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第19話 海と太陽と遊沢計画



車に揺られることすでに3時間。俺たちは遊沢の計画とやらで海に向かっていた。

車に乗っているのは5人+運転手。


「はぁ…まだ着かないのか」


「ははは、もう少しで着くよ」


俺の独り言にも律儀に答えてくれる男性。

車を運転しているこの男性は、遊沢のお兄さんのまことさん。

誠さんは名前の通り誠実な人で、趣味は読者らしい。

遊沢を悪く言うつもりはないが、どうして兄と妹でこう差が出るんだ?…趣味とか。


「着いたよ」


いろいろ考えているうちに着いたようだ。


「すみません、わざわざ送ってもらって」


「いやいや、どうせウチの妹が言い出したことなんだろう?これくらいどうってことないよ」


さすが遊沢の兄。よく分かってらっしゃる。


「んじゃ、兄貴。明日の昼にまたここに来ておいて」


「はいはい、分かってますよ」


やれやれ、と言った感じの誠さん。

うーん、本当にいい人だ。


「じゃあ、僕は帰るから。宴、あんまり無理するんじゃないぞ」


「わかってるって」


「月代くん、間塚くん。女の子は男が守らなきゃダメだよ」


「はい、わかりました」


と口では言ったものの、こいつらなら守らなくていいんじゃね?というのが本音だったりする。ぶっちゃけ青龍一人で余裕でシメれるぞ?その辺のマフィアとか。


「じゃあまた明日」


そう言って誠さんは去っていく。


「…また明日か」


そう、また明日、なのだ。

日帰りだと思っていたら昨日の夜に、一泊するからそのつもりヨロシク!、なんて電話を掛けてきやがった。


「まずは今日の宿に行こう」


宿、と言ってもホテルらしい。遊沢がスーパーのくじ引きで当てたとかなんとか。


「それにしても遊沢って運がいいな。くじ引きって言ってもそうそう当たるもんじゃないだろ」


「ふっ、ギャンブラーですから」


クールにキめる遊沢。つーかギャンブラーとくじ引きは関係あるのか?


