がどれくらいの実力か正確に知っておきたいと思う』


「はぁ」


何か嫌な予感、というより、もう何か起こるの決定だ。


『それで今度、家に来る時に模擬戦をしてほしいんだ』


「模擬戦、ですか」


『そうだ。武器もありの模擬戦にしたいから、一応武器も持ってきてほしい。…無いならいいがね』


「わかりました」


『ありがとう。それでは、そういうことでよろしく頼んだよ』


受話器を置いて、またぐでーっとした体勢になろうとするが、


「……すーすー」


なんとも気持ち良さそうな顔で青龍が寝ていた。

しかも、俺の居た場所、俺と同じ体勢で。


「……………」


「……すーすー」


コイツ、俺にだらけてるとか言ってなかったか?

思わずツッコミたくなる衝動をなんとか抑える。


「……むにゃむにゃ」


「………まぁいいか」


青龍の幸せそうな寝顔を見れたからいいか、と思いつつ、俺の意識は夢の世界へ旅立って行った。

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