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第18話 宿題と正夢



「ねぇツッキー、ココわかんないんだけど答え写させて」


「自分の宿題なんだから自分でやれ!」


「ユウくん、あとどれくらいで終わるのー?終わったら手伝ってー」


「華凛はやれば出来る子だから自分でやりなさい!」


「ユ、ユウくんが先生みたいな喋り方になった!?」


「スラスラ解けるよ〜♪」


「おう青龍、そりゃよかった。でもそんなことは口に出さなくていいぞー?」


「悠、早くしないと写せないじゃないかー」


「和馬、マジメにしないと…殺すぞ?」


「ひぃ、み、みんな聞いた!?この人、今殺すって言いましたよ!?」


「うるさい……死ね」


本当にうるさい。というか、この劣悪な学習環境はなんだ?

宿題くらい自分の家でしろってんだ。


「はぁ〜〜〜」


大きなため息をつく。

なんか考えるのも面倒になってきた。そもそもなんでこんなことになったんだ?


「はぁ」


もう一度、ため息をついて事の発端を思い出す。


事の発端は一時間前―――


「今日は宿題でもやるか」


一応言っておくけど別に暇だからじゃないぞ?


「まずは………現国だな」


現国の課題は……っと問題集を解けばいいんだな。

「あれ?ユウ、何やってるの?」


「夏休みの課題。というか青龍もさっさと終わらせたほうがいいぞ」


「うん、じゃあ私も一緒にやる」


♪〜〜♪♪


「あ、電話だ…もしもし?」


青龍は電話しているから、俺はさっさと進めるか。


「……………」


「うん、わかったよ……………ユウ〜、宴たちもさっさと宿題終わらせたいから来るって〜」


「何っ!?」


――――――


で現在に至る、っと。

宿題しよう、という意志はあるようだが…何故、俺んちなんだ?

自分の家のほうが集中できるだろ、普通。


「なぁ悠、ここ……」


「………………」


「うっ、なんだその無言の圧力は」


「………………」


「ち、ちょっと聞こうとしただけじゃないか」


無言でプレッシャーをかけ続ける。そうすると和馬はしぶしぶ自分で解き始めた。


「………………」


「………………」


それから数時間、俺たちは黙々と宿題を消化していった。


「あ〜、もうダメ!疲れた!」


「私も〜」


遊沢と華凛は集中が切れたようだ。


「くか〜」


青龍は爆睡中。

前半で飛ばしてたからな。

そして和馬は………。


「あ゛ぁ〜〜〜おぉ〜〜〜〜」


一応宿題は片付いたようだが、なんか変な声を出していた。

つーか魂っぽいのはみ出てね?まぁ大したことじゃなさそうだから放っておくか。


「………俺も疲れた」


…いろいろと。

それにしても、今日は決めていたノルマよりもかなり進んだな。


「ふー華凛、もう帰らない?結構宿題消費したでしょ?」


「うん」


どうやら遊沢と華凛はもう帰るらしい。


「ん?もう帰るのか?」


「もともと宿題やるために来たんだしね」


「そうか」


遊沢にしてはやけにあっさりとしている。何かあるのか?

普通ならこれから遊ぶとか言いそうだけど。


「ついでに和馬も連れて行ってくれ」


「了解〜。ま、目を覚まさなかったらその辺に捨てていくけど」


放心している和馬をずるずると引っ張っていく遊沢。

ホラー映画に出てきそうな画だな。


「う、宴ちゃん、和馬くんの扱いがぞんざいすぎじゃない?」


「確かに」


「えー、コイツの扱いはこんなもんでしょ?」


「確かに」


「ユウくん、一体どっちなの………」


「どちらかと言うと遊沢の方だな」


うん、和馬の扱いはあんなもんだ。

…で、結局引っ張られていく和馬。

捨てられる前までには目を覚ませよ、と思いながら三人を見送る。


「しっかし、今日は疲れたな」


本日二回目の疲れた発言。

青龍は今も爆睡中。


「よく寝てらっしゃる」


ここまで気持ち良さそうに爆睡されたら起こすのもアレなんでそのまま寝かせておく。

宿題もこれ以上する気はないので、今日の夕飯は何にしようかな?などと考えつつ、ぼーっとする。


「すぅ…すぅ……」


「………………」


そうすると必然的に青龍の寝息しか聞こえなくなる。

そしてぼーっとして時間が経ち。


「…すぅ……すぅ」


「……………飽きた」


飽きた。俺って実は飽きっぽいのか?やることもないので青龍をじーっと観察。

気持ち良さそうに寝てるな。

うーん、やっぱり青龍って整った顔してるな〜。これでお淑やかな性格だったら…絵に描いたようなお嬢様キャラになるだろうな。つーかどんな感じだ?


「………………」


喋り方もお嬢様口調………ですわー、とか?

フリフリのドレスに………髪は縦ロール。


「ぷっ………ダメだ、似合わねえ」


「……ん……ユ、ユウ…」


やばっ、起こしたか?


「……すぅ………」


「なんだ…寝言か」


つーか寝言に俺の名前って…ちょっと恥ずかしいな…。

というか、どんな夢見てんだ?


「……ユウ………す…」


す?………ということは…まさかっ!


「………す………すき…」


キ、キターーー(・∀・)ーーーー!!


「……すき焼き………食べたい………ムニャムニャ」


ち、違ったーーーーーっ。少しでも勘違いした自分が恥ずかしいぜーーー。

つーか食べ物の夢かよっ!


「すき焼きか……」


まぁ今日はリクエスト(寝言)に答えてすき焼きにするか。

そうと決まれば調理開始。さっさと夕飯を作り終わる。


「おーい、青龍起きろー」


「……………すぅ…」


なかなか起きないので、青龍の頬をペチペチと叩く。


「……う、うーん………」


「起きろー」


「…………な、生卵っ!」


「うおっ!?」


いきなりガバッと起き上がった。

しかも生卵って…。そりゃすき焼きには定番だけどさ…。


「びっくりした」


「あれぇ?………あぁ夢かぁ、美味しかったのになぁ………」


「青龍、すき焼きの夢見てただろ?」


一応ではあるが聞いてみる。


「ど、どうしてそれを…まさかユウ、人の夢を共有するという特殊能力を……」


「持ってねぇよ!」


そんな能力があっても役に立たないだろ。


「青龍、すき焼き〜って寝言言ってたぞ」


「う、それは恥ずかしいね」


「だから今日の夕食はすき焼きにしてみた」


「えっホント!?やったー」


本当に嬉しそうに喜ぶ青龍。

これだけ喜んでもらえるなら作ったかいがあったな。


「正夢だね♪」


「これ正夢って言うのか?」


「どっちでもいいよ〜〜〜♪」


青龍は夕食の時間はもちろん、食後もご機嫌だった。

恐るべし食べ物の魔力!!

これが今年最後の更新になると思います(^^;)

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