「ね、ねぇ宴ちゃん?和馬くん死にそうだけど…」


「せっかく連れきたんだからあれくらいさせないとね」


和馬は四人分の荷物を持たされている。たしかに死にそうではある。しかし遊沢は…。


「それに華凛?間塚は死にそうであって死んでないから大丈夫!」


「うん、たしかに和馬はあれくらいじゃ死なないね」


遊沢もあれだが…青龍、お前和馬を何だと思っている?一応、奴も人間だぞ。


「ゆ、悠、ヘルプ」


「和馬、人間は楽なことを体験したらキツいことはやりたくないと思う生き物なんだ」


つまりは手伝ってやらないということだ。それに俺は自分の荷物は自分で持ってるし。


「ううっ、みんなヒドいぜ」


和馬が汗だくになりながら荷物を運ぶこと数分、俺たちはホテルに到着した。


「へぇ、まあまあだな」


極端にボロくもなく、お城のように凄くもない。つまり普通。


「これまあまあ、って……ツッキーってお金持ち?」


「いや?別に俺はお金持ちじゃないぞ」


「うーん…正確にはユウくんの家がお金持ちなんだけど」


何故か華凛がカミングアウト。


「へぇ〜じゃあなんで一人暮らししてんの?」


「それはいろいろあってだな…」


これはいろいろと質問されそうな予感。メンドくせ〜あの説明やたらと長いんだよな。


「ふーん、まぁいいや。それより早くチェックインしなきゃね」


適当だ…自分から聞いておいて、まぁいいや、って。ま、こっちもメンドい説明をしなくてよかったからいいけど…。


「チェックイン終わったから部屋に行こー」


チェックインが終わって早速部屋に向かう。当然、和馬が青龍たちの荷物を運ぶ。

その後、俺たちも部屋に移動する。


「なぁユウ、俺の扱いって一体…」


「耐えろ」


俺の力じゃどうすることもできません、はい。


「つーか早く俺たちも行くぞ」


「はぁ〜先が思いやられる」


それはこっちのセリフだ。

和馬の愚痴を聞きながらロビーに降りていく。


「あ〜やっと来た〜。ユウたち遅いよ」


「すまん、和馬がうるさくてな」


「それじゃあ、海へゴー!」


青龍はやけにテンションが高い。


「なぁ華凛?青龍、テンション高くないか?」「うん、せーちゃんって海水浴初めてなんだって」


「へぇ〜初耳だな」


「ほら〜ツッキー、華凛!早く行く!」


「おう」


ホテルの近くにある海へ行く。…まぁ実際は、海の近くにホテルがあるのだが。


「うわっ、人少なっ!」


「海水浴シーズンなんだけどな」


確かに人が少ない。でもプライベートビーチっぽくて良くない?


「間塚はまずパラソル立てて。あたしたちは着替えてくるから」


そう言うと遊沢たちは更衣室みたいな所に入っていった。


「パラソル……」


早速パシられてるな。


「頑張れ」


ポンポン、と 和馬の肩を叩いてやる。


「あ、ツッキーはボールとかに空気入れて」


「了解」


俺も働かされるのか…。

とりあえず、言われた通りに空気を入れる。


「…浮き輪なんて誰が使うんだ?」


高校生にもなって浮き輪ってあんまりだろ。


「やっと立て終わったぜ。これで場所取りなんてやらされたら俺泣いてたかも」


「ご苦労さん、人が少なくて良かったな」


俺も全部膨らましたところで青龍たちがやって来た。


「お、お待たせ。ユウくん、この水着どうかな?」


「似合ってると思うぞ」


華凛の水着は水玉模様のチューブトップのビキニ。


「これが海……この解放感、素晴らしいね」


海に向かって仁王立ちしている青龍は、普通のビキニでトロピカルプリント。


「おぉ!2人とも似合ってるぜ!」


「まぁスタイルがいいからな」


青龍はバランスが良く、華凛はばい〜んって感じだ。…正直、目のやり場に困ってしまう。


「わ、私ってスタイルいいのかな?」


「ああ、華凛のスタイル悪いって言ったら世の中の女性はほとんどスタイル悪いことになるだろ、多分」


そして、そんなことを世の女性に言ったら暴徒と化すだろう。


「そういえば遊沢は?何かしてるのか?」「まだ着替えてると思うけど」


「じゃあ俺たちは先に遊ぶか?」


「それでユウ、何するの?」


いつの間にか青龍が横に来ていた。


「うーん、そうだな……」


確か向こうにビーチバレーのコートがあったはずだ。


「ビーチバレーやるか」


「宴ちゃんはまだ来てないけど…いいの?」


「いいんじゃね?俺はいつもイジメられてるし」


和馬の個人的怨みがこんなところで…。


「スポーツは得意だよ」


「よし、じゃあコートに行くぞ」


結局、先に遊ぶことにしたのでコートに向かう。


「ちょっと待ったぁーーー!この宴サマを差し置いて何を遊ぼうとしてるかーー!」


遊沢が叫びながら走ってくる。しかも遊沢は競技用の水着を着ている。


「いや、だって遊沢遅かったし…というか何故競技用の水着なんだ?」


明らかな選択ミスだろ…それ。


「よくぞ聞いてくれました!さすがツッキー」


そう言うと遊沢は競技用の水着を脱ぎ始めた。


「宴、脱いでもいいの?」


「いーの、いーの」


大胆かつ豪快に競技用の水着を脱いでいく遊沢。そして、競技用の下にはスク水を着ていた。


「ちょっ…なんだよ、それ!?」


「驚いた?」


「いや、もう何も言うまい」


遊沢を遠い目で見てやる。


「こら!遠い目で見ない!」


そう言うと遊沢は再び脱皮を始めた。そして脱皮を終えた遊沢は、ホルターネックのビキニだった。ちなみにデザインはチェック柄。


「こっちが本物でした〜」


「無駄に手が込んでるな」


つーか力を入れるところが違うだろ。


「全員揃ったし、行くか」


「ビーチバレーの女神と言われたあたしの実力を見せてやろうじゃない!」


「それ絶対嘘だろ」


そんなわけでビーチバレーをやることになった。

チーム分けは女子対男子。


「いくよ〜」


青龍がサーブを出す。


「…っと和馬打て!」


俺がトスを上げ、


「合点承知!」


和馬がアタックして、


「…………きゃっ」


そして華凛に一直線。

しかも、これでどうだと言わんばかりに頭に直撃。

「あ…華凛ちゃん、ごめん」


「……………」


完全に沈黙してます、はい。


「こらーっ!間塚!こっちは女の子なんだから手加減しなさいよ!」


「だから謝ったじゃないか」


「おーい、華凛ー?大丈夫かー?」


明らかに大丈夫ではないのだが一応声を掛けてみる。


「ユウ、ひとつ言わせてもらうけど…どう見たって大丈夫じゃないよ」


「む、やっぱりそうか。とりあえずパラソルの所に運ぶか?」


「うん、それがいいね」


ギャーギャー言い合っている二人を放っておいて、気を失っている華凛をパラソルの下まで運ぶ。


「華凛も災難だったね」


「確かに。容赦なしで直撃してたもんな」


まぁ、あのボールだから怪我は無いと思うけど。


「せっかく海まで来たのに何もしないのはもったいないね」


「そうだな……じゃあ泳ぐか?」


「うーん…海に来たらやってみたいことがあったんだけど」


「何だ?」


「ズバリ!スイカ割りだよ!」


確かに定番と言ったら定番だけど…。


「スイカはどうするんだ?」


「ふっ、そこは抜かりないよ」


そう言って青龍はどこからともなくスイカを取り出した。


「準備がいいな」


「それほどでもないよ……じゃあ、いくよ」


これまたどこからともなく取り出した目隠しを付けて構える青龍。しかも、その手には久々に目にする青龍刀。


「ちょっ、待て青龍!…お前、それで切る気か?」


絶対、危ない。

というか『女の子が刀を振り回してます』なんて警察に通報されたら確実に捕まる。銃刀法違反で。


「当たり前だよ?……ああ、大丈夫!これ切れ味バツグンだから」


「切れ味の心配じゃない!危ないって言ってんのに目隠ししてたら尚悪いわっ!」


「すぅ………はっ」


俺のツッコミを綺麗にスルーして、スイカを真っ二つにする。


「どうだった?綺麗に切れた?」


目隠しを取りながら聞いてくる。

というか、すでにスイカ割りではなくなっているのに気付いてほしい。


「あぁ、もうそりゃあ見事に真っ二つになったぞ…」


「イェイ!じゃあ食べやすいように…っと」


青龍は慣れた手つきでスイカを食べやすいようにカットしていく。


「出来た〜」


「いいからもうその刀を仕舞え」


半ば呆れ気味で刀を仕舞わせる。


「まったく…青龍刀でその辺の人を両断したらどうするんだ?」


「気配で分かるから大丈夫だよ?」


さすが神獣だ。


「そんなことより早く食べようよ」


「ああ」


パクパク、と次々にスイカを食べていく青龍。

俺もつられて食べてみる。


「お、甘くて美味い」


「うん、これなら3つはイケるね」


「三切れ?」


「当然三玉だよ?」


いや、一般人にはそりゃ無理だろ。

それと前に、いっぱい食べるのはご飯だけ、とか言ってたのは気のせいではないだろう。


「………ん…ぁ………あ、あれ?」


どうやら華凛が目を覚ましたようだ。


「華凛、大丈夫か?」


「うん…ん?私、なんで寝てたの?」


「和馬の打ったボールが頭にクリティカルヒットしたんだ」


「うーん、あんまり覚えてない…」


「けっこう威力あったしな」


「華凛〜、喉渇いてない?スイカあるよ」


「食べる〜♪」


そうして三人でスイカを食べる。


「平和だな〜」


「そうだね」


「でも暑いよね」


「夏だからな」


のほほんとした時間が過ぎていく。しかし、


「君達かわいいねぇ〜。暇そうだし俺らと今から遊ばない?」


数人の柄の悪そうなヤツらにぶち壊された。

つーか一緒に居るのに俺は無視ですか。

誠さんに、男なら女を守れ!みたいなことを言われたし…追い払うか。


「すいません、他に連れがいるんで」


「あぁ?なんだテメェ?」


「なんだ、と言われても、この二人の連れとしか言いようがないな」


無視していた奴がいきなり出てきたのが気に食わないのか、ガンをくれられる。

こっちはガンくれられる覚えはない。つーか少しムカついた。


「やんのか、コラ!」


うおっ!柄だけじゃなくて頭も悪いな、絶対!


「オイ、ビビって声も出ねぇか?」


「いや、ビビってないし、声も出る。アンタらが柄だけじゃなくて頭も悪いから驚いただけだ」


「なっ、なんだと!クソがぁ!」


リーダー格らしきヤンキー(チンピラA)が殴りかかってくる。それを最小限の動きで避ける。


「っと……危ないなぁオイ!」


「ゴルァ!」


再び殴りかかってくるチンピラA。同じように避けるが…次はチンピラAの腕をとって肩の関節を極める。


「ぐっ…」


「ふぅ〜」


ちょっと一息。もちろん関節は極めたまま。

後ろのチンピラ達は自分達のリーダーがやられて怖じ気づいている。


「クソッ、放しやがれ!」


「いやだ、放したらアンタ襲ってくるじゃん」


つーか、放せと言われて放す奴はいないだろ。


「ユウ、殺っちゃいな」


「青龍…殺ったら俺、犯罪者になるだろ…」


青龍は俺の身も考えず無茶なことを言ってくる。


「お前ら!そいつらを人質にしろ!」


チンピラAの声で青龍と華凛に詰め寄るチンピラの手下。


「やめろ!」


もちろん、そんな俺の声は届かない。そして止められないと判断。

ああもう、傍観しよ。


「華凛、目を閉じて耳塞いで下がってて」


「う、うん…でも、せーちゃん大丈夫なの?」


「モーマンタイ」


何故か中国語の青龍。華凛も大人しく青龍の言うことを聞いて下がっている。


「へっ、女一人で何が出来るんだ?」


「何も出来ないと思うならかかって来なよ」


「この野郎!」


「ぶっ殺せ!」


青龍の安い挑発に乗るチンピラ達。そして、あろうことかナイフなどの刃物を取り出した。


「私に剣で勝負を挑むなんて、いい度胸だね」


そう言って青龍刀を取り出す。


「なっ……どこから!」


チンピラ達は相当驚いている。

そりゃそうだ、初めてあれ見たとき俺も驚いたもん。


「だ、騙されるな!どうせ偽物だ!」


うんうん、誰だってそう思うよな。


「ふっ」


チンピラ達のナイフを一息で両断する。


「え?」


「コレ、本物だよ?」


にっこりと微笑んで、有無を言わさない威圧感を出す。

神獣だけあってすげープレッシャー。


「た、助けて〜〜〜」


「逃げろ〜〜〜」


蜘蛛の子を散らすように逃げていくチンピラ達。残ったのは俺が捕まえているチンピラAだけ。

あーあ、せっかくやめろって言ってやったのに。

そしてチンピラAの少しずつ関節を極めていく。


「どうする?残ったのはアンタだけだぞ?」


「………っ!わ、わかった。謝るから放してくれ」


「それだけじゃなくて、もうこのビーチに来るな」


「わ、わかった」


「んじゃ、いいや」


掴んでいた腕を放してやる。


「すいませんでしたーーー」


多分あいつらのせいでこのビーチは人が少なかったんだな。


「やっと終わった。華凛、もう目開けていいぞ」


「う、うん。ユウくん、せーちゃん大丈夫だった?」


「ああ」


「余裕だよ」


「では、続きを楽しみますか」


その後、夕方になるまで遊んでホテルに帰った。

そしていろいろと済ませて、夜。


「遊沢、今から何するんだ?」


「夏の夜と言ったら、やっぱ花火でしょ」

花火か…久しぶりにやるな。


「花火!」


「花火の王子様と言われたオレの実力を見よっ!」


「花火か〜小学生の時、ユウくんたちとやった以来だなぁ」


青龍はいつでもハイテンション。和馬はいつも通り馬鹿。華凛は昔を思い出している。

まずは普通の花火から。


「おぉー、久々だからなかなか綺麗に見える」


「うん、やっぱり花火はいいね」


「昔を思い出すなぁ」


俺と青龍と華凛は普通の花火ながら楽しんでいる。

しかし、


「のおぉぉぉーーーー!当たるかぁぁーーーー!」


「ちっ、すばしっこいヤツめ」


遊沢は打ち上げ花火やロケット花火を和馬に向けて打っていた。


「死ねーーーっ!」


「死ぬかぁぁーーーー!……って熱っ!」


両手に打ち上げ花火を持って和馬を狙い撃ちする遊沢。和馬は必死に逃げているが少し被弾している。


「ちっ、弾がない…これでも食らえ!」


「げっ、それ反則だぜっ!」


打ち上げ花火が尽きた遊沢は、普通の花火に手当たり次第に着火。そして和馬に投下。


「あれは火傷するんじゃ……」


「華凛、見るな。あれは他人だ」


「ユウって時々ヒドいよね」


青龍に言われたくはない。


「……って、もう花火ないぞ?」


遊沢が無駄に使いまくったせいだ。


「あとは……線香花火だな」


さすがにコレは武器にはならなかったようだ。派手さはないが、締めには持ってこいの花火だ。


「綺麗だね」


「うん、風情がある、って言うのかな」


「そうだな」


パチパチと線香花火を見ながら、ある夏の日の夜は更けていった。


次の日。


「……朝か…ってオイ、起きろ」


何故か俺のベッドに潜り込んでいる和馬を蹴り飛ばし顔を洗う。


「うーん、いい天気だ」


背伸びをして、僅かに残っている眠気を覚ます。


「今日で帰るのか…」


結構不安だったけど、なんだかんだでエンジョイしたな。


「オイ和馬、起きろ。起きないと置いてくぞ」


「………あと五分」


起きる気配がないので、先に朝食を食べに行く。


「あ、おはよーユウくん」


「ユウ、おはよー」


「……うぃーす、ツッキー」


「ああ、おはよう」


青龍たちも朝食を食べに来ていたようだ。遊沢は朝が弱いのか、すごいことになっている。


「あれ?和馬くんは?」


「まだ寝てる」


席に着いて朝食を食べ始める。

つーか、朝早起きして朝食を作らなくていいってのは楽だ。


「復活!」


「うおっ!」


遊沢が復活した。


「みんな、ご飯食べたらチェックアウトね」


「了解」


食事を終えてチェックアウトの準備をする。和馬はまだ寝ている。


「いい加減起きろ!」


準備が終わって、和馬を起こす。ちなみに和馬の荷物は俺がまとめた。


「うーん……トイレ」


「じゃあ俺は先に行くぞ」


トイレに行く和馬に声をかけて、青龍たちと合流する。


「ツッキー、間塚は?」


「トイレ」


「もうすぐ兄貴来るんだけど」


「どうする?」


「それまでに来なかったら置いてく」


「マジで?ヒドくね?」


「マジで、そう言うならツッキーも残る?」


「いや、当然俺は帰る」


そして和馬を待つこと十数分。あいつ絶対トイレの中で寝てやがる。


「みんな揃ってる?」


誠さんが来た。


「残念、タイムリミット」


「みんな揃ってるから、帰ろうか」


当然のごとく帰ろうとする遊沢兄妹。


「和馬くんはどうするの?」


「あいつはいいヤツだった」


「いや、死んでないから」


つーか、誠さんも普通に和馬のこと忘れてないか?和馬に対して恐ろしいまでに非情な一族だ、遊沢家。


「帰るよー!我が故郷へ!」


こうして遊沢計画は終わりを告げた。



ちなみに帰っている途中で誠さんが和馬のことを思い出し、Uターンした。

Uターンした時の誠さんは顔面蒼白でかなり焦っていた。

うーん、やっぱりいい人だ。

久々の更新なので少し長めです(^-^)

